Amazonは、新たな試みとして、無料のコンピューターサイエンス教育プログラム「Amazon Cyber Robotics Challenge(アマゾン・サイバー・ロボティクス・チャレンジ)」を日本で開始しました。第1回目のイベントが10月26日、YMCAの協力のもと、社会福祉法人みそのが運営する児童養護施設「聖園子供の家」(神奈川県藤沢市)の小中高生18人を対象に行われました。子どもたちは楽しそうにパソコンに向かい、プログラミングやロボット工学の基礎を学びました。

コーディングの基礎を学ぶ「Amazon Cyber Robotics Challenge」

Amazonは、地球上で最もお客様を大切にする企業になることを理念として、サービスを提供する地域社会への貢献に尽力しています。その取り組みの一環として、子どもたちが科学技術に興味を持ち、スキルを身に付けられるようになる方法を模索しています。2019年からYMCAと連携し、ウェブサイト・映像制作、ゲームプログラミング教室を実施しており、これまで全国で約900人の子どもたちにSTEM(科学・技術・工学・数学)教育を提供してきました。

日本で新たにスタートした「Amazon Cyber Robotics Challenge」はオンライン学習プログラムで、コンピューターサイエンスに関心のある子どもたちが学習機会を容易に得ることができるよう、Amazonがグローバルで展開するコンピューターサイエンス教育プログラム「Amazon Future Engineer(アマゾン・フューチャー・エンジニア)」の一環として実施します。

「Amazon Cyber Robotics Challenge」はロボットを使った活動やゲームを通じて、子どもたちの創造性や問題解決能力を高め、幼少期からSTEM分野への興味を喚起することを目的としています。オンライン学習教材を制作するCoderZ社(米国)とのパートナーシップのもと、Amazonが開発したプログラムで、コンピューターサイエンスとロボット工学を活用しています。

プログラミング言語を用いてWebサイトをブラウザ上に構築することをコーディングといいますが、Amazonがお客様にお届けする商品の配送の流れを基にした演習問題を解くことで、コーディングの基礎を学ぶことができます。

演習問題では、Amazonの物流拠点であるフルフィルメントセンター(FC)で稼働する「Amazon Robotics」の仮想版のロボットを動かすためのコーディングを行う、「ロボットトレーニングミッション」が中心となっています。

「楽しかった」「またやりたい」 笑顔があふれた子どもたち

10月26日に、聖園子供の家で開催されたイベントでは、体育館に集まった子どもたちがパソコンに向かい試行錯誤しながら、一人ひとりのペースでゲームに取り組み、プログミングやロボット工学の基礎を学んでいました。

子どもたちの前に1台ずつ置かれたノートパソコンの画面上には、ミッションと、障害物のあるマス目上に置かれたFCのロボット「ヘラクレス」が表示されます。ヘラクレスにどういう指示を出せば、障害物にぶつかることなく商品のある棚までたどり着けるのか、子どもたちは矢印などのコマンドを組み合わせながら、ヘラクレスを動かすルートのプログラムを作っていきます。

Amazon、YMCAと連携し子どもたちにプログラミング学習の機会を提供「Amazon Cyber Robotics Challenge」プログラムを日本でスタート

プログラムを完成させ、いよいよ実行ボタンを押すと、画面上のロボットが動き出します。小学生の女の子は、足をバタバタさせながらロボットの動きを緊張の面持ちで見守ります。成功すると「できた」と笑顔になり、隣にいたYMCAのスタッフとハイタッチをしていました。

子どもたちをサポートするのは、メンターと呼ばれるYMCA高校生事業部の10代のスタッフたちです。「同じ動きのコマンドを4つ入力するより、『4回繰り返す』のコマンドを1回入力したほうがよくない?」などとアドバイスをしたり、子どもからの「ヘラクレスがぶつかった。どこが間違ってた?」という質問には、「たぶんここが違ったんじゃない?」と、優しくフォローしたりしていました。

参加したのは、小学2年生から高校生までの女子15人、男子3人です。学年の近い子どもたちで3つのグループに分かれてゲームに取り組みました。小学2~4年生の子どもたちは、メンターに教えてもらいながら進めましたが、コマンドの操作自体はノートパソコンのタッチパッドでドラッグ&ドロップをするだけなので、簡単に扱うことができました。小学5、6年生のチームは、慣れてくると1人で操作していきます。中高生の生徒たちは、最初にゲームのルールを教えてもらうと、ほとんど1人でミッションをクリアしていました。

