株主の皆様へ

当社が毎年、発行している株主の皆様への書簡をCEOとして執筆するのは2年目となりますが、私は今、机に向かいながらAmazonの将来に期待と高揚感を感じています。マクロ経済において2022年は、ここ数年間に記憶している中でもとりわけ困難な年でした。当社においてもいくつかの経営上の課題が浮上しましたが、(過去最高の成長を記録した新型コロナウイルス感染症のパンデミック期の前半からさらに)需要を拡大させることができました。お客様の体験(カスタマーエクスペリエンス)を短期的、長期的に意味のある形で向上させていくため、主要事業の変革を推進しました。そして、お客様、株主の皆様、社員にさらに貢献できる企業となっていくために必要な長期的投資を継続しつつ、投資判断や今後の発明の在り方や進め方についても重要な調整を行いました。

この1年間に通常では考えられないほど数多くの変化が起こりましたが、実際には、能力と資金力を持つ多くの企業が競合する大規模かつ、ダイナミックなグローバル市場(Amazonのすべての事業がこのような環境で展開されています)では、停滞した状況が長く続くことはめったにありません。

私がAmazonで働いてきた25年間も、常に変化とともにありましたが、その多くは当社が自ら起こしてきたものです。私が入社した1997年当時、Amazonは(1996年)の収益は1,500万ドルで、書籍のみを扱う小売業者でした。Amazon以外の事業者が販売するマーケットプレイスもなく、商品の発送先は米国内に限られていました。現在では、およそ考えうる、デジタルを含むあらゆる商品を販売しています。当社の販売量の6割を占める販売事業者様による販売は、活気あるエコシステム(相互的かつ協力的な関係性)によって成り立っており、世界中のほぼすべての国のお客様に商品をお届けしています。また、当社がAWS(アマゾン ウェブ サービス)を検討し始めた2003年には、一連のテクノロジー基盤サービス事業をクラウドで展開することは一般的ではなく、初めてサービスを立ち上げた2006年にもまだ状況はあまり変わっていませんでした。2007年にKindleを販売した当時、ほぼすべてのデジタル本をわずか60秒で指先から入手した上、それを保存したり取り込める軽量の電子書籍リーダーはまだ存在せず、2014年にAlexaを販売した時も、エンターテインメントやスマートホームの管理、ショッピング、情報の収集が可能な音声パーソナルアシスタントツールはありませんでした。

マクロ経済的状況や非効率的な経営により、新たな課題に直面したこともありました。例えば2001年のインターネットバブル崩壊の際には、ホリデーセールの商品を確保するために信用状の発行を受け、事業の収益性を強化するためにコストの合理化を図る必要がありました。しかし、それでも長期的なカスタマーエクスペリエンスや構築しようとしている事業を優先してきました(2001年の不安定な時期はほとんどのカテゴリーで値下げを実施したことを覚えておられる方もおられるかもしれません)。このようなバランスを取る対策は、2008〜2009年の住宅ローン危機の際にも講じました。コスト構造やストア事業の効率の見直しのためのいくつかの手段を講じつつ、合理化と並行して、株主の皆様にしっかりと還元できる将来の見込みが大きな事業のカスタマーエクスペリエンスに投資を行い、バランスを取りました。2008年、AWSは誕生したばかりのごく小規模な事業でした。着眼点はよかったのですが、かなりの設備投資が必要でした。(オンラインショップとして広く知られていた)Amazonがなぜクラウドコンピューティングにそれほど投資するのか、社内外からの疑問の声がありました。ですが当社には、お客様やAmazonの未来に多くの価値をもたらす特別な物を創出しようとしているのだという信念がありました。競合となりうる他社に先行した取り組みでしたが、むしろ目指したのは社内のイノベーションのスピードアップでした。AWSへの投資を継続する長期的な判断を行ってから15年が経過し、現在AWSは年間収益ランレートが850億ドルに達し、強靭な収益性を確保し、スタートアップ企業から多国籍企業、公共部門の組織まであらゆるお客様のテクノロジー基盤管理を変革しています。2008〜2009年にAWSへの投資を緩めていれば、Amazonは異なる企業になっていたでしょう。

変化は常にすぐ近くにあるものです。変化を積極的に取り入れることもあれば、突然向こうからやってくることもあります。向こうからやってきた場合は、受容することが重要です。そのことを長期にわたり行っている企業はたいてい成功しています。私が当社の将来を楽観視しているのは、目の前の変化に対する当社の対応が優れているからです。

この数か月、Amazonでは社内全体で各事業、各開発プロジェクトを精査し、それぞれの取り組みが長期的に十分な収益、営業利益、フリーキャッシュフロー、設備投資のROI(投資利益率)を確実に創出できるかと自らに問いかけました。その結果、いくつかの事業から撤退しました。例えば、Bookstoresや4 Star storesなどの実店舗展開をストップし、Amazon FabricやAmazon Careをクローズし、一部の新デバイスのうち将来的な利益率を十分に見込めないものについては転換を図りました。また、期待した利益率を得られなかったプログラム(35ドル以上の食品の注文の送料無料など)を見直し、修正を行いました。リソース配分も見直した結果、27,000のオフィスでの職務を削減するという厳しい決断を行いました。その他にもこの数か月で全体コストの合理化のためさまざまな変更を行ってきました。そのほかの多くのリーダーシップチームと同様に、私たちは引き続き事業の状況を常に検証し、適切に対応していきます。

