1人で起業し、事業を成功させるためには、デジタル技術の活用が大きなカギを握っています。今回は、1人でビジネスを成長させている2人の起業家のデジタル戦略を、Amazonが提供するさまざまなDXサポートと共に紹介します。

故郷に恩返しをするために、Amazonでキャンプ用品を販売

8年間の銀行勤務を経た後、2023年に個人事業主として開業した佐藤拓海さん。行員時代は首都圏での勤務でしたが、開業にあたって、生まれ育った秋田県秋田市にUターンすることを選びました。

手にホットサンドメーカーを持つジャケット姿の男性。背後の棚の上に黒いダンベルが置かれている
TICREW ONLINE 代表・佐藤拓海さん

佐藤さん「自分の人生を見つめ直したとき、故郷である秋田に恩返しがしたい。長年の趣味であるキャンプに関連した商品を地元の職人さんと開発し、販売したいという夢を抱きました。EC(電子商取引)であれば1人で、地方でもパソコン1つでビジネスを始められることもあり、思い切って起業を決意しました」

 TICREW ONLINEの屋号の下、キャンプ用品以外に可変式ダンベルやキャットタワーといった商品もAmazonで販売しています。

佐藤さん「開業と同時に商品を開発することが難しかったため、行員時代の知識と経験を活かし、M&Aという形で可変式ダンベルやキャットタワーの販売権を譲り受けました。事業承継やM&Aを仲介するプラットフォームを利用した形です。コロナ禍を経てホームトレーニングをされるお客様も増え、可変式ダンベルは多くのお客様にご購入いただきました。売上が安定したおかげで、現在はキャンプ用品の開発や拡充に力を入れることができています」

 当初から、販路はAmazonを想定していたと言います。

 佐藤さん「Amazonは多くのお客様がご利用されているという点に加え、新規参入のブランドでも、商品単位でお客様にリーチできる点に魅力を感じました。もちろん、競合他社も存在しますが、ユーザーの立場で開発したアウトドア用品には自信があったので、メインの販路はAmazonを選んだのです」

黒いダンベル。輪のような形状のもので重さを可変できるような形状をしている
TICREW ONLINEが軌道に乗るきっかけとなった、重量を15段階調節できる可変式ダンベル
黒い袋に入った寝袋
カスタマーレビューを参考にして収納しやすさを改良した寝袋

AmazonのFBAは1人でビジネスをするには欠かせないサービス

EC事業は未経験の佐藤さんですが、さまざまなデジタル技術やサービスを活用することで課題を解決しています。

佐藤さん「ITの知識は豊富ではありませんでしたが、Amazonへの出品方法を学ぶことができる無料トレーニングのAmazon出品大学の動画を視聴することで、簡単に出品作業を行うことができました。出品画面に載せる商品画像については、人材マッチングサイトで探した地元のフォトグラファーに商品撮影を依頼しています」

Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や商品に関するカスタマーサービスを代行するフルフィルメント by Amazon(FBA)も「デジタル技術を活用したアウトソーシングとして効果的」だと佐藤さんは言います。

佐藤さん「現在は自宅をオフィスにしているので、大量の商品の置き場がない状態です。その点、FBAは商品を倉庫に預ければ保管から配送まですべて代行してくれるので、商品開発のアイデアやブランドの成長戦略を考える時間が生まれています。1人でビジネスを成長させるためには、FBAは欠かせないサービスだと思います」

パソコンに向かっている男性
将来的には秋田県を中心にアウトドアショップをオープンしたいと語る佐藤さん
屋外にある棚の上に置かれたペグハンマーとホットサンドメーカー
ホットサンドメーカー、ペグハンマーなど、ラインナップを拡大しているアウトドア用品

Amazonでの販売が軌道に乗り、夢が形になりつつある

Amazonのアカウントマネージャーは、デジタル活用をサポートしてくれる重要なパートナーだと言います。

佐藤さん「アカウントマネージャーとは頻繁にコミュニケーションをとり、困りごとを相談しています。広告運用方法やセミナーの案内など、適確な情報をくれるので、できることは全部やろうと考えています。Amazonでの販売は、広告運用やSEO対策、商品ページのブラッシュアップなど、改善を積み重ねれば効果が現れるので、挑戦のしがいがあります。自分の中では、挑戦しないことの方が失敗。1人で行う苦労はありますが、喜びも大きいので、常に前向きでありたいと思います」

短期間でAmazonでの販売を軌道に乗せ、思い描いた夢が少しずつ形になり始めていると言います。

佐藤さん「秋田県のサポートを受けながら、地元の家具職人さんとキャンプ用品を開発するプロジェクトが動き出しています。今後も秋田の職人やさまざまな企業と協業しながら、将来的にはストーリー性とオリジナリティを持ったアウトドアブランドを確立し、秋田県のブランディングや地域活性化に貢献していきたいですね」


ビーチサンダルの魅力を広めるためにAmazonでの販売を開始

東京都台東区にある株式会社TSUKUMOは、ビーチサンダルの企画・製造・販売を行う専門メーカーです。代表取締役の中島広行さんは、ビーチサンダル販売店に15年ほど勤務した後、2013年に起業。日本製にこだわったビーチサンダルをAmazonで販売しています。

