2025年5月20日、Amazonは神奈川県の相模原市立弥栄中学校に「Amazon Think Big Space」を開設しました。Amazon Think Big Spaceは、地域コミュニティに対しSTEM教育を支援するためのスペースで、弥栄中学校の開設は世界で100か所目となります。

当日は、Amazon Think Big Spaceを活用した公開授業に続き、第1部の寄贈式、第2部はSTEM教育に関する生徒向けの講演が行われました。寄贈式には、相模原市の本村賢太郎市長、同市教育委員会の鈴木英之教育長、特定非営利活動法人東京学芸大こども未来研究所の田中若葉研究員、アマゾン ウェブ サービス(AWS) ジャパンの白幡晶彦代表執行役員社長、AWS データセンター運用部門のティム・レクスロード 日本総責任者らが出席しました。

※STEM教育とは:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4つの教育分野を総称する言葉。各教科での学習を実社会の問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習で、文部科学省でも推進しています。

リノベーションを行い、Amazon Think Big Spaceとして生まれ変わった弥栄中学校の2つの教室には、複数の3Dプリンターやパソコン、レゴのプログラミング教材(レゴスパイク)、マイコンボード、ペンタブレット、GoProカメラ、ウェブ会議用機器(Meeting owl)、電子黒板、プロジェクターなどのIT機器に加え、簡易可動式のホワイトボードや作業台、椅子、机などの什器も寄贈されました。教室後部の青く塗られた壁には「A space beyond the classroom」(教室の枠を超えた学びの場)というメッセージが書かれています。

教室後方の壁と棚。壁は水色に塗られ、「A space beyond the classroom」と「Amazon Think Big Space」という黒い文字。壁の下側の茶色い木目調の棚の最上段と三段目、下段一部に黄色い収納ボックスが重ねて収納されている。壁の両側はオレンジ、白、青の風船で飾られている。
窓から自然光が入る明るい教室。水色の壁に「A space beyond the classroom.」、「Amazon Think Big Space」という黒文字。壁の両側天井付近にオレンジ、青、白の風船による装飾。白い丸テーブルが7つ、テーブルごとに背もたれと座面が黄緑色のキャスター付き椅子が2脚ずつ配置されている。
木製の作業台に3台の3Dプリンター、その両側にノートパソコンが1台ずつ、いちばん左側にプリンターが並んでいる。各3Dプリンターの前には小型のディスプレイパネル。壁際には白いカーテン。左上側にオレンジ、青、水色の風船で飾られている。
寄贈された3Dプリンターなどの機材

ここが、生徒の皆さんが実際にIT(情報技術)機器に触れながら実践的なSTEM教育を体験し、デジタル・テクノロジーへより興味・関心を持ってもらえる場になることを期待しています。


話し合い、工夫を重ねる授業で、ものづくりとプログラミングの楽しさを学ぶ

寄贈式に先立ってAmazon Think Big Spaceで3年生の「技術」の授業が公開されました。課題は、生産者や消費者、社会福祉、SDGsなどの社会課題解決に向けて、生活や社会に必要な自動で動く製品の開発です。単にモノを作るだけでなく、何のために開発するのかを作業を通して考えることも求められていました。

各班のホワイトボードには、製品名と開発の意図、動作が細かく書かれ、生徒たちは作業しながら変更を加えていきます。机の上では、PCでプログラミングしながら、レゴスパイクで自動装置を組み立て、足りない部品は、3Dプリンターで作成します。

教室で、大型のデジタルディスプレイとプロジェクター投影画面を背にして立つ教師。手前には教師の話を聞く生徒たちの頭部が見える。ディスプレイの後ろに風船の装飾。電子ホワイトボードには「実技」や「発表」などの文字で工程が表示されている。投影には箱の画像やチャット画面が見える。
先生からは、授業の目的や課題、時間配分などの説明がされ、授業途中では生徒たちがつまづいているポイントについて具体的なアドバイスもあった

「ここはこうしたほうがいいんじゃない?」「どうして動かないのかな」と活発に話し合い、手を動かす生徒たちからは、自分たちでアイデアを形にすることを楽しんでいる様子が伝わってきます。

白いシャツや紺色のジャージかTシャツ姿の生徒4人が教室でグループワークしている。白いホワイトボードの前のテーブルに向かい、机の上の黄色い収納ボックスから部品を取り出して組み立てている。机の上には他にノートPCが2台。ホワイトボードには赤で完成図やサイズが書かれている。
グループワークの様子
青い壁に「Amazon Think Big Space」と書かれた教室。ミントグリーンのTシャツに紺のジャケットを羽織った人物が、同じTシャツを着たスタッフと共に、作業に取り組む生徒の様子を見ている。作業机の上には、ノートPCと黄色い部品ボックス。教室を見て回る大人が他にも数5人ほどいる。
AWSジャパンの白幡社長も授業を見学。子どもたちの様子を見守った