また、社員がチームとして仕事を共に遂行できる方法を検討した結果、オフィス勤務の社員には5月から週3日以上の出社を求めることとしました。パンデミック下では、在宅勤務を行いながら、予想外の状況に対応するべく全力を尽くしてきました。このように社員が力を合わせ、未曾有の困難を乗り越えお客様、地域、事業に貢献してきたことは感慨深く、誇りに感じます。ですが、私たちはこれが長期的に最善の選択であるとは考えていません。社員が共に働き、実際に会って学び合う方が、協業やこれまでにないアイデアの創出といった発明への活動をよりスムーズに、そして効果的に実現できるという結論にいたりました。対面であれば意見を熱く交わすといったことが起こりやすくなります。当社が生み出してきた多くのものは、会議後に残ってホワイトボードでアイデアを練ったり、自席に戻る途中で会話を続けたり、少し時間が経ってから別のアイデアがひらめき他のチームメンバーに話しに行くといった行動が、ブレイクスルーの瞬間を生んできました。これまでにないアイデアを創出する発明の過程は、常に理路整然と進められるわけではありません。考えはさまよい、蛇行し、温められます。偶発的なやり取りがこれを前進させ、それはバーチャルより、顔を合わせたほうが発生しやすいのです。また、オフィスでほとんどの時間を一緒に過ごし、他の社員に囲まれている方が、企業文化の学習、モデル化、実践、強化も大幅に容易になります。これまでの29年の歴史において、イノベーションと独自の文化は非常に重要でした。次の29年も同様だと考えています。

継続的に対処してきた重大な課題として、フルフィルメントネットワークのコスト増(Amazonからお客様に商品をお届けするコスト)の問題があります。フルフィルメントのコストと配送スピードを大幅に向上するためのいくつかの変更を行いました。

多くの実店舗が休業に追い込まれたパンデミック初期には、当社のコンシューマー事業は一気に拡大し、収益は2019年から2022年にかけて、2,450億ドルから4,340億ドルに増加しました。その結果、それまでの25年間に構築してきたフルフィルメントセンターの倍増と、ラストマイル配送ネットワークの構築の加速を約2年で実現することが必要となり、現在ではUPSと同規模のネットワークとなりました(長距離輸送の効率化、迅速化を図るためソートセンターネットワークも新たに構築しました)。これは簡単なことではありませんでしたが、何十万人ものAmazon社員の多大な努力によりこれを実現しました。一方、当然ながら、変化のスピードと規模が大きかったため、意図する生産性を達成するためには多くの最適化が必要でした。この数か月、当社ではフルフィルメントセンターと輸送網のあらゆる業務を精査し、多くの業務や枠組みを見直したことで、過去の数四半期で安定的な生産性の向上とコスト削減を実現しました。取り組みは継続する必要がありますが、これまでの成果は素晴らしく、意義深い改善にうれしく思っています。

またこの機会に、今後何年もコスト削減とスピード化を図っていけるよう、広範な構造改革も行いました。例えば、米国のフルフィルメントネットワークの体制を見直しました。最近まで米国では全国で1つのフルフィルメントネットワークを通して、商品を全国のフルフィルメントセンターから発送していました。お客様から受注した商品が近くのフルフィルメントセンターにない場合、他の地域のフルフィルメントセンターから出荷することになり、コストと配送時間が余分にかかっていました。この数年でフルフィルメントセンターを数百拠点増設したことでこの課題はさらに顕著になり、在庫はより多くの拠点に分散し、フルフィルメントセンターと配送ステーションの効率的な連携がより複雑になりました。昨年、当社は在庫配置戦略の刷新に着手し、フルフィルメントセンターのかなりの部分を全国フルフィルメントネットワークから地域ネットワークモデルに移行しました。社内で大きな変革を進め(在庫配置や物流ソフトウェア、プロセス、物理オペレーションなど)、より狭いエリアが相互に接続する8つのリージョンを立ち上げました。各リージョンはほぼ自給自足的に運用できるよう豊富で適切なラインナップを揃えつつ、必要であれば全国発送も可能にしました。特に、この非常に多くのインフラを接続し最適化することはとても意義深く、困難な作業でした。私たちはまた、高度な機械学習アルゴリズムを強化し、全米の地域ごとのお客様のニーズを予測し、各リージョンで時期ごとに求められる適切な在庫を確保できるようにしています。このリージョン展開が最近完了し、早速、成果が出始めています。輸送距離が短くなることで、配送コストの削減、環境負荷の低減、お客様へのより迅速な配送が可能となります。お客様への商品のお届けについては、翌日配送や当日配送が増え、2023年のプライム配送は過去最高のスピードを実現できると考えています。全体として、コスト削減、配送時間の短縮、健全な利益率を確保したリテール事業の拡大に向けた計画を達成できると考えています。

