Amazon Adsは、Amazonの広告部門として、広告による事業課題を解決するさまざまなソリューションをご提供し、多くの中小企業の皆様にご利用いただいてきました。
70年以上にわたり、新潟県燕市でキッチン用品などを手がけてきた和平フレイズ株式会社もそのうちの1社です。同社は、2005年からAmazon.co.jpでの販売を開始し、長年培ってきたモノづくりの精神を土台にブランド戦略を進めてきました。
初めは、手探りで始めたAmazonへの出品と広告運用でした。しかし、Amazon限定ブランドのフライパンセット『リュッカ』の成功をきっかけに、「売る」から「伝える」ブランディングへと意識が大きく変化したことが同社のブランド戦略において、大きな転換点となりました。Amazon Adsを活用しながらブランド認知を高め、指名検索率を1.7倍に増やす※という成果を上げたその裏側には、担当した3人の試行錯誤と挑戦の軌跡がありました。
※ 2023年累計と2024年累計の比較。和平フレイズ調べ。参考事例であり、すべての広告主様が同様の結果を得ることを保証するものではありません。

手探りでスタートしたAmazonでの販売と広告施策
和平フレイズ株式会社は、モノづくりの町・燕三条の地で、日々の暮らしに寄り添う高品質なキッチン用品を生み出してきました。第一営業部 部長の中野勉さんは自社についてこう語ります。
「和平フレイズは家庭用キッチン用品をメインに開発、営業、物流までを自社で行っています。1951年に和平商店として事業を始め、1975年には、物流センターのあった新潟県燕市に本社を移転しました。私たちは調理用品を、ただ料理を作る、食事をするだけの道具ではなく、毎日の生活を楽しくする役割を担うものだと考えています。そのため、日々、商品をお使いになるお客様の声に⽿を傾けて商品開発を⾏うとともに、細⼼の注意を払って品質管理を⾏っています」(中野さん)
同社がAmazonに出品を開始したのは2005年のことでした。
「それまで販路の中心だったブライダル市場で、ギフトカタログなどの導入が増え、市場が変化を始めた頃でした。新しい販路を得るために、オンラインにも挑戦していこうと、Amazonでの出品を開始しました。しかし、Amazonでの販売を開始したものの、オンライン販売に関する知識が何もない状態からのスタートで、最初の10年間はAmazonのサイト上に商品を置いているだけのような状態でした。その後、Amazonでの販売を軌道に乗せるために、2019年頃から本格的に広告施策をスタートしました」(中野さん)

偏った広告運用によって引き起こされた課題
中野さんたちが当初活用したAmazon Adsの広告ソリューションは、主にコンバージョンを高め、商品購入につなげることに役立つAmazon Adsのスポンサープロダクト広告でした。第一営業部EC企画課マネジャーの梨本千ひろさんは、当時をこう振り返ります。

「当時SNSやメディア露出によって、偶然バズったり、人気が出た商品がいくつかありました。そのため、私たちはそれらの商品にのみスポンサープロダクト広告を実施し、さらなる売り上げを期待しました。しかし、和平フレイズで取り扱っている商品は常に3,000点以上あるので、その偏った広告展開によってそれ以外の大量の商品が日の目を見ない状態になってしまいました。その結果、広告を展開していた人気商品だけが売れ過ぎて欠品してしまい、せっかくお客様のニーズがあるのに販売機会を逃してしまったり、また商品の人気が過ぎ去ってしまった後に大量の在庫を抱えることになったりと、偏った広告配信をしたことによる歪みが出てきました」(梨本さん)
転機となったフライパンセット「リュッカ」の開発とAmazon限定ロゴの開発によるブランド戦略
和平フレイズの転機となったのは、Amazon限定ブランドのフライパンセット「リュッカ」の開発と、和平フレイズというブランド全体を「伝える」ことへの意識の変化でした。第一営業部EC企画課チーフマネジャーの伊藤健さんが、当時の状況について教えてくれました。

