9月1日は「防災の日」、そして9月は「防災月間」です。関東大震災から今年でちょうど100年の節目を迎えます。

地震や気象災害が多い日本では、防災意識は高いものの、実際のところ「何から用意したらいいのか分からない」と迷われている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、防災アドバイザー・防災士の岡部梨恵子さんに、家庭での災害への備え方について話をうかがいました。本当に必要で役立つ災害への備えとは何か? 岡部さんの実体験に基づいた「災害対策グッズリスト」もご紹介します。

何が本当に必要で役立つ備えなのかを考える

防災グッズ、災害対策グッズと聞いて、何を思い浮かべますか? ヘルメット、軍手、懐中電灯……など、子どもの頃に避難訓練で教わったアイテムを思い浮かべる方も多いのでは? 正しいと思っていた防災知識が、今の避難生活にマッチしないこともあります。

「備えさえしていれば被害を避けることができた、あるいは被害を軽減することができたと後悔する方々は非常に多いです」と話す岡部さん。岡部さんご自身も、東日本大震災によって市域の86%が液状化現象の被害を受けた千葉県浦安市で、ライフラインの停止という難局を経験した1人。岡部さんは、東日本大震災での被災以降、地震や台風などの被災地に赴き被災者の方々の話にも耳を傾けてきました。

そうした経験に基づいて、岡部さんは「生活環境やライフスタイルが多様化した今、画一的な知識と情報では、災害から生命や暮らしを守りきれない。今の自分に合った備えとは何かを、今一度考え直す必要があります」と強く訴えます。

家庭での備えに必要な災害対策グッズとは?

【使用するシーンで異なる基本の災害対策グッズ】
まずは、性別や年齢、家族構成を問わず、誰もがベースとして備えておきたい災害対策グッズを、使用するシーン別に教えていただきました。

常に持ち歩きたい災害対策グッズ

基本の災害対策グッズ:常に持ち歩きたいもの

岡部さんが毎日持ち歩いている防災ポーチの中身も見せていただきました。実際に試して納得したものだけを厳選。その一つ一つに重要な意味と役割があります。

「朝の通学・通勤時にペットボトルの水を持って出かける人が多いですが、帰る頃には中身は空っぽで、ボトルを捨ててしまう人もいますよね。帰宅途中に災害に遭い、エレベーター内に閉じ込められる可能性もあります。学校や会社で水を補充して持ち帰る習慣をぜひ身につけていただきたいです」と、特に生命維持に欠かせない「水」は常に持ち歩くよう岡部さんは推奨します。

アイマスクやペーパー歯磨き、絆創膏など20点ほどのアイテムが並んでいる
岡部さんが毎日持ち歩いている防災ポーチの中身

②家(非常持出袋)に備蓄しておきたい災害対策グッズ

基本の災害対策グッズ 家に備蓄しておきたいもの

「非常持出袋(防災リュック)は燃えにくく、撥水加工されている素材がおすすめです。重量は成人男性で10kg以下、女性や高齢者は6kg以下を目安に準備しましょう」と、避難時に負担にならないボリュームでの備蓄も重要だと岡部さんは言います。

非常持出袋を手に持つ女性(岡部さん)

③在宅避難であるといい災害対策グッズ

bousai goods

「他人との共同生活は気苦労が多いです。住み慣れた家で家族と協力しながら生活できれば、ストレスを軽減できます。在宅避難をするにあたっては、事前の備えが非常に重要です」と、家族にケガがなく、住居にも危険な損傷がなければ、たとえライフラインが停止していても、家族で協力して在宅避難することをおすすめするという岡部さん。

岡部さんおすすめの基本の災害対策グッズ
岡部さんは、「上下水道が使えないことやゴミ収集車がすぐに来ないことが想定される被災時に、排泄物を保管できる防臭性に優れた非常用トイレセットの準備が必要」と言います。「衛生的な環境に慣れた私たち現代人は臭いに弱く、トイレの臭いで滅入ってしまうので、防臭機能に優れた商品を選びましょう。1人あたり男性は最低でも1日5回、女性は最低でも1日7回使用すると想定し1週間分は用意しておくとよいと思います」とアドバイスをいただきました。

また、非常食について岡部さんは、「火も水も使わず、温かい食事がとれる非常食も最近は販売されています。わが家でも備蓄していますが、バリエーションが豊富で味も美味しいので、備蓄もしながら毎週食べているんですよ」と言います。

