自分で開発した商品が売れると、お客様に楽しさをわかっていただけたという喜びがあります
株式会社リード産業 代表取締役遠藤大介さん

Amazonで店舗名「ガーデンガーデン」として、庭などに設置するガーデニング用品を販売している遠藤大介さん。彼が会社を立ち上げてから、今年の11月で9年目を迎える。

遠藤さんが会社を辞め、起業したのは、2009年11月のこと。長年勤務していた輸入商社で、会社側の意向もあり、自らが担当していたガーデニング商品の小売部門を独立させる形で会社を設立した。当時47歳、初めての起業だった。

独立に際し遠藤さんが選んだのは、インターネット販売だった。理由は実店舗を持つより初期投資が少ないこと、そしてガーデニング用品の商品特性からだった。

お客様とわかちあうガーデニングの楽しさ
オリジナル商品開発に力を注ぎ、会社を成長させた遠藤大介さん
遠藤さんと若手スタッフ

お客様とわかちあうガーデニングの楽しさ
オリジナル商品開発に力を注ぎ、会社を成長させた遠藤大介さん
事務所には様々なサンプルが並ぶ

お客様とわかちあうガーデニングの楽しさ
オリジナル商品開発に力を注ぎ、会社を成長させた遠藤大介さん
遠藤さんが開発した商品「シェッドファサードウォール」

遠藤さんが販売するガーデニング用品は、花を置く棚や庭を区切る柵、物置など大型商品が多いため、実店舗では商品をすべて並べることは難しい。また、そうした園芸用品は実用品ではなく、趣味商材であるため、色や形、大きさなど購入者の好みによって売り上げが左右される。そのため販売地域が限定される実店舗よりも、全国に販売できるインターネット販売を展開することで、商品を気に入る顧客に出会える確立を増やせると考えたからだ。

2人のスタッフと共に、まずは自社サイトなどで販売を開始。約半年後にAmazonでも販売を開始した。

メーカー製のいわゆる型番商品や、エアコンの室外機カバー、園芸用のラティスなど、一般的に名称が知られている商品の売れ行きは順調だったが、自社オリジナル商品が幅広く売れるという状況には至らなかった。

その状況が変化し始めたのは、Amazonの販売担当者を配置した2012年だった。取扱商品のすべてを登録しAmazonで販売できる商品数を増やすところから始め、Amazonの配送サービス、フルフィルメント by Amazon (FBA)と、Amazonの広告サービス、Amazonスポンサープロダクトの利用を開始すると、売り上げが着実に伸び、オリジナル商品の販売数も伸びていった。

「最初のうちはFBAは費用が高いと思っていたので利用していなかったのですが、改めて調べてみたらそうではないとわかり、FBAに向いている商品を選んで使ってみたら目に見えて売れ行きが変わりました。Amazonのシステムは需要予測もできるので、倉庫の保管費用も少なく済んでいます。何よりも自社配送では実現できない、迅速な商品のお届けができるのがいいですね。Amazonスポンサープロダクトは、設定が簡単ですし、オリジナル商品をお客様に知っていただくのに役立っています」

現在の売り上げは2012年と比べておよそ倍になり、社員数も7人に増えた。オリジナル商品の数は約3倍に増え、売上の約7割がオリジナル商品になった。その成長には、地道な商品改善の努力と、新商品開発への情熱も欠かせなかった。

「Amazonのカスタマーレビューでは、お客様から率直なご意見をいただきます。その声を商品の改善や新商品の開発に活用しています」という遠藤さん。新商品開発は、商品のアイデアやイメージがぶれるのを避けるために、担当者ごとにアイデア出しから製品化まで行っている。それが個性的な商品を生む秘訣のひとつのようだ。

遠藤さんも、「シェッドファサードウォール」という、ドアのような形の板を壁に立てかけて、そこに花などを飾るユニークな商品を開発し、ヒット商品に育てた経験を持つ。

「この形や色でなければならないという制約がないため、今までにない楽しい商品を作れるところが、ガーデニング用品開発の面白さです。自分で開発した商品が売れると、お客様に楽しさをわかっていただけたという喜びがあります」

起業当初の想定より、早期に高い売上を達成できたという遠藤さん。現在の心境を尋ねると「経営者として、ようやくひとつの山を越えられたかなという段階ですね。次に進むためのステップの基礎を作ってくれたのは、Amazonだと思っています」とほほ笑んだ。

これからは、次世代を担う人材を育て、「自分がいなくても意思決定を行えるような会社にしていきたい」のだという。その言葉には、社員への強い信頼感と共に、自分で事業を動かす楽しさを知ってほしいという思いがあるようだ。

「一概には言えませんが、もし起業を検討している人がいたら、苦労も含めて自分でやったほうが楽しいですよと伝えたいですね。資金がなくても、やり方次第ではないでしょうか。会社に勤めていれば安泰という時代ではないので、自分でやろうという気持ちがあるのなら挑戦してみたほうがいいのではないかと思います」

ガーデニングが趣味という社員たちと、アイデアを出しあいながら事業を育ててきた遠藤さん。本当に好きなものを仕事にしたことが遠藤さんの大きな原動力になっている。

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