「それ以前にもAmazon限定ブランドは販売していたのですが、2019年から新たにフライパンセットの『リュッカ』の開発を始め、2020年に販売を開始しました。『リュッカ』は、ブランドスペシャリストと呼ばれるAmazonのコンサルティング担当者と一緒に、開発のスタート時点から広告の出稿、その後のフォローアップまで二人三脚で取り組んだ商品です」(伊藤さん)
Amazon Adsのブランドスペシャリストは、販売事業者様の課題を発掘し、どうすれば事業がさらに成長できるのかを販売事業者様と共に考え、改善策の提案・実行を支援します。担当する販売事業者様に寄り添い、成功していただくために、時には商品開発のための出張にブランドスペシャリストも一緒に同行することがあります。
「当時のフライパンは、暗い色のものが多かったのですが、広告で目に留まりやすくするということを考え、あえて鮮やかなターコイズブルーを採用し、視覚的な誘導を図ることにしました。また、発売日も閲覧が最大化するブラックフライデーのセールに合わせ、商品単体ではなくブランドとしての認知度を高めることに役立つAmazon Adsのスポンサーブランド広告を活用しながら、予約販売の形で商品の周知を図りました」(梨本さん)
その結果、商品詳細ページの閲覧数が大幅に増えたと言います。
「たくさんのお客様にご購入いただき、『リュッカ』は和平フレイズのヒット商品に成長していきました」(伊藤さん)
『リュッカ』の成功がトリガーとなり、和平フレイズのAmazonでの販売は軌道に乗りました。Amazon Adsのブランドスペシャリストとのミーティングを重ねる中で、商品単体だけではなく、和平フレイズというブランドと、ブランドの商品群全体を知ってもらう必要があるということに中野さんたちは気づき始めました。ここから和平フレイズは「伝えるブランド」への変革をスタートさせます。
「会社のロゴには『FREIZ』というアルファベットの文字が使われているのですが、これが和平フレイズとイコールにならないお客様が多くいらっしゃったようで、『商品を購入してみたら、和平フレイズのものだった!』というお声が届くことがありました」(中野さん)
多数の競合他社がいる中で、どのように和平フレイズをブランドとして広めることができるか。伊藤さんたちの次なる課題は、和平フレイズというブランド名をしっかり覚えてもらうことでした。
「そこで、『和平フレイズ』という日本語表記のロゴを、Amazon限定で2023年に作成しました。それまでは単一の商品をどうやって見せるかということに注力していましたが、ロゴを作ったあたりからは、和平フレイズブランドとして、どうやって見せていくか、ということに注力し始めました」(梨本さん)

