2040年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにするという公約を掲げるAmazon。目標達成までの時間が限られる中で、さまざまな企業・団体、業界とのパートナーシップの強化・拡大やコミュニティづくりに乗り出しました。日本でも日本気候変動リーダーズパートナーシップ(JCLP)との強力なパートナーシップが生まれ、取り組みを加速させています。

AmazonとGlobal Optimismは2019年9月19日、パリ協定の2050年目標達成を10年前倒しした気候変動対策に関する誓約「The Climate Pledge(TCP)」 を発表し、Amazonは最初にこの誓約に署名しました。また、気候変動対策に関する誓約のための基金(Climate Pledge Fund)を通じて、持続可能な脱炭素化技術の世界的な開発を支援しています。オンラインショッピングだけでなく、クラウドコンピューティング、そして物流、製品まで、Amazonのグローバルな事業領域全体において、革新的な技術を駆使し、スピード感を持って、この問題に取り組んでいます。

パリ協定は、2015年12月にフランス・パリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で、世界約200か国が合意して成立しました。世界の平均気温の上昇を、産業革命前と比較し、努力目標で1.5℃に設定。その達成のために、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示す科学的根拠に基づいて、21世紀末のなるべく早期に世界全体の温室効果ガス(CO2)排出量を実質的にゼロにすること、つまり「脱炭素化」を長期目標として定めています。

IPCCの1.5℃特別報告書(2018年発表)によれば、すでに世界の平均気温は、約1℃上昇しており、現状のまま経済活動が続けば、早ければ2030年には1.5℃の上昇に達し、2050年には4℃程度の気温上昇が見込まれています。気温上昇を努力目標である1.5℃に抑えるためには、2050年に脱炭素化しなければならないことが分かっています。そして、Amazonはこの「2050年」を「2040年」に前倒ししようと計画しています。

「今後20年間でCO2排出量の実質ゼロを達成するには時間が限られています」。Amazonワールドワイド・サステナビリティ部門バイスプレジデントのカラ・H・ハースト(Kara H. Hurst)さんは危機感を持っています。

「脱炭素社会」の実現に向け、
パートナーシップを強化・拡大し、コミュニティづくりを推進

取り組みの初期段階ですが、Amazonではすでに成果が出始めています。

Amazonの純売上高は2019年に22%増加しましたが、CO2排出量の合計は同じ期間に15%の増加にとどまりました。また、炭素強度(エネルギーの単位あたりのCO2排出量)で見ても、流通取引額1米ドルあたりのCO2換算値(CO2e)は、 2018年の128.9グラムから、2019年の122.8グラムに5%減少しています。

Amazonでは、社内の技術者が3年をかけ、CO2排出量を測定するためのモデル、ツール、および指標を開発。すべてのバスケットサイズで平均すると、オンラインでの食料品の購入は、実店舗での買い物に比べて、アイテムあたりの炭素排出量が43%少ないことがわかっています。

Amazonは2008年、フラストレーションを感じさせない「フラストレーション・フリーパッケージ(FFP)」を開発しました。開封が簡単でリサイクル可能な梱包材を採用し、配送のために段ボールなどで梱包せずに、製品自体のパッケージで配送ができるようにしたのです。以来、このパッケージによって、81万トン以上の梱包材を節約し、14億個分の配送用箱を削減できました。

また、451 Researchの調査によると、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のインフラストラクチャは、調査した米国のエンタープライズデータセンターの中央値よりも3.6倍高いエネルギー効率を示しています。再生可能エネルギーの使用に加えて、これらの要因により、AWSは従来のデータセンターと同じ業務を88%低いCO2排出量で実行できます。加えて、再生可能エネルギープロジェクトへの投資を増やすことで、どうしても削減できない分の二酸化炭素排出量を、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業(排出権購入)などで埋め合わせるカーボン・オフセット制度を利用し、100%カーボンフリーを実現しようとしています。

「大企業の大胆な一歩が、低炭素経済を支える新技術・新産業の開発を大きく前進させます。社内、社外でパートナーシップを組んで、サステナビリティのために、ベストプラクティスを共有しながら、努力を続けていく、これが重要です」。カラ・H・ハーストさんはこう強調します。気候変動というのは非常に難しい課題で、政府や企業、個人の力だけでは解決できません。科学者の知見を取り入れ、パートナーと協力し、新しい技術を取り入れながら、社会全体で解決していく必要があるのです。

すべての経済活動は気候関連の破壊的な出来事にさらされています。 破壊的な気候変動は、すべての企業とその事業運営に影響を与えます。企業もようやくそのことに気づき始めました。TCPには、Amazonに続き、Infosys、RB、Verizon、メルセデスベンツなどが署名し、今後、さらに署名する企業は増えてくるでしょう。

「脱炭素社会」の実現に向け、
パートナーシップを強化・拡大し、コミュニティづくりを推進

TCPの目標の一つは、長いスパンを、最速で実行する意欲を持つ企業のコミュニティづくりで、対話を通じてこれを実現していきます。業種、業界を超えて気候変動の危機に対処するためのアイデアを結びつけ、共有するとともに、業界の専門家や信頼できるパートナーからベストプラクティスを学ぶ。そして、報告会やイベント、会議を通じて、CO2排出量削減に取り組む企業や団体などのリーダーと交流を深めるということです。

Amazonもパートナーシップを強化・拡大しています。

まず、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が主導する「Climate Ambition Alliance(気候野心同盟)」の国際キャンペーン「RACE TO ZERO(レース・トゥ・ゼロ)」です。2050年前後にCO2排出量実質ゼロを達成することを目標とする国際的な取り組みで、協業して推進しています。

We Mean Businessともパートナーシップを組んでいます。We Mean Businessは、企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGOなど、1200以上の企業が構成機関となって運営しているプラットフォームです。

さらに、非営利団体のTED(Technology Entertainment Design)が開設した「COUNTDOWN(カウントダウン)」は、気候変動を注意喚起する特設サイトです。社会全体の行動につなげていくため協業しています。

そして、日本でも強力なパートナーシップが生まれました。日本気候変動リーダーズパートナーシップ(JCLP)です。「脱炭素社会」への移行をビジネス視点でとらえる日本独自の企業グループで、147社が参加し、総売上高は約118兆円におよび、大企業が多いのが特徴です。JCLPに関しては、低炭素エネルギー、気候変動とビジネスに関し、特に、日本地域のトレンドに関する情報収集と分析に期待しています。

気候変動の危機にとって、政府の役割も重要です。さまざまな政策や投資など、政府の支援によって、「脱炭素社会」に向けた取り組みは促進されるでしょう。今後とも、政府や様々な企業、業界と協力し、先進的な技術や知見を投入し、地球規模の課題のソリューションを提供していかなければなりません。

Amazonの社会的な価値を象徴するサステナビリティ活動。その重要性は日に日に増しています。

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