AWSの年間収益ランレートは850億ドルで、まだ普及曲線の早期段階にありますが、長期的なお客様への貢献につながるものに引き続き集中することが非常に重要な時期でもあります。AWSの2022年の収益は、前年の620億ドルから29%増加しましたが、現在のマクロ経済的に困難な状況で企業が支出に慎重になる中、AWSは短期的な向かい風を受けています。この厳しい状況の中でいかに顧客からお金を引き出せるかに執心する企業もありますが、これはお客様の望んでいることではなく、長期的にお客様に対する最善策ではないため、当社は異なる方針を採用しています。AWSやクラウドコンピューティングの数多くのメリットの1つは、事業の拡大に伴いシームレスにスケールアップでき、逆に事業が縮小すれば、容量を当社にお返しいただくことで、支払いを止めることができる点です。この柔軟性はクラウド独自のものであり、多額の設備投資により自社でオンプレミスのデータセンターやサーバー、ネットワーク機器を保有している場合にはないものです。Amazonのすべての事業で言えることですが、AWSも単一の四半期や年を見て最適化を行うのではありません。当社は、お客様との関係(そして事業)が、私たちのいなくなった後も末永く存続することを目指しています。結果として、AWSの営業部門やサポート部門は多くの時間を割いて、お客様がAWSにお支払いいただくコストを最適化し、現在の不確かな経済状況を乗り切っていただけるよう支援しています。AWSの多くのお客様からは、コストを切り詰めているというよりコストを最適化し、新たに導入したい先進的で独創的なカスタマーエクスペリエンスにリソースを充当できるといった声が届いています。このお客様中心型の長期的なアプローチはお客様の高い評価をいただいており、お客様にとってもAWSにとっても将来性が高いものであると考えています。

短期的な向かい風により、成長率は鈍化していますが、AWSには基本的に多くのポジティブな要素があります。力強い新たなパイプラインやお客様の移行も進んでいます。多くのお客様がこのような連続性のない時期をきっかけに一歩下がり、何を戦略的に変革したいかを検討しています。自社でインフラを管理する体制からAWSに移行し、俊敏性、革新性、コスト効率、セキュリティーのメリットを享受される企業が増えています。最も重要な点として、AWSはお客様に対し、新たな機能を次々と提供し(2022年は3,300以上の新機能・サービスを投入)、革新的な可能性をもたらす長期的な発明に投資し続けています。

例えば、チップ開発です。昨年の書簡で私は、AWS Gravitonという汎用CPUプロセッサーへの投資について書きました。AWS Graviton2を搭載するコンピュートインスタンスは、同クラスの最新世代x86ベースインスタンスと比較してコストパフォーマンスが最大40%アップします。2022年には、AWS Graviton2プロセッサーより性能が25%アップしたAWS Graviton3を投入しました。また、機械学習の普及が進む中、低コストのGPU(最も一般的に機械学習に用いられるチップ)も求められていました。AWSはこのような機械学習のトレーニングおよび推論(=機械学習モデルが提供する予測や答え)に特化したチップへの投資を数年前に開始しました。初のトレーニング専用チップ(AWS Trainium)を2022年に投入し、最も一般的な機械学習モデル向けとしてAWS Trainium搭載インスタンスはGPU駆動のインスタンスより140%の高速化と70%の低コスト化を実現します。ほとんどの企業がまだ機械学習をトレーニングしている段階ですが、大規模な本番稼働に向けたモデルも開発する中で、今後コストの大半が推論に費やされると考えています。これは、モデルのトレーニングは定期的であるのに対し、推論は対象アプリケーションの実行に伴い、常時行われるためです。当社は初の推論専用チップ(Amazon Inferentia)を2019年に投入しました。これによりAmazonをはじめとするさまざまな企業がこれまですでに何億ドルもの設備費を節約しています。当社が新たに投入したAmazon Inferentia2チップは、初代Amazon Inferentiaプロセッサーと比較して最大4倍のスループット、10分の1のレイテンシーを実現します。機械学習が今後も大きく成長していく中で、お客様はAWSのトレーニングおよび推論専用チップを活用し、コストを大幅に削減しつつ、より多くの処理をこなせるようになります。当社のイノベーションはまだまだ道半ばですが、この長期的な投資は、お客様にとってもAWSにとっても実りあるものとなるでしょう。AWSはまだ進化の早期段階であり、今後10年間で非常に大きな成長機会が存在しています。