「Amazon限定で和平フレイズのロゴを作成し、スポンサーブランド広告を活用して露出の強化を図り、ブランドの認知度を高めることを目指しました。また、ビッグセール時に大きな売上の山を作りたいという気持ちは常にありましたが、その時だけアクセルを踏んでも、結局は大きな山にならないので、現在ではAmazonでの新規登録商品すべての露出を大事にするようになりました」(伊藤さん)
カスタマーレビューをもとに、お客様の目線に立って商品を訴求
ロゴを作ったことに加えて、「ユーザーの目線に立って商品を訴求する」大切さに気づいたことも、大きな変化の1つでした。
「商品のパッケージに書いてあるような一般的な商品特徴では、Amazonのお客様にはあまり響かないということに気づいてからは、Amazonのお客様にアピールできる商品特徴を打ち出すようになりました」(梨本さん)
その具体例を中野さんが説明してくれました。
「たとえば、フライパンの頑丈さを訴求するために『何万回の耐久テストに合格』などと謳われていることがあります。でも、Amazonのお客様が求めている情報は洗いやすさや軽さだったり、『1人暮らし用かファミリー用か?』といったことだったりします。Amazonのカスタマーレビューなどを参考にしながら、この商品に関してはどの点を訴求するべきか、どのように伝えていくのか、ということを考えて商品ページを作成するようになりました」(中野さん)
ブランドの認知率が拡大し、指名検索率が前年に比べて1.7倍にアップ
こうした「伝えるブランド」への変革により、2024年には、和平フレイズは前年比で、指名検索率が約1.7倍に増え、着実にブランドの認知と理解が広がりました。
「それまでは『安くて意外と使ってみたらいいじゃん』というような商品に対するレビューが多かったのですが、最近は、『さすが和平フレイズ!』のように、和平フレイズ全体を褒めていただけるカスタマーレビューが増えてきているのを実感しています。ブランドの認知度が高まり、『和平フレイズの商品』という認知がお客様に広まった結果かと思っています。とてもうれしい反面、より一層、和平フレイズとして誇れる商品をご提供していかなければいけない、と身が引き締まる思いでいます」(梨本さん)
手探りでスタートしたAmazonでの販売を、成功させた和平フレイズ。次なる課題と今後の目標について、伊藤さんは次のように語りました。
「以前はお客様に商品を見ていただくためには、アイテムを増やすしかないと思っていたのですが、現在はお客様に商品を見つけていただけるようになったので、今後はいかに回遊率を上げて、購入につなげていけるかが課題です。僕たちは課題に対して、今も日々、試行錯誤を繰り返していますが、これまでの経験を経て、日々の挑戦を楽しむという意識に変わってきました。小さな成功の積み重ねが、前向きな挑戦への原動力になっています。これからも楽しみながら、たくさんの挑戦をしていきたいと思っています」(伊藤さん)
中野さんも「Amazonでのさまざまな取り組みをきっかけに、近年は社外だけでなく社内の雰囲気も変わってきたように思う」と気持ちの上での変化を感じると言います。
「和平フレイズというブランドの認知が広まったことで、社員たちのブランドへの愛着も増したようです。Amazonでの出品を始めた当時は、経験がなかったため戸惑うことも多かったですが、経験を共に積んできた今のチームとなら、どんなことにもチャレンジできると思っています。今後は、指名検索率のさらなる拡大を目指しながら、和平フレイズのファンになってくださるお客様がもっともっと増えていくように、挑戦していければと思っています」(中野さん)
和平フレイズのブランド戦略については、Amazon Adsが中小規模の販売事業者様の成長支援のために取り組んでいるドキュメンタリー動画シリーズ「Rising Stars Season 2 - 和平フレイズ篇」でもご紹介しています。
Amazon Adsについて
Amazon Adsは、あらゆる規模の企業が大規模にマーケティング目標を達成できるよう、フルファネルの広告ソリューションを提供しています。これにより、広告主様はファーストパーティのインサイトを活用し、Prime VideoやTwitch、サードパーティのパブリッシャーなどのプレミアムコンテンツを通じて、関連性の高いオーディエンスにリーチできます。さらに、認知、検討、購買といったファネルの各段階においてキャンペーン戦術を結びつけ、効果を測定することが可能です。
Amazon Adsについて詳しくは、advertising.amazon.comをご覧ください。
Amazon Adsのスポンサープロダクト広告とは
Amazonおよび一部のプレミアムアプリやウェブサイト上で、検索結果や商品詳細ページに表示されるクリック課金型(CPC)の広告です。検索キーワードに応じて表示される検索結果のページの上部、中部、下部および商品詳細ページに、商品が優先して表示され、デスクトップ、モバイル、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスで表示されます。購入意欲の高いお客様に直接リーチでき、クリック後は商品詳細ページに誘導されるため、スムーズな購買体験を提供します。
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Amazon Adsのスポンサーブランド広告/スポンサーブランド動画広告とは
ブランドの認知度を高め、購買意欲を促進する広告です。検索結果ページの上部や商品詳細ページなど目立つ位置に表示され、ブランドロゴやカスタムイメージ、自動再生動画を活用して、ブランドや商品の魅力を訴求します。スポンサープロダクト広告と同様にクリック課金制(CPC)ですが、商品単体ではなくブランド全体を訴求する点で異なります。これにより、広告主様はより包括的なブランドストーリーを伝えることが可能となり、ブランド認知の向上や顧客との関係構築を促進します。
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