“「子どもたちとのコミュニケーションがパワーを与えてくれるからこそ、共に成長していけるのだと思います」”
柔道整復師・六丁の目接骨院 院長 岩﨑千治さん

「最初のうちは勝てなくても、試合で勝つためには何が必要かを考え、それに向けて努力をすると、いつか勝てる時が来るんです。その成果が自信になります」。そう話すのは、宮城県仙台市に住む岩﨑千治さん。10代で空手を始め、全国大会にも出場した経験を持つ空手家だ。

競技者として自らを鍛えるなかで経験した、後輩の指導、学生時代のスポーツジムでのアルバイト。そして指導を受けた憧れの先輩たちと交流を深めるうちに、運動選手をサポートする仕事を目指すようになった。柔道整復師の資格を取得するために、20代で神奈川県から宮城県に転居し、2002年に仙台市内で接骨院を開業した。

運動で育てる子どもたちの自信
岩﨑千治さん

地域の人々を診察しながら、週に2回空手道場で指導を続け、2年前からは、宮城県の事業「みやぎジュニアトップアスリートアカデミー」で、ボクシング選手育成の手伝いも始めた。しかも先月からは、少年野球チームのサポートを買って出て、練習に立ち会っている。真面目さと熱い情熱が彼の表情や声から伝わってくる。

道場や様々な選手支援の活動の中から気づいたことを1冊の本にまとめ、2017年1月に初めての著書『「やればできる」が身に着く 小学生 新体力テストの攻略本』をAmazonのプリント・オン・デマンドで出版した。この本は、文部科学省が毎年実施している新体力テストに向けて、子どもたちの運動能力を高める練習方法をまとめたものだが、子どもたちをいかに勇気づけ、自信をつけさせるかということが主題になっている。

「もともと道場や接骨院に通う子どもたちの家族から、子どもたちの体力づくりに関する質問をいただくことが多かったので、その回答として、本の中では第5章にあたるジュニアアスリート育成法10カ条の部分をブログに書いたことが出版のきっかけでした」

道場や接骨院に通う子どもたちの家族から大きな反響があり、こうした情報が必要とされている手ごたえを感じた。ブログを見た出版社からも出版を打診されたことがあったが、費用負担が必要だったため断念。しかし、Amazonが本の販売、印刷と製本、そして発送まで行うプリント・オン・デマンド(POD)を使用すれば、初期費用が掛からずに本が出せることを知り、出版に向けて本格的に準備を開始した。原稿の執筆だけでなく、本の挿画も自分で描き、一般的なワープロソフトを用いて本文のレイアウトを行い、1冊の本としてまとめ上げた。

「空いた時間に少しずつ準備し、約7カ月で本を出版できました。体の動きを示す挿画に一番時間がかかりました。表紙のデザインはプロにお任せしましたが、そのほかのデザインは自分でできましたし、注文から1~3日程度で届くことも、とても気に入っています」

本の中では触れていないが、出版には、2011年3月の東日本大震災で仙台市も被災したことが深く影響していると岩﨑さんは話す。

「被災した学校の校舎は壊れ、体育館は避難所になり、校庭にはプレハブ校舎が、そして公園には仮設住宅が建てられました。子どもたちが遊んだり、運動ができる環境はほとんどなく、当時の宮城県の子どもたちの運動能力は低下していました。運動が不得意と思っている子どもたちでも、1~2か月トレーニングを行い、体の使い方のコツを教えるだけで、運動能力は大きく変わってきます。新体力テストでは、その変化を数値で見ることができるので、子どもたちの自信をつけるのに最適です。小学生の頃に、練習をすれば本当に結果が付いてくるということを体感し、自信を持つことが、子どもたちの可能性を広げることにつながります。それはスポーツに限ったことではありません。この本がそのきっかけになればと思って執筆しました」

運動で育てる子どもたちの自信
災害避難所だった女川町総合運動公園で東日本大震災後の復興支援活動として行った空手の稽古の様子

子どもたちを指導する時には「常に尊敬の念を持って接している」という岩﨑さん。その想いは、約20年間続けてきた空手の指導で、参加する子どもたちに合わせた練習プログラムを毎回作り続けてきたことにも現れている。

「子どもたちは、すぐに成長していきます。前へ前へと進む彼らを指導していると、逆に気づかされることも多いです。成長期にある子どもたちとのコミュニケーションがパワーを与えてくれるからこそ、共に成長していけるのだと思います」

運動で育てる子どもたちの自信
20代前半、学生空手道選手権大会で優勝した時の写真

岩﨑さんは子どもたちに負けてはいられないと、昨年、空手の競技選手として復帰。全北陸空手道選手権大会の型シニア上級の部に出場し、3位入賞を果たした。今年は一層心身を鍛えて全国大会に臨む。出版についても前向きだ。

「新作についてはまだアイデアを書き留めている段階ですが、出版方法はわかったので、また出版したいと思っています。新しいことを始めなければ成長していく子どもたちに置いていかれるばかりですから、これからも挑戦していきます」

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