洋式トイレにトイレ用ビニール袋をかけている様子
非常用トイレセットの例
非常食のパッケージ
非常食の例

【家族構成別おすすめ災害対策グッズ】

ひと口に「災害対策グッズ」といっても、必要なアイテムは各ご家庭によっても異なります。子どもや高齢者、ペットなど、同居する家族に合わせて必要なものを準備しましょう。

乳幼児がいるご家庭におすすめの災害対策グッズ
岡部さんは、「子どもは災害時だからといって、口に合わないものは食べてくれません。好みの味のベビーフードを備蓄しておきましょう。また、被災のショックで母乳が出なくなるお母さんもいます。粉ミルクがキューブ状になっている商品であれば手早く準備できます」と、乳幼児特有の食事事情への配慮が必要だと指摘します。

動物のイラストが付いたベビーフードのパッケージ
ベビーフードの例
粉ミルクのパッケージ
キューブ状の粉ミルクの例

小さなお子様がいるご家庭におすすめの災害対策グッズ
「テントがあれば避難所などで子どもたちの居場所を確保できます。着替えや授乳スペースにも便利です。特殊な虫よけ加工がされた衣服も用意しておくとよいでしょう。お風呂などになかなか入りにくいことも想定されるので、虫よけスプレーで肌がかぶれてしまうお子さんや女性におすすめです。普段のアウトドアレジャーでも使えます」と、岡部さんは言います。

2人用サイズのテント
テントの例
薄い網で作られたジャンパー
虫よけ加工がされた服の例

高齢者や障がいをお持ちの方がいるご家庭におすすめの災害対策グッズ
高齢者や障がいをお持ちの方がいるご家庭におすすめの防災グッズを聞いたところ、岡部さんは「少人数でも、運ぶ、寝返りなどの操作が可能な担架があると便利です。介助が必要な家族を1人で抱えることが可能になります」と、非常時の避難や移動に対する備えをポイントとして挙げました。

柔らかい素材で作られた担架
担架の例

ペットがいるご家庭におすすめの防災グッズ
また、ペットがいるご家庭では、「トイレも十分に確保しておくと安心です。おしっこやうんちの嫌な臭いをしっかりと防いでくれる『臭わないおむつ袋』は、ペットのトイレグッズとしても重宝します。自由に動けるスペースを確保するためのペット用のテントも備えておくと、環境変化によるペットのストレスを軽減してくれます」と、家族の一員であるペットへのケアも大切だと岡部さんは言います。

おむつ袋のパッケージ
臭わないおむつ袋の例
1メートル平方くらいの八角形のペット用テント
ペット用テントの例

【季節別おすすめ災害対策グッズ】
四季のある日本では、季節に応じた災害対策グッズを備えておくことも大切です。特に真夏の暑さと真冬の寒さは、命を脅かすこともあるので気温を考慮した備えが重要です。

 夏場の被災への備えにおすすめの災害対策グッズ
「工事作業用として人気の扇風機付きベストは、停電時や空調が効いていない避難所などでの熱中症対策グッズとしても有効です」と、岡部さんは言います。

両サイドにファンがついているベストを着た男性
扇風機付きベストの例

冬場の被災への備えにおすすめの災害対策グッズ
「カセットボンベ1本で数時間暖が取れるストーブがおすすめです。ぜひ家庭用蓄電池も備えておいてほしいです。電気毛布用や夏場は扇風機用として、連絡や情報収集に欠かせないスマートフォンの充電用としても電源の確保はとても重要です。ソーラーパネルが付いている、あるいは接続できるタイプがおすすめです。ブランケットとして使用できる保温シートは、被災時での体温保持はもちろん着替えや授乳時などの目隠しにも重宝します。普段はひざ掛けとしても使用できるので、折り畳みがしやすくコンパクトに収納できるタイプが便利です。また、羽織る際にあまり音がしないものを選ぶと、避難所などで周りへの雑音にもならないので良いですよ」と、停電時にも暖房や冷房が使えるよう電源の確保が重要だと岡部さんは話します。

白いカセットガスストーブ
カセットガスストーブの例
電源の差込口が5つついているポータブル電源
ポータブル電源の例
オレンジ色のシートを羽織った男性
保温シートの例

備えない防災「フェーズフリー」とその実践方法
せっかく備蓄していても、いざという時に役に立たなければ意味がありません。災害対策グッズをメンテナンスすることも、重要な「備え」の1つです。とはいえ、備蓄の入れ替えには時間もお金もかかります。「さまざまな物が値上がりしている今、新たな出費は避けたいですよね。そこでおすすめしたいのが、『フェーズフリー』という考え方です。」と、岡部さんは提案します。

話をしている女性(岡部さん)

