日本では政府、民間そして地域をあげてデジタル化を加速させ、様々な社会課題を解決しようというデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが活発化しています。このBlogでは、中小規模事業におけるデジタル化をテーマに取材に基づくストーリーをシリーズでお届けします。

日本は世界で最も高齢化が進んでいる国の一つ。介護施設の需要が急速に高まる中、介護従事者皆さんの労働環境の改善が急務となっています。施設を利用されている皆さんにより多くの時間寄り添っていけるよう取り組んでいるヒューマンライフケア株式会社の取り組みをご紹介します。日々の業務の中で利用者の皆さんと接している時間が一番嬉しいという現場スタッフの想いと、全体の作業量の3割以上を占める事務作業の負担軽減の必要性を痛感する本社スタッフの信念が、解決に向け動き出しました。

笑顔が一番の元気 介護現場の一日

墨田区鐘ヶ淵にある団地の一角から、軽快な音楽が漏れ聞こえてきます。

ここは、ヒューマンライフケア株式会社が運営するデイサービス施設「ヒューマンライフケアしらひげ乃湯」。施設の中では、20名を超える利用者の皆さんが、音楽に合わせて運動レクリエーションを楽しんでいます。明るい音楽に混じって聞こえてくるのは、利用者の皆さんとスタッフの笑い声。笑顔の中心にいるのは、施設の管理者を務める鵜澤麻実さんです。

「まだ介護の仕事をしていなかった9年前、祖父母が病気になり、在宅介護をすることになりました。ところが、大好きな祖父母をいざ介護するとなったとき、料理を作ったり、体を拭いてあげたりすることしかできない自分にがく然として……。その時の後悔の気持ちが大きくなり、介護を仕事にすることを決意しました。必要な知識や技術を身につける日々の中で、利用者様を自分の祖父母だと思って接したいという想いはずっと変わっていません」

にっぽんの中小規模事業のデジタル化を応援1:ヒューマンライフケアが描く新たな介護現場の未来
ヒューマンライフケアしらひげ乃湯 所長 鵜澤麻実さん

ヒューマンライフケアしらひげ乃湯の壁や天井には、利用者の皆さんが作成した塗り絵や季節のオーナメントがたくさん飾られています。「利用者様に楽しく過ごしていただきたいという想いから、季節の行事やおやつ作りなど、毎月さまざまなレクリエーションを催しています」と鵜澤さん。一方で、その準備や事務処理などに費やす時間は、年間9,000時間を超えていたと言います。

「レクリエーションで使う文房具やイベント用の食べ物など、多いときには何軒もの店舗を回って買い出しをしていました。支払いはスタッフが立て替えて、重い荷物を持ち帰ってくる。その作業だけでも多くの労力や時間を割いてきました。さらに、終業後に立替精算の事務処理を行うので、残業することもありました。利用者様のケアや、ご家族への連絡ノートの作成の合間を縫って、こうした事務作業をしていたので、スタッフの負担は相当なものでした」

にっぽんの中小規模事業のデジタル化を応援1:ヒューマンライフケアが描く新たな介護現場の未来
施設内での季節の催事の様子

ただでさえ多忙を極める介護現場にあって、日常的に業務を圧迫していた買い出しや事務処理の時間は大きな負担でした。しかし、ヒューマンライフケアの全国の施設に「Amazonビジネス」が導入されたことを境に、現場に大きな変化が生まれたと鵜澤さんは言います。

大幅に削減された事務作業の時間を、利用者の皆さんと触れ合うひとときへ

Amazonビジネスは、法人・個人事業主向けのEコマース。購入方法は個人向けのAmazon.co.jpのECサイトと同じなので研修も不要で、すぐに使い始めることができます。また、企業での購買に欠かせない請求書払いや法人価格、承認作業や購買分析ツールなどのサービスや機能が付加されています。

「大きな負担となっていた買い出しと事務作業がパソコン1台で済むようになりました。さらには請求書の一括管理によって立替精算が不要となり、業務効率が格段に向上しました。Amazonビジネスは品揃えが豊富なので必要なものが見つかりますし、カスタマーレビューも良い判断材料になっています。以前は購入後に『使い勝手が悪かったね』と反省することもあったのですが、カスタマーレビューで事前に使用感を確認できますし、パソコンの画面を一緒に見ながら複数のスタッフの意見を聞くこともできるようになりました」

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スタッフの業務風景

何より、買い出しや事務処理の負担が軽減されたことで、利用者の皆さんと過ごす時間が増えたことが一番の喜びだと鵜澤さんは言います。

「この仕事で一番大切なのは、利用者様に接する時間です。利用者様からいただいた『ありがとう』の一言が、やりがいを感じる瞬間であり、スタッフ全員の糧となっています。そして、利用者様に寄り添う時間は多くの気づきをもたらします。その気づきを、ケアマネージャーやご家族にお伝えすることによって、ご家族にとってもより良いケアにつながると信じています。私個人、皆さんと一緒に過ごす時間が増えたことが心からうれしい。利用者の皆さんのことが、本当に大好きなので」