同様に大きな可能性を秘めているのがAmazonの広告事業です。この事業はブランドオーナー様にユニークな効果を提供し、勢いよく成長を続けています。店頭で販売棚のスペースやエンド陳列、チラシ掲載で広告展開されるのと同様、当社のスポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告は10年以上にわたりAmazonのショッピング体験の重要な部分を占めてきました。ただ、実店舗と異なり、Amazonはお客様の購買行動の把握や機械学習アルゴリズムへの重点投資により、お客様のお探しの商品に合わせてスポンサープロダクト広告を提案できます。お客様にとってより有益な広告を表示し、結果としてブランドオーナー様にとってのパフォーマンスも向上します。このような背景から、ほとんどの大手広告関連企業の成長が過去数四半期にわたって鈍化しているのに対し、当社の広告事業の収益は急速に成長(2022年第4四半期は前年同期比23%増、2022年通期では前年の310億ドルから25%増)しています。

当社は広告主様のブランド構築のためのベストな広告媒体を目指しています。この使命を達成するための短期的、長期的なチャンスが当社にはあります。引き続き機械学習に多額の投資を行い、広告選択のアルゴリズムを強化します。この数年間、マーケターの皆様が広告の効果を評価するための、包括的かつ柔軟で長く使えるプランニング・測定ソリューションの構築に投資してきました。その例がAmazon Marketing Cloud(AMC)です。AMCは、広告およびビジネスインサイトを生成して、より幅広いマーケティングおよび販売戦略に反映することができるいわば、「クリーンルーム」(セキュアなデジタル環境)です。広告主の皆様は、プライバシーに配慮した方法で、ファーストおよびサードパーティのさまざまな入力に対してカスタムオーディエンスおよびキャンペーン分析を実行することができます。

当社の広告事業とAWS事業が連携し、データのAWSへの保存、AmazonやサードパーティーのデータソースのAMCでの安定した運用、AWSでの解析の実行、Amazon DSP (Amazon Demand-Side Platform)を介したAmazonまたはサードパーティー媒体への出稿のオプションなどをお客様に提供しています。この機能連携はお客様の高い評価を得ています。また、慎重な検討のもと、広告を動画、スポーツ生中継、音声、食料品といった商品に組み入れることも可能と考えています。ブランドオーナー様が適切なお客様とつながることができるよう支援の取り組みを継続し、この事業を成長させていきます。

変動の激しい時期には既存の主要事業のみに集中したいと考えがちですが、お客様をさまざまな側面から支援できる、持続可能で長期的に成長を続ける企業となるためには、お客様と自社に優れた影響をもたらす長期的なカスタマーエクスペリエンスの創出や取り組みを止めることはできません。

当社では新たな投資機会について検討する際、次のような問いを自らに投げかけます。

• 成功した場合、それは大きな成功か? 設備投資に対する十分なROIが得られるか?
• 現在、その機会が十分に提供されているか?
• 取り組みにおいて差別化を図れるか?
• この領域で必要な能力を有しているか? 有していない場合、速やかに能力を獲得できるか?

このような問いの結果が芳しいものであれば、投資を行います。このような手順を踏むことで単純明快な展開につながることもあれば、当初予想しなかった展開となることもあります。

創業初期の例としては、書籍のみの販売から事業を拡大し、音楽、動画、電子機器、おもちゃなどのカテゴリーを追加しました。これは当時(1998〜1999年)、広い賛同を得られませんでしたが、今振り返ってみると、当然の選択と言えます。

ストア事業の国際展開についても同じことが言えます。2022年、当社のコンシューマー部門の全世界での収益は1,180億ドルでした。国際的に事業を展開する当社のコンシューマー事業は大規模で確立されており、その規模ゆえにマクロ経済状況での減速の影響を受けていますが、2019〜2021年の業績成長は顕著で、年平均成長率(CAGR)は英国で30%、ドイツで26%、日本で21%でした(為替の影響を除く)。この数年間、当社はインド、ブラジル、メキシコ、オーストラリア、欧州の数か国、中東、アフリカの一部の国など世界中の新たな地域に投資を行ってきました。これらの国では事業の立ち上げ、拡大のために一定額の投資を行いましたが、その成長は力強く、北米や確立された世界各地と同等の成長パターンをたどっています。新興国では、当社が活用したいインフラやサービス(決済方法、輸送サービス、インターネット/通信基盤など)が整備されていないこともあります。このような課題に対処するためさまざまなパートナーと協業し、お客様にソリューションを提供しています。より広い地域で事業を展開するための投資は、世界中のより多くのお客様に貢献し、より大きなキャッシュフローを創出するコンシューマー事業を構築することにつながると考えます。

