Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」を目指しています。その一環として、私たちを信頼してくださっているお客様がAmazonのブランドを利用した不正行為による被害に遭わないよう、取り組みを続けています。

Amazonは機械学習モデルや大規模言語モデルなどの高度なAIと独自データを組み合わせて不正レビューを正確に特定し、さまざまな対策を取ることで、お客様に安心してお買い物を楽しんでいただくための仕組みづくりに取り組んでいます。

不正行為は新しい問題ではありません。しかし、インターネットの普及により、消費者が日常生活のあらゆる場面でテクノロジーを容易に活用できるようになるにつれて、不正行為者が不正を行う機会も増加してきました。不正行為者は、高度なテクノロジーと心理的な隙や行動のミスを悪用して情報を抜き取るソーシャルエンジニアリングの双方を用いて、消費者の信頼を損ねようとします。

不正行為者はEメール、電話、テキストメッセージ、ソーシャルメディアなどのコミュニケーションツールを使用してAmazonなどよく知られたブランドや団体になりすまし、被害者を操ろうとします。残念ながら、消費者がそれらによって被害を受けるケースは後を絶ちません。米国連邦取引委員会の調査の結果、2022年、米国での不正行為による被害額は88億ドル近くに上りました。また、「Global Anti-Scam Alliance」の「Global State of Scams Report」によると、2023年の全世界での被害額は、1兆ドルを超えると推計されています。不正行為者の手口は巧妙化する一方です。

この動きに対応すべく、オーストラリアのNational Anti-Scam Centre(国立詐欺対策センター) には不正行為対策専門の部門が設置されているほか、Amazonが署名した英国の「Online Fraud Charter(オンライン詐欺憲章)」など、異なる分野での横断的な連携を拡大する複数のイニシアチブが立ち上がっています。日本、イタリア、シンガポール、南アフリカなど、他の国々でも同様の取り組みが勢いを増しています。銀行から小売業、通信業にいたるまで、民間企業もこうした不正行為を未然に防ぐための取り組みを進めており、それぞれが独自の立場から課題に対処しています。

PCにログイン画面を展示するイラスト。そのPCの隣に、封筒から引き抜かれた警告標識と手紙がある。

Amazonでは、アカウントの保護や不正行為を検知するためのテクノロジーの開発や、メールなどがAmazonからのものであることを消費者が見極められるようにするための取り組み、不正行為者の責任を追及するための法執行機関との連携の強化など、お客様を守るための一貫した取り組みを進めています。Amazonでは、機械学習の研究者、ソフトウェア開発者、専門調査員からなるチームを世界中に配置しています。これらのチームは、お客様からの報告をモニタリングし、確認することで、不正行為が疑われるウェブサイトや電話番号を特定し、削除します。

2023年に報告が寄せられたAmazonを騙る不正行為では、3分の2以上が注文とアカウントに関するものでした。「急に電話がかかってきて、買ってもいないものをAmazonで購入したと言われ、これが間違いであることを確認するためという名目でアカウント情報を要求された」といったケースです。2023年には、被害に遭ったお客様は15%以上減少しました。これらはAmazonのストア外で発生しており、不正行為を報告する消費者が増えれば増えるほど、不正行為者を特定するツールが向上し、阻止に向けた取り組みが可能になります。Amazonはソリューションを開発し、革新を起こし続けることで、この課題に対処していきます。 

一方で、世界中の消費者を保護するには、不正行為の阻止に取り組むコミュニティ全体を活性化し、管轄や分野を超えて協力する必要があります。Amazonでは、お客様の声に耳を傾け、不正行為防止に取り組むあらゆる専門家と話し合いを重ねています。その際、一貫して浮上する2つのテーマがあります。それは、不正行為を根絶すること、そして不正行為を回避し被害から回復できるよう消費者を支援することです。Amazonはこれらのすべてに対応する解決策を持っているわけではありませんが、分野を横断して解決策を探ろうとしている他の団体と協力していきたいと考えています。

左下に望遠鏡があり、右上の「消費者を詐欺から保護するために一緒に取り組むこと」という文字に向けられている

1. 分野を超えて協力し、不正行為を根絶する

不正行為がどの程度広がっているのか、正確に知ることは容易ではありません。不正行為者が世界中の信頼できる機関を利用して不正行為を行っている場合もあるため、不正行為の範囲を把握することはより一層困難になっています。サービスやブランドが悪用されている個別の企業や個別の国・地域では、発生している不正行為の一部しか認識できていません。私たちは限られた情報をもとに、各々が不正行為を可能な限り阻止し、不正行為を行う場をなくすべく取り組んでいます。しかし、大規模な解決策とタイムリーな情報がなければ、こうした取り組みはその場限りの阻止にはつながるものの、不正行為者の責任を追及し、根源から排除するまでには至りません。