Amazon Think Big Spaceの感想を生徒の皆さんに聞いてみると、こんな言葉が返ってきました。

「使える機器や教材が増えて、みんなが作業に関われるようになった」
「アイデアが出しやすくなった」
「みんなと情報が共有しやすくなって良かった」

そして、最も多かったのは、「授業が楽しい」という笑顔の答えでした。

弥栄中学校は、市立弥栄小学校と神奈川県立相模原弥栄高等学校が隣接しています。Amazon Think Big Spaceは、弥栄中学校だけでなく、近隣の小学校の児童や高校の生徒たちのSTEM教育の場としても活用される予定になっています。また、世界各地にあるAmazon Think Big Spaceとも連携し学びあうと同時に、さまざまな国籍のAmazonの社員との交流の機会も設けられる予定です。


Amazon Think Big Spaceを夢に向かって挑戦する場に

寄贈式ではまず、AWSジャパンの白幡晶彦社長がスピーチを行いました。

Amazon Think Big Spaceと書かれた青い背景の前に立つ人物。ミントグリーンのTシャツに紺のジャケットを羽織り、スタンドマイクに向かってスピーチしている。背景の右側にはデバイスやロボット、セキュリティのシールドなどを表す線画アイコンが多数配置されている。
AWSジャパンの白幡晶彦社長

「Amazonは、テクノロジーを通じて、日本のために、社会のために貢献するというメッセージを発してきました。そして、大きな社会貢献として、教育への投資も重視してきました。教育は、学ぶ姿勢を大切にするAmazonの文化のベースの一つですし、デジタル教育の向上は、日本の子どもたちの将来の選択肢を広げると考えているからです」

Amazonは、2024年11月に同じ相模原市内で、女子中高生を対象に「Girls’ Tech Day 2024」を開催しました。「Girls’ Tech Day」とは、女子学生たちに科学、技術、工学、数学などに楽しみながら触れてもらい、進路や将来のキャリアを含め、選択肢の可能性を広げてもらうことを目的にしたイベントです。

「『Think Big』は、Amazonが大切にしている行動指針、リーダーシップ・プリンシプルの1つです。既存の常識を打ち破り、想像力を広げ、新しい未来を大きな視点から見据え、ビッグアイデアを考え出そうと、私たちは常に考えています。皆さんの発想力や想像力をとても楽しみにしています。Amazon、そしてAWSは、挑戦する皆さんをこれからも応援していきます」(白幡社長)

続いて、相模原市の本村賢太郎市長、弥栄中学校の古屋礼史校長、生徒を代表して生徒会長がスピーチを行いました。

相模原市 本村賢太郎市長からは、次のようなお祝いの言葉をいただきました。

青い背景の前に立ち、スタンドマイクを使用してスピーチをする人物。ダークグレーのスーツに白いシャツを着用し、ジャケットの襟の左側にピンバッジが2個、右側に1個付いている。背景には、デバイスやセキュリティのシールドを表す線画アイコンが複数描かれている。
相模原市 本村賢太郎市長
「Amazon Think Big Space」と書かれた水色の背景を前に立つ2人の人物が、1枚の賞状を手に持って見せている。左側の人物はミントグリーンのTシャツに紺のジャケットを羽織り、右側の人物はダークグレーのスーツと白いシャツを着用。賞状には「感謝状Amazon殿」と書かれている。
本村市長から白幡社長へ感謝状が授与されました

「相模原市は、既存の行政にこだわらず、挑戦する姿勢を大切にしようと努力しているところです。弥栄中学校の皆さんも、ぜひチャレンジする人生を送っていただきたいです。その機会を与えてくださったAmazonの皆さまには、感謝申し上げます」(相模原市 本村市長)

弥栄中学校の古屋礼史校長は、Amazon Think Big Spaceを活用する生徒たちの様子などをお話しいただきました。

水色の背景の前に立ち、マイクを使用してスピーチをする人物。黒のスーツに白いボタンダウンシャツを着用し、左手で黒いクリップボードを開いている。背景には、タブレットやロボット、データベースなどを表す線画アイコンが描かれている。
相模原市立弥栄中学校 古屋礼史校長

「授業中の生徒たちの目の輝き、前のめりになって学びを深めようとする姿勢は、Amazon Think Big Spaceならではの効果だと強く感じています。積極的に活用するともに、弥栄小学校や相模原弥栄高校とも連携を図りながら、さまざまな取り組みに挑戦してきたいと考えております」(古屋校長)

Amazon Think Big Spaceと書かれた背景の前に並ぶ6人の人物。左端の、同じミントグリーンのTシャツを着た2人は感謝状を持ち、中央に立つ制服の生徒とダークグレースーツの人物は金色の大きな鍵型オブジェを持っている。右端の2人は黒とグレーのスーツ姿。鍵型のオブジェには「100th Amazon Think Big Space」と書かれている。
左からAWS データセンター運用部門のティム・レクスロード 日本総責任者、AWSジャパン白幡晶彦社長、弥栄中学校生徒会長、弥栄中学校古屋礼史校長、相模原市本村賢太郎市長、相模原市教育委員会の鈴木英之教育長