地域的な拡大に加え、いくつかの大規模な特定のリテール市場セグメントで商品提供を拡大するための取り組みも進めてきました。食料品部門は米国だけで8,000億ドル規模の市場セグメントで、家庭への配送は平均で週3〜4回となっています。Amazonは20年近くにわたり、一般とは少し異なる食料品事業を大規模に構築してきました。1980年代には大手事業者が食料品事業に参入し、当社でも、スーパーマーケットに並んでいる温度管理の必要ない紙製品や缶詰、レトルト、菓子類、ペットケア製品、ヘルス&パーソナルケア、化粧品などの取り扱いから始めました。このカテゴリーで一般のスーパーマーケットでは3万点程度を取り扱うのに対し、当社では300万点以上を提供しています。これまで、当社ではオンライン配送コストの現状を考慮し、大容量のパッケージ商品を中心に扱ってきました。食料品事業の規模や成長をうれしく思う一方で、私たちはお客様の食料品ニーズにさらに応えていきたいと考えています。例えば、食品は現在も店頭購入が大半であり、実店舗の展開を拡大していく必要があります。Whole Foods Marketは40年前に自然派・オーガニックをコンセプトとするスーパーとして草分け的存在です。そして、現在もヘルシーでサステナブルな食の基準を高め続けており、成長を続ける一大事業となっています。この1年、当社は食料品事業の投資を継続しつつ、収益性の向上のための変革を行ってきました。Whole Foodsは前途有望な事業ですが、食品の実店舗展開に大きな影響を持たせていくには、拡大していく価値のある大規模な事業形態を特定する必要があります。Amazonフレッシュは当社が数年にわたり試行しているブランドで、Amazonの規模に見合う大規模な食料品事業の形態を見定め、構築するために鋭意取り組んでいます。食料品事業はAmazonにとって大きな成長機会です。

他に投資対象の例としてはAmazonビジネスがあります。当社のEコマースおよび物流の力を活用し、この大きな市場の攻略が可能です。Amazonビジネスは企業や自治体、その他の組織がオフィス用品などの大量注文品を簡単に割引価格で調達できるサービスです。この数年間、経済活動が困難に直面している分野がある一方で、Amazonビジネスは好調です。なぜでしょうか? それは、品揃え、価値、便利さを企業の調達現場に提供し、お客様の声に常に耳を傾けて学び、それに資する形でイノベーションを継続しているからです。Amazonビジネスをご存じない方もいらっしゃると思いますが、企業のお客様から高い評価を得ています。Amazonビジネスは2015年に立ち上げ、今日では年間総売上高が約350億ドルに達しています。世界のFortune 100企業のうち96社を含む600万社以上のお客様に日頃からご活用いただいており、Amazonビジネスのワンストップでのショッピング、リアルタイム解析、数億点にのぼるビジネスやオフィス向けの幅広い商品の品揃えを提供しています。これはまだ可能性の一端にすぎず、ビジネスのお客様のニーズや希望に耳を傾け、機能を構築していきたいと考えています。

多くのブランドや事業者の皆様にAmazonのマーケットプレイスで商品を販売していただいていますが、独自の直販ウェブサイトを立ち上げるブランドオーナー様や販売事業者様も多くいらっしゃいます。このような事業者の皆様にとっての課題の一つは、閲覧から購買にいたるコンバージョンの向上です。この課題に対処するため、Buy with Primeを開発しました。Buy with Primeは、ブランドオーナー様や販売事業者様が商品を自社のウェブサイトを通して、当社の多数のAmazonプライム会員に販売できる機能です。商品を購入するお客様は、Amazonアカウントを活用してプライムのスピーディーな無料配送やシームレスな購入手続きのサービスを受けることが可能になります。その他にもメリットとしてAmazonによる商品保管、ピッキング、梱包、配送、決済、返品対応などがあり、すべてAmazon Payやフルフィルメントby Amazonを活用しています。Amazonは最近、米国の全事業者様向けにBuy with Primeの提供を開始し、これまでにブランドオーナー様や販売事業者様の自社ショッピングサイトにおけるコンバージョン率は平均で25%向上しました。事業者様にとってはコンバージョンの向上や出荷作業の簡素化のメリットがあり、プライム会員にとってはプライム特典を利用できる場所が広がり、当社にとってはBuy with Primeを通して、さらなるウェブサイト上でのより良いショッピング体験をお客様にお届けすることが可能となります。

Amazonが国際的に事業を拡大し、そして当社が参入してまだ間もない大きなリテール市場で事業展開を推進し、さらには当社独自の資産を活用して事業者の皆様が自社のウェブサイトで効果的に販売を行えるよう支援することは、Amazonにとってはごく自然な事業の拡大と言えます。中核事業からは少し外れますが、ユニークなチャンスが存在するいくつかの領域にも投資を行っています。2003年はAWSがそうでした。2023年はAmazon HealthcareとKuiperがそれに並ぶものとなるかもしれません。