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利用者の皆さんと過ごす時間が増えたという鵜澤さん

Amazonビジネスを導入したことにより、スタッフがよりいきいきと活躍する時間が増えた介護現場。そこには、介護業界を変革していきたいと活動する、ヒューマンライフケア 戦略本部 マネジャー松坂哲史さんの熱い想いがありました。

介護業界が抱える課題を解決するために

全国で約90ヵ所のデイサービス施設を展開し、約2,200名の介護スタッフが活躍するヒューマンライフケアにおいて、松坂さんは、いかにして介護現場の業務効率化を図り、利用者の皆さんとの時間を生み出すかに取り組んでいます。

「介護業界では、長らく人材不足が大きな課題となっています。人材不足の要因のひとつが、介護業界における事務作業の多さです。実は、1日の業務のうち、1/3を事務作業が占めているのです。利用者様と接したい、サポートしたいという想いや志を抱いて入社してきたスタッフが、立替精算や連絡ノートの作成といった事務作業の多さに驚き、離職してしまうケースもありました。こうした中で、時間のかかる事務業務はどんどん削って、利用者様と接する時間を増やしたいと思ったのは必然でした」

従業員満足度を高めることで離職率を下げ、働き続けたくなる環境を作ろうと考えた松坂さんは、Amazonビジネスの存在を知って導入を検討し始めました。

にっぽんの中小規模事業のデジタル化を応援1:ヒューマンライフケアが描く新たな介護現場の未来
ヒューマンライフケア 戦略本部 マネジャー・松坂哲史さん
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課題解決への強い意思が変革を生む

現場で働くスタッフの負担を考え、すでにプライベートで使い慣れたツールを水平展開したいと考えていた松坂さんは、Amazonビジネスは最良の選択肢だという確信を強めていきます。

「逆風がなかったわけではありません。会社で新しいことに取り組むとき、イノベーションを起こそうと考えたとき、反対意見が生じるのは自然なことです。でも、それに負けない意思と確信がありましたので、役員に『Amazonビジネスの導入トライアルをやらせてください』と直訴しました。私の熱意に押された部分もあったと思いますが、無料でトライアルが可能だったので、無事に役員の承諾をもらうことができました」

導入にあたっては、現場で使いやすい運用を目指しました。

「当社には月末締めの翌月末払いといった締日などの細かな経理プロセスがあり、運用にあたりフレキシブルな調整が欠かせませんでした。Amazonの担当者の方からも『もっと良くするにはどうしたらいいですか?』と質問をいただくこともあり、使い勝手の良さや利便性を常に追求しているということが分かりました。疑問点に対する回答もスピーディーだったおかげで、検討を開始してからわずか4か月後の2018年4月から全施設への導入することができました」

笑顔あふれる介護業界の未来を

「いまでは、現場のスタッフから『買い出しの負担が減りました』『利用者様と接する時間が増えました』など、うれしい声が届いています。会社全体でも、いい変化が起きています。簡単に作成できる購買レポートにより現場が必要としている商材を把握することができるようになりました。ある施設が面白そうな商品を購入していれば、ユニークな事例として全国の拠点と共有するようになりました。また、コロナ禍で買い物のための外出を控えるという世の中の動きを受けて、周辺のスーパーなどではなかなか購入できない地方の名産品を購入するなど、インターネットならではのメリットを活用して、利用者様にも喜んでいただき、レクリエーションの質を高めようという動きも出てきています」

松坂さんは、そうした小さな取り組みの一つひとつが、介護業界の未来を替えていくと信じています。「今後、ますます高齢化が進む日本社会にあって、2025年には、介護従事者の需要の15%に相当する約37万人が不足すると言われています。国としても、海外の人材を受け入れるなどの施策を打ち出していますが、それでも絶対数が足りないといわれています。だからこそ、介護業界に潜む無駄をなくし、現在の介護従事者の労働環境の改善に取り組むべきだと思います。そのひとつの解決策として、Amazonビジネスを導入したことは、笑顔あふれる介護業界の未来への大きな一歩を踏み出せたと確信しています」

~にっぽんの中小規模事業のデジタル化を応援~
【その1】ヒューマンライフケアが描く新たな介護現場の未来
【その2】和飲風土が目指すお酒文化の継承
【その3】伝道師として弓道の普及に励む、猪飼弓具店の挑戦
【その4】沖縄文化の魅力を発信する、ゆいまーる沖縄の想い

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