寄贈式の最後に、弥栄中学校の生徒を代表して、生徒会長が感謝の言葉を述べました。

「豊かな自然に恵まれた相模原市には、ロボット産業など、ものづくりの企業や先進技術の研究機関があります。私たちは、Amazon Think Big Spaceを通じて先進的なSTEM教育を学び、地域への理解を深め、未来を担う若い力として、さらに成長していけるように努力していきたいと思います」


失敗を恐れず、楽しい体験をたくさんして欲しい

第2部は、東京学芸大こども未来研究所研究員の田中若葉さんによる講演が行われました。田中さんは、STEM教育に必要な教材の開発・研究、推進に役立つ書籍の執筆やイベントなどに取り組んでいます。

ベージュのチェック柄スーツを着た発表者が、紺色の制服姿の生徒たちの前でマイクを持って座って話している。会場には「Amazon Think Big Space」のバナー、AWSロゴを表示した大型ディスプレイ、オンライン会議を写した画面が設置されている。壁の両側にオレンジ、青、白の風船の装飾。

講演の様子は、全クラスに配信され、田中さんは目の前にいる生徒会の役員たちだけでなく、モニター画面やチャットを通じて、全校生徒と交流しました。

田中さんは生徒たちからの質問に答えながら、自分の中学生時代のことや、雑誌のモデルとしても活躍した経験、苦手だった理数系を克服した大学時代、なぜ教育に興味を持つようになったのかなど、これまでの自分のキャリアの道のりについて語りました。そして最後に次のようにエールを送りました。

白い背景を背に、眼鏡をかけた人物が左手にマイクを持って話している。ベージュ地に茶色とライトブルーのチェック柄のジャケットと白いシャツを着用、茶髪のショートカット。
東京学芸大こども未来研究所研究員の田中若葉さん

「失敗するのは怖いと思っている人もいるかもしれません。でも、テクノロジーの世界では、失敗するのが当たり前です。検証しながら試行錯誤を繰り返すことが目標達成への道のりになります。Amazon Think Big Spaceは、失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦できる場所です。今日の技術の授業でも、失敗したり、成功したりの経験は、とても楽しかったですよね。その楽しさを、これからもたくさん体験していってください」

放課後には、生徒会が行う会議も公開されました。学年の異なる30人ほどの生徒たちによる話し合いでも、Amazon Think Big Spaceの電子黒板、ホワイトボードなどを使うことで、意見が共有しやすくなり、時間の短縮にも役立っていました。

教室で制服の生徒たちが机をまとめた複数の班に分かれて話し合いをしている。各自机の上にノートパソコンがあり、一部の生徒は開いて使用している。班ごとに移動式ホワイトボードがあり、手前の生徒が黒いペンでボードに書き込んでいる。奥の壁に投影された画像には「議題」の字が読める。
Amazon Think Big Spaceで行われた、生徒会による「全校評議会」の様子。大きなスクリーンや、ホワイトボードが活用され、各グループが自分たちの考えをまとめ、発表し、議論を重ねた

この日、弥栄中学校の生徒たちの活動を見守った田中さんに、Amazon Think Big Spaceの意義について、伺いました。

教室でジャージや体操着姿の生徒たちが、班に分かれて組み立て作業に取り組む。机の上にはノートPC、黄色い収納ボックス、各種パーツが入った白いトレー。チェック柄の上着を着用した人物が立って話をしている。奥のホワイトボードには図や文字の書き込み。さらに奥にも別な班の机、ホワイトボードがある。
田中若葉さんも公開授業を見学し生徒たちと交流を図った

「私は今回、Amazon Think Big Spaceを初めて拝見したのですが、新しいテクノロジーが当たり前のように身近にある環境は、生徒さんたちにとても良い影響を与えると思います。まず、情報のテクノロジーは、これから、ますます必要な知識になっていきます。また、問題を探究し、解決法を探ったり、実践したりする思考と行動のプロセスを学ぶことは、先が見えにくい時代には、とても大切なスキルです。そして、Amazon Think Big Spaceのような場所があることで、子どもが自分にあった学び方を選択し、進めていく個別最適の学習にも取り組みやすくなると思いました。豊かな発想を広げ、形にできるかどうかには、設備や環境の充実度が影響します。しかし、学校だけで担うのは限界があります。産学連携は、その支援の一つの形だと思いますし、この場所は他の学校への刺激と気づきを与える場にもなっていくと感じました」

Amazon Think Big Spaceと書かれた背景の前に並び、手を振る人々。前列は制服の生徒5人が座り、後列にはスーツやTシャツ姿の成人5人と、中央に「100th」と書かれた金色の鍵型オブジェクトを持った生徒が立っている。他の8人は宇宙船や宇宙飛行士、ロケットを模したバルーンを持っている。

Amazonはこれからも、子ども・生徒たちが身の回りの課題を発見し、その解決に向けて考える力、そして将来の選択肢を広げるSTEM教育の支援を続けていきます。

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