Healthcareの取り組みでまず着手したのは、Eコマースからそれほど大きく逸脱していない薬局事業です。何年にもわたりAmazonのお客様からは、当時の薬局に対する不満が募る中、Amazonではいつオンライン薬局を開設するのかとのお問い合わせを受けてきました。そして2020年、フルサービスのオンライン薬局であるAmazon Pharmacyを開設し、透明な価格設定、容易な再注文、プライム会員のお客様への割引の提供を開始しました。この事業は急速に成長し、革新を続けています。Amazon Pharmacyの例として、プライム会員向けのRxPass と呼ばれるサービスをご紹介します。月額5ドルの定額で、高血圧、逆流性食道炎、不安障害など数十種類の一般的な症状で処方箋を必要とする医薬品を必要な量だけ注文できます。一方、お客様からは、他のさまざまな医療サービスについても、効率が悪く不満が多いことから、Amazonにこれに置き換わるサービスを提供してほしいとの強い要望がありました。当社はまず、患者さんが最初にかかるプライマリーケアに着手しました。Amazon CareなどAmazonのこれまでの試みを含め、既存の状況を丁寧に検証、検討しました。このプロセスにおいて、患者中心の医療を提供するOne Medicalが当社事業を構築していくための優れた基盤になると判断し、2022年7月にOne Medicalの買収を発表しました。One Medicalは、数々の側面においてお客様からの評価を得ています。優れたデジタルアプリが提供されており、患者さんは簡単にチャットやオンライン会議で医師に相談することができます。通院が必要となった場合には、米国各地にあるOne Medicalの拠点に当日または翌日の予約を取ることができます。One Medicalは各都市で専門医と提携しており、地域の病院システムと密接に連携し、専門医を簡単に受診できるため、会員は必要な時に速やかにこのようなリソースにアクセスできます。今後、One MedicalとAmazonは協力してイノベーションを推進し、プライマリーケアを刷新しお客様に貢献できると確信しています。

Amazonがお客様のニーズの高い領域で長期的に取り組んでいるもう1つの事例としてKuiperがあります。Kuiperの目的は、質の高いブロードバンド・インターネット・サービスを現在、未整備である世界の各地に届けるために、地球低軌道の衛星システムを構築することです。安定したインターネットアクセスのない家庭や企業は何億も存在します。安定した接続があれば、一般の人々はオンライン教育を受けたり、金融サービスを利用したり、起業したり、ショッピングやエンターテインメントを楽しむことができます。また、企業や政府は、サービスの対象範囲を広げ、効率や業務を改善することができるでしょう。Kuiperは単にアクセスを提供するだけではなく、これをお求めやすい価格で提供します。当社のチームは利用のハードルを下げるため、低コストのアンテナ(お客様の端末)を開発しました。当社は先日、私たちの頭上を通過する衛星と通信するための新たな端末を発表しました。一般家庭向けは1台あたり400ドル未満で生産できると想定しています。サイズも小型です。台座を除く本体サイズは11インチ(約28センチ)四方、厚み1インチ(約2.5センチ)、重量5ポンド(約2.2キロ)未満でありながら、最大400メガビット/秒の通信速度を実現します。これにはAmazonが設計するベースバンドチップを搭載します。エンドツーエンド通信ネットワーク全体を検証するため2基のプロトタイプ衛星を今年中に打ち上げる準備を進めており、2024年にビジネスのお客様向けにベータ版を提供する計画です。Kuiperについてこれまで発信してきた情報に対するお客様からの手応えは非常に良好で、KuiperはAmazonにとって大きな可能性を秘めていると考えています。またKuiperにはAWSとの共通点もいくつかあります。最初に多額の設備投資が必要ですが、潜在的なコンシューマー、企業、政府の顧客基盤が大きく、大きな収益、営業利益が見込まれます。また、必要な技術力や開発力を持つ企業が比較的少なく、投資仮説でもゴーサインが出ていることも共通点として挙げられます。

今後、何十年にもわたりAmazonがあらゆる事業分野で新たな開拓を進めていくための中核となる投資分野として最後にもう1つ挙げたいのが、重点投資を行っている大規模言語モデル(LLM)と生成系AIです。機械学習は数十年前から、大きな可能性を秘めたテクノロジーと目されてきましたが、企業の間で一般的に普及し始めたのはこの5年から10年です。この転換には、利用できる演算能力が拡大したことやこれまで以上に価格が下がったことなど、さまざまな要因があります。Amazonは25年にわたり機械学習を広く活用しており、個別化されたEコマースの提案からフルフィルメントセンターのピッキング経路、Prime Airのドローン、Alexa、AWSの数多くの機械学習サービス(AWSはクラウドプロバイダーとして最も充実した機械学習機能を提供し、最大の顧客基盤を誇ります)まで、あらゆるものに組み込んできました。さらに最近では生成系AIと呼ばれる新たな形の機械学習が登場しており、これにより機械学習の普及が大きく加速化するでしょう。生成系AIは、広範なデータセットにわたる非常に大規模な言語モデル(最大何千億ものパラメーターでトレーニングされ、さらに大規模化しています)に基づいており、非常に汎用的で広範な再現性と学習能力があります。当社ではしばらく前から独自のLLMに取り組んでおり、これはあらゆるカスタマーエクスペリエンスを変革すると考えています。あらゆるコンシューマー、セラー、ブランド、クリエイターの体験においてこのモデルへの重点的な投資を継続します。また、AWSでも長年進めてきましたが、このテクノロジーについても民主化を進め、あらゆる規模の企業が生成系AIを活用できるようにします。AWSは最もコストパフォーマンスの優れた機械学習チップとしてTrainiumとInferentiaを提供しており、大小の企業が安価にLLMのトレーニング、本番稼働を行えるようにします。お客様は、AWSのセキュリティー機能やプライバシー機能、その他ご利用いただいているすべての機能を活用しつつ、さまざまなLLMから選択してアプリケーションを構築できます。また、コード提案をリアルタイムに生成することで開発者の生産性を革命的に向上させるAWSのCodeWhispererなどのアプリケーションも提供しています。LLMや生成系AIは非常に革新的であり、これだけで1本の書簡が書けてしまいますが、それは今後の書簡に譲るとして、今回はひとまずここまでとします。LLMと生成系AIはお客様、株主の皆様、そしてAmazonにとって非常に重要なものになるということを申し添えておきたいと思います。