緑に囲まれた屋外で両手にビーチサンダルを持つメガネをかけた男性
株式会社TSUKUMO 代表取締役・中島広行さん

中島さん「ビーチサンダルの発祥は兵庫県神戸市長田区と言われていて、最盛期の1980年代には世界中にビーチサンダルを輸出していました。日本には草履や雪駄といった、鼻緒のある履物を履く習慣が古くからあるので、その歴史の中で培ってきた高い技術がビーチサンダルの製造にも活かされています」

 長田区の工場に製造を委託している同社の売上は、8割以上が企業から依頼されたビーチサンダルが占めていると言います。

 中島さん「いわゆる BtoB 向けのOEM製造です。アパレルメーカーやプロスポーツチーム、食品メーカーなど、幅広い企業様からコラボレーションやノベルティ制作の依頼をいただいています。以前から自社ECでBtoC向けの販売も行っていましたが、なかなか成果があがりませんでした。そこで、より多くのお客様にビーチサンダルの魅力を知ってほしいと考え、2023年からAmazonでの販売を始めたのです」

屋外のタイルの上に置かれた2足のビーチサンダル。クリーム色と黒
足への負担を軽減する天然ゴムを鼻緒に使用するなど、普段遣いのための工夫が詰まっている
レンガの塀の前に並べられたカラフルなビーチサンダル。大人用と子ども用
台と鼻緒の色の組み合わせが228通りあるオーダーメイド品は、サイズ展開も12種類と豊富

AmazonのFBAによって保管スペースと時間を節約

販路をAmazonに拡大した背景には、ビーチサンダルの需要が減少しているという課題がありました。

中島さん「数十年前からレジャーが多様化して海水浴に行く人が減り、ビーチサンダルの需要も年々減少していました。それに伴って、日常生活で履けるデザイン性と、長時間履いても疲れにくい機能性を追求したビーチサンダルを普及させたいと考えました。それを実現するためには、圧倒的な知名度があるAmazonで販売することが最善の策だと考えたのです」

FBAによる業務効率化も大きな魅力だったと言います。

中島さん「当社のビーチサンダルは完成品のほかに、台と鼻緒の色の組み合わせが228通りあるオーダーメイド品も販売しています。扱う商品点数が多い上に、自分1人なのでやることも多い。そのため、FBAによって保管スペースと時間が節約できる点は本当に助かっています。販路が自社ECのみだった頃と比べて、発送作業が半分に減り、鼻緒をすげる作業やブランディングのアイデアを考える時間に集中できています」

近年は、環境に配慮した商品も開発しています。

中島さん「数年前から、廃棄物を再利用したサステナブルなビーチサンダルを作れないかという、企業様からのお問い合わせが増えました。そこで、サトウキビ由来の樹脂を配合した合成ゴムや、廃棄予定の麦茶かすを混ぜた天然ゴムを使ったビーチサンダルを自社で開発しました。社会に与えるインパクトは少ないかもしれませんが、こうした取り組みや意識が中小企業や個人事業主にも波及していくことを願っています」

ビーチサンダルが積まれた棚の前で鼻緒をすげる作業をしているメガネをかけた男性
オーダーメイドの商品の場合、鼻緒をすげる作業は中島さん自ら行っている
草の上に置かれた2足のビーチサンダル。黒とグレー
環境に配慮した素材を用いて作られたビーチサンダル

Amazonのストア機能で商品に付加価値を付ける

ブランディングにおいても、Amazonのサービスが役に立っていると言います。

中島さん「Amazon Brand Registryに登録することでストア機能を利用し、ブランドを紹介するページを作成しています。ものづくりの背景を文章や動画で紹介できるので、商品に付加価値を付けることができました。Amazonのアカウントマネージャーもとても親身になって相談に乗ってくれて、当社のブランドが成長するためのさまざまな改善策を提案してもらっています」

 株式会社TSUKUMO は2021年に長田区と事業連携協定を結び、ビーチサンダルのPRに力を入れています。

 中島さん「Amazonでの販売を通じてビーチサンダル発祥の地としての知名度をさらに高め、地場産業としての活性化、ひいては作り手のモチベーション向上にもつなげていければと考えています。将来的には、Amazonグローバルセリングを使って海外販売にも挑戦し、日本発祥のアイテムとしてビーチサンダルを世界に発信していきたいですね」

 1人でビジネスを立ち上げ、Amazonで商品の販売を行っている佐藤さんと中島さん。Amazonのサービスを活用したアウトソーシングを効果的に取り入れることで、両者はさまざまな課題を解決し、商品開発やブランディングのための時間を生み出しています。デジタル技術の活用は、人数や場所といった制約を取り払い、ビジネスの可能性を大きく広げていくことでしょう。


フルフィルメント by Amazon(FBA)とは?
Amazonの配送ネットワークを使い販売事業者様のビジネスの成長を支援するサービスです。商品の保管、注文処理、梱包、配送、カスタマーサービス、返品対応をAmazonが代行します。FBAを利用すると商品がプライム対象となり、お急ぎ便、当日お急ぎ便など、Amazonプライム会員のお客様が無料で利用できる配送特典の対象となります。


2022年のシリーズでは、事業承継、地域活性化、働き方改革などの社会課題の解決のためにDXを活用した事例や農業や水産業などの第一次産業における中小企業が実践するDXについてご紹介しています。

本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。
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