「フェーズフリー」とは、身の回りのアイテムやサービスを普段使いだけではなく、非常時にも応用しようというもの。普段と非常時で兼用できるので、家計への負担が増え続ける今こそ実践したい、コスパの高い備え方です。特に消耗品は、日常使いしながら常に新しいアイテムを備蓄する「ローリングストック方式」を実践すれば、期限切れのアイテムを廃棄することなく、災害対策グッズとしても常にフレッシュな状態をキープできます。

「フェーズフリー」の実践のコツを岡部さんに聞いたところ、「ルール化することをおすすめします。例えば、水を備蓄する場合、毎日飲むコーヒーは備蓄の水で作るなど、『使う』機会を決めることで、『しまいっぱなし』になることを防いでくれます。普段から使うことで、自分にとって本当に必要な『備え』かどうかも見極められます。賞味期限が長い保存水(飲料水)は値段も高いです。普通の飲料水を備蓄してローリングすれば、家計への負担も軽減できますよ」とアドバイスをいただきました。

災害への備えは、「無理なく」「負荷なく」「飽きがなく」

最後に、防災備蓄を継続するコツについて岡部さんにうかがいました。

「無理のない範囲で行うことです。多くの人は備蓄するなら100点の完璧な防災をしたいと意気込んでしまいます。しかし、これだと途中で息切れになってしまうかもしれません。大切なのは『無理なく、負荷なく、飽きがなく』」と強調する岡部さん。

「今の時代にマッチしたAmazonの便利なサービスやフェーズフリーを活用すれば、習慣化する仕組み作りや継続するための環境作りが、知らず知らずのうちにできてしまいますよ。無理せずに自助努力ができるご家族が増えることを願っています」


災害への備えをサポートするAmazonのサービスと「防災・非常時対策ストア」

Amazonの「防災・非常時対策ストア」は、さまざまな災害のケースやお客様のニーズに応える幅広い品揃えのストアです。非常食や衛生用品など1億点以上の災害対策グッズをご用意しています。

おすすめポイント①:避難アイテムや非常食など、防災におけるニーズごとにおすすめの商品がまとまっているので、欲しい商品を見つけやすい。
おすすめポイント②:レビューや売れ筋ランキングを参考にして商品を選べるため、人気や評価が高い防災アイテムを選ぶことができる。
おすすめポイント③:行政発行の防災ガイドがAmazon上で一部無料で簡単に手に入る。

フェーズフリーに便利な定期おトク便
「フェーズフリー」の実践にお役立ていただけるのが、Amazonの「定期おトク便」です。「定期おトク便」とは、日用品を中心とした対象商品を割引価格で定期的に配送料無料でお届けするAmazonのサービスです。日用品から食品、ペット用品まで幅広い商品を対象にしたサービスなので普段使いはもちろん、災害への備えとしてもお役立ていただけます。商品が希望の数量、頻度で定期的に届くので、ローリングストック方式とも相性が良く、「フェーズフリー」にも活用できます。しかも、「定期おトク便」で注文すれば配送料が無料、毎回のお買い物が最大10%OFF、同一のお届け先に配送される商品が同日に3件以上ある場合、「おまとめ割引」が適用され、さらに5%OFFで最大15%OFFとなり、家計にもやさしいです。必要な備蓄量を超えた分を消費すればいいので、普段の生活に取り入れやすいですよね。

Amazonでは、さまざまな災害支援を行っています。被災地支援のためのほしいものリストの活用方法もご紹介しています

このほかにも、Amazonは災害対策・被災地支援に関連したさまざまな取り組みにも力を入れています。

「Disaster Relief Hub」を尼崎フルフィルメントセンターに設置
「Disaster Relief Hub」には、約50種類の災害支援物資が合計で約1万5,000アイテム保管されます。万が一、大きな災害が発生した際には、72時間以内に被災地に配送する計画になっています。
詳しくはこちら

被災時に支援を必要としている人と支援を希望する人をつなぐ「ほしい物リスト」
「ほしい物リスト」を公開することで、自分が欲しい商品をほかの人にお知らせすることができます。2011年3月に発生した東日本大震災では、約7,000以上の避難所や学校、非営利団体等の皆様にご利用いただき、2016年4月に発生した熊本地震でもご利用いただきました。
詳しくはこちら

これからもAmazonは、災害対策に役立つ幅広い品揃えや利便性の高いサービスのご提供、災害対策への貢献活動を通じて、お客様の安心と安全を支える取り組みに励んでまいります。

防災アドバイザー・防災士の岡部梨恵子さん監修による基本の災害対策グッズリストはこちらからダウンロードできます。

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