「楽しかったです。またやってみたい」(小学2年・女子児童)

「プログラミングは難しいのかなというイメージがあったけど、思っていたよりも簡単でした」(小学5年・女子児童)

「ロボットのヘラクレスを動かすのが難しかったけど、また機会があったらぜひやってみたいです」(小学6年・男子児童)

「ロボットをどう操作しているのか、仕組みを知ることができました。今年の春から小学校でも1人1台のパソコンが配られたけど、プログラミングは初めての経験でした。楽しく簡単に勉強できて、おもしろかったです」(小学6年・女子児童)

90分のイベントはあっという間に過ぎ、最後に子どもたち全員に、プログラムの修了書と記念品が贈られました。

Amazon、YMCAと連携し子どもたちにプログラミング学習の機会を提供「Amazon Cyber Robotics Challenge」プログラムを日本でスタート
参加した子どもたちへ修了書授与の様子

子どもたちをサポートしたメンターたちは、こんな感想を語ってくれました。

「小学2~4年生のグループを担当しましたが、さすがデジタルネイティブ世代だなと感じました。子どもたちはみんな頭の回転が速く、素直で元気でした。私も小学生時代を思い出して楽しませてもらいました」(19歳・女性)

「子どもたちはすごい集中力で取り組んでいて、驚きました。僕は日ごろ、プログラミング教室で講師もしているのですが、今日の子どもたちは自分からイベントへの参加を希望してくれたこともあって、活気があり、僕自身にとっても新鮮でした。プログラミング体験後の子どもたちは、始まるときとは違って、僕たちの話を聞く姿勢が真剣になっていて、成長を感じました」(高校3年・男性)

「子どもたちは吸収力が早かった。つまずく場面は人それぞれなので、一人ひとりの進捗状況を確認するように心がけました。本人がどこまで自分で考えられそうか、いつ教えればいいのか、タイミングを見極めるのが難しかったです」(高校2年・女性)

「僕は中高生のチームを担当させてもらったのですが、子どもたちは『知りたい』『学びたい』という気持ちが強く、理解が早いので、教えていてとてもおもしろかった。子どもたちは『みんな一緒にがんばろうね』という雰囲気を理解し、作ってくれたので、僕にとっても貴重な時間を過ごさせてもらいました。終わった時に『とても楽しかった』と言われたのも、うれしかったです」(大学1年・男性)

「『Amazon Cyber Robotics Challenge』は今回が第1回目の開催で、無事に終えられてほっとしました。僕は普段、中高生向けのキャリア教育を行う会社を立ち上げて活動しています。日ごろから、キャリア教育は早めにしたほうがいいと思っているので、今日のような『テクノロジーの第一歩』としての経験を子どもたちに提供できてよかったです」(18歳・男性)

メンターたちをまとめてきたYMCA 社会協働プロジェクト中期計画推進室主任主事の横山由利亜さんは、パソコンに触れる機会が少ない施設の子どもたちに、プログラミングを学ぶ意味や、「テクノロジーで誰もが世界を変えられる」ということをどうしたら効果的に理解してもらえるか、高校生8人を含めた10人のメンターたちと約1年かけて話し合い、準備をしてきたそうです。

「今日は準備のかいあって、子どもたちが夢中になって取り組んでくれて安心しました。年の近いメンターたちがサポートやフォローしたことも良かったようです。施設などを対象にしたプログラムはどうしても、一般のお子さんがすでにしている経験を補うというものが多いと聞いており、実は一般のお子さんが経験していないことを体験することが、子どもたちの自信にもつながると感じています。そういった意味でも今日の特別な体験が、プログラミングやテクノロジーを身近に感じてもらい、将来の職業選択の可能性を広げられるようなきっかけになってくれればうれしいです」(横山さん)

今回のイベントが開催された聖園子供の家主任の堀衣里さんは、笑顔で感想を話してくれました。

「施設でもさまざまなイベントを開催していますが、参加者は10人前後です。18人もの子どもたちが参加したいと言ったのは驚きで、みんなプログラミングに興味があったのだなと思いました。YMCAのスタッフの方々は子どもたちと年齢も近く、気持ちの引き出し方も上手で、子どもたちのとても楽しそうな笑顔を見られてよかったです。イベントが終わってからもスタッフとおしゃべりをしたり、サインをもらったりして、今日