最後になりますが、当社は現在のマクロ経済における困難な状況を乗り越え、より強くなっていると私は楽観視しています。その理由の多くは上述のとおりです。将来の大きなチャンスを分かりやすく示す2つの統計をご紹介したいと思います。2022年の当社のコンシューマー事業は4,340億ドルである一方、世界のリテール市場セグメントの大半(約8割)が店頭販売でした。世界のIT支出も同様で、AWSの2022年の収益は800億ドルで、世界のIT支出の約90%がオンプレミスでありクラウド移行が完了していません。この状況は刻々と変わりつつあり、優れたカスタマーエクスペリエンス、絶え間ない発明、お客様へのフォーカスといった取り組みが今後大きな成長につながると考えています。当然ながら、この他にもまだ黎明期にあるさまざまな事業やサービスの模索も続けています。

最高の時は私たちの前途にあると固く信じています。Amazonの全社員とともに、これに向かって取り組んでまいります。

Amazon.com, Inc.社長兼CEO
アンディ・ジャシー

追伸:これまでの慣例にならい、1997年に初めて発行した株主への手紙を以下に添付します。1997年に書かれた内容は今も生き続けています。

*この2022 Letter to Shareholdersの日本語版は、2023年4月13日に公開された英語版を参照用に翻訳したものです。日本語版が英語版と矛盾又は抵触した場合、英語版の内容が優先されます。

Amazon.con logo with text below it that reads "1997 letter to shareholders (Reprinted from the 1997 annual report)"

To our shareholders:

Amazon.com passed many milestones in 1997: by year-end, we had served more than 1.5 million customers, yielding 838% revenue growth to $147.8 million, and extended our market leadership despite aggressive competitive entry.

But this is Day 1 for the Internet and, if we execute well, for Amazon.com. Today, online commerce saves customers money and precious time. Tomorrow, through personalization, online commerce will accelerate the very process of discovery. Amazon.com uses the Internet to create real value for its customers and, by doing so, hopes to create an enduring franchise, even in established and large markets.

We have a window of opportunity as larger players marshal the resources to pursue the online opportunity and as customers, new to purchasing online, are receptive to forming new relationships. The competitive landscape has continued to evolve at a fast pace. Many large players have moved online with credible offerings and have devoted substantial energy and resources to building awareness, traffic, and sales. Our goal is to move quickly to solidify and extend our current position while we begin to pursue the online commerce opportunities in other areas. We see substantial opportunity in the large markets we are targeting. This strategy is not without risk: it requires serious investment and crisp execution against established franchise leaders.

It’s All About the Long Term

We believe that a fundamental measure of our success will be the shareholder value we create over the long term. This value will be a direct result of our ability to extend and solidify our current market leadership position. The stronger our market leadership, the more powerful our economic model. Market leadership can translate directly to higher revenue, higher profitability, greater capital velocity, and correspondingly stronger returns on invested capital.

Our decisions have consistently reflected this focus. We first measure ourselves in terms of the metrics most indicative of our market leadership: customer and revenue growth, the degree to which our customers continue to purchase from us on a repeat basis, and the strength of our brand. We have invested and will continue to invest aggressively to expand and leverage our customer base, brand, and infrastructure as we move to establish an enduring franchise.

Because of our emphasis on the long term, we may make decisions and weigh tradeoffs differently than some companies. Accordingly, we want to share with you our fundamental management and decision-making approach so that you, our shareholders, may confirm that it is consistent with your investment philosophy:

  • We will continue to focus relentlessly on our customers.
  • We will continue to make investment decisions in light of long-term market leadership considerations rather than short-term profitability considerations or short-term Wall Street reactions.
  • We will continue to measure our programs and the effectiveness of our investments analytically, to jettison those that do not provide acceptable returns, and to step up our investment in those that work best. We will continue to learn from both our successes and our failures.
  • We will make bold rather than timid investment decisions where we see a sufficient probability of gaining market leadership advantages. Some of these investments will pay off, others will not, and we will have learned another valuable lesson in either case.
  • When forced to choose between optimizing the appearance of our GAAP accounting and maximizing the present value of future cash flows, we’ll take the cash flows.
  • We will share our strategic thought processes with you when we make bold choices (to the extent competitive pressures allow), so that you may evaluate for yourselves whether we are making rational long-term leadership investments.
  • We will work hard to spend wisely and maintain our lean culture. We understand the importance of continually reinforcing a cost-conscious culture, particularly in a business incurring net losses.
  • We will balance our focus on growth with emphasis on long-term profitability and capital management. At this stage, we choose to prioritize growth because we believe that scale is central to achieving the potential of our business model.
  • We will continue to focus on hiring and retaining versatile and talented employees, and continue to weight their compensation to stock options rather than cash. We know our success will be largely affected by our ability to attract and retain a motivated employee base, each of whom must think like, and therefore must actually be, an owner.

We aren’t so bold as to claim that the above is the “right” investment philosophy, but it’s ours, and we would be remiss if we weren’t clear in the approach we have taken and will continue to take.

With this foundation, we would like to turn to a review of our business focus, our progress in 1997, and our outlook for the future.

Obsess Over Customers

From the beginning, our focus has been on offering our customers compelling value. We realized that the Web was, and still is, the World Wide Wait. Therefore, we set out to offer customers something they simply could not get any other way, and began serving them with books. We brought them much more selection than was possible in a physical store (our store would now occupy 6 football fields), and presented it in a useful, easy- to-search, and easy-to-browse format in a store open 365 days a year, 24 hours a day. We maintained a dogged focus on improving the shopping experience, and in 1997 substantially enhanced our store. We now offer customers gift certificates, 1-Click shopping℠, and vastly more reviews, content, browsing options, and recommendation features. We dramatically lowered prices, further increasing customer value. Word of mouth remains the most powerful customer acquisition tool we have, and we are grateful for the trust our customers have placed in us. Repeat purchases and word of mouth have combined to make Amazon.com the market leader in online bookselling.

By many measures, Amazon.com came a long way in 1997:

  • Sales grew from $15.7 million in 1996 to $147.8 million – an 838% increase.
  • Cumulative customer accounts grew from 180,000 to 1,510,000 – a 738% increase.
  • The percentage of orders from repeat customers grew from over 46% in the fourth quarter of 1996 to over 58% in the same period in 1997.
  • In terms of audience reach, per Media Metrix, our Web site went from a rank of 90th to within the top 20.
  • We established long-term relationships with many important strategic partners, including America Online, Yahoo!, Excite, Netscape, GeoCities, AltaVista, @Home, and Prodigy.

Infrastructure

During 1997, we worked hard to expand our business infrastructure to support these greatly increased traffic, sales, and service levels:

  • Amazon.com’s employee base grew from 158 to 614, and we significantly strengthened our management team.
  • Distribution center capacity grew from 50,000 to 285,000 square feet, including a 70% expansion of our Seattle facilities and the launch of our second distribution center in Delaware in November.
  • Inventories rose to over 200,000 titles at year-end, enabling us to improve availability for our customers.
  • Our cash and investment balances at year-end were $125 million, thanks to our initial public offering in May 1997 and our $75 million loan, affording us substantial strategic flexibility.

Our Employees

The past year’s success is the product of a talented, smart, hard-working group, and I take great pride in being a part of this team. Setting the bar high in our approach to hiring has been, and will continue to be, the single most important element of Amazon.com’s success.

It’s not easy to work here (when I interview people I tell them, “You can work long, hard, or smart, but at Amazon.com you can’t choose two out of three”), but we are working to build something important, something that matters to our customers, something that we can all tell our grandchildren about. Such things aren’t meant to be easy. We are incredibly fortunate to have this group of dedicated employees whose sacrifices and passion build Amazon.com.

Goals for 1998

We are still in the early stages of learning how to bring new value to our customers through Internet commerce and merchandising. Our goal remains to continue to solidify and extend our brand and customer base. This requires sustained investment in systems and infrastructure to support outstanding customer convenience, selection, and service while we grow. We are planning to add music to our product offering, and over time we believe that other products may be prudent investments. We also believe there are significant opportunities to better serve our customers overseas, such as reducing delivery times and better tailoring the customer experience. To be certain, a big part of the challenge for us will lie not in finding new ways to expand our business, but in prioritizing our investments.

We now know vastly more about online commerce than when Amazon.com was founded, but we still have so much to learn. Though we are optimistic, we must remain vigilant and maintain a sense of urgency. The challenges and hurdles we will face to make our long-term vision for Amazon.com a reality are several: aggressive, capable, well-funded competition; considerable growth challenges and execution risk; the risks of product and geographic expansion; and the need for large continuing investments to meet an expanding market opportunity. However, as we’ve long said, online bookselling, and online commerce in general, should prove to be a very large market, and it’s likely that a number of companies will see significant benefit. We feel good about what we’ve done, and even more excited about what we want to do.

1997 was indeed an incredible year. We at Amazon.com are grateful to our customers for their business and trust, to each other for our hard work, and to our shareholders for their support and encouragement.

Jeffrey P. Bezos
Founder and Chief Executive Officer
Amazon.com, Inc.

 
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