不正行為を根源から断つには、手法や被害者に関する最新で正確な情報が必要です。被害者からの報告は、実用的な情報が得られる情報源の1つです。しかし、多くの被害者にとって、適切な機関に報告することは複雑で困難です。不正確な情報を報告してしまったり、全く報告しなかったりといったことも起こりえます。不正行為はAmazonストアの外で発生していることから、調査をするにあたって、私たちはお客様からの報告を頼りにしています。Amazonは、お客様が自主的に報告できるようにするために、「Amazon.com/ReportAScam」を導入しました 。スマートフォンもしくはパソコンから、20以上の言語でご利用いただけます。被害報告を簡素化・合理化し、精度の高い情報を入手することで、法執行機関による不正行為者の責任追及をサポートすることができます。

精度の高い情報が入手できれば、不正行為に取り組む組織の間でより有用な情報共有ができるようになります。Amazonは、北米で不正行為から消費者を守るために設立された「Better Business Bureau(BBB)」や日本の「フィッシング対策協議会」などと連携することで、不正行為に関する情報を入手しています。これらのパートナーシップにより、私たちはお客様からより詳細な情報を得られるようになりました。さらに、Amazonの調査チームは、業界横断的な取り組みを行う団体に積極的に参加しています。早期に成功を収めた例もあり、2023年にはMicrosoftおよびインドのCentral Bureau of Investigation(中央捜査局)と協力して、インド国内の70か所以上の不正なコールセンターを閉鎖しました。これらの例は、連携によって、不正行為を阻止することができることを改めて示しています。

個々の組織が個別に不正行為を阻止する方法は多々ありますが、さらに多くのことを行う必要があります。広く使われている手法のひとつに、不正行為を行うウェブサイトや電話番号の削除があります。2023年、私たちはAmazonを装ったウェブサイト4万件以上、電話番号1万件以上の削除に取り組みました。不正な電話番号は報告があったその日のうちに、フィッシングサイトは数時間以内に削除することが可能です。これらを削除することは重要ですが、新たに作られるのを防ぐことはできません。不正行為を根源から断つには、世界中で官民が連携する必要があり、不正な電話番号やウェブサイトを作成できないようにするなど、一丸となって取り組まなければなりません。

4回目となるAmazonブランド・プロテクション・レポートに記された、ブランドを保護するための4つの重要戦略とは?

2. 不正行為を回避し、被害から回復できるよう消費者を支援する

私たちは、不正行為の阻止に取り組む組織が力を合わせて、そもそも消費者が被害に遭うことがないよう努める必要があると考えます。そのためにはまず、最近の傾向や、自分自身を守るためのヒントなど、タイムリーで関連性の高い情報を消費者と共有しなければなりません。Amazonでは、お客様への定期的なEメールを送信、お客様の報告から得られた情報を公開して最新の傾向について共有するなど、さまざまな形態で情報発信を行っています。また、BBBと共同でなりすまし不正行為に関するキャンペーンを実施したり、サイバー犯罪の防止を呼び掛ける団体「Global Cyber Alliance」と若者への支援について協力したりしているほか、英国において、不正行為から消費者を保護する活動「Take Five」と共に中小企業を保護しています 。加えてAmazonは、通常のお買い物体験の中に不正行為に関する通知を自然に組み込めるよう、取り組みを続けています。

またAmazonを騙った不正行為の対策として、お客様がコミュニケーションしている相手が本物かどうか簡単に判断できるよう、さまざまな取り組みを行っています。Amazonからの正規のEメールを容易に識別できる工夫などです。加えて、Amazonがサービスを提供する代わりにギフトカードの購入を求めることはないこと、カスタマーサービスへ問い合わせいただいた際にソフトウェアのダウンロードやインストールを求めることはないことなどを伝え、Amazonが「行わないこと」をお客様に知っていただくことで、よくある不正行為を回避できるようにサポートしています。不正行為に取り組む組織が協力し合うことで、消費者が相手が本物かどうかを見分けやすくなるような共通したコミュニケーションの方法を設けることができます。

不正行為の被害に遭ったとき、消費者はただちにその被害について報告して、何をすればいいのか確認する必要があります。特に、金銭的な損失を伴う場合はこれが重要です。しかし、金銭的な損失は被害のごく一部に過ぎません。不正行為に遭うと、被害者は社会的・感情的にもダメージを受けることになります。Amazonでは、被害からの回復のための支援も行っており、被害に遭ったかもしれないと考えるお客様に適切なサポートを行うための専門チームも設置しています。不正行為に取り組む関係各社、機関は協力して、日常を取り戻そうと努める被害者に向けた多面的なサポートを強化する必要があります。

Amazonは不正行為を阻止し、消費者を守るための方法を絶えず模索していますが、私たちだけでは成し得ないこともあります。業界の枠を越えて世界中で協力しあうことで、安心して暮らせる世界を築くことができると考えます。他の団体と協力して、これを実現するための道筋を示していくことに意欲的に取り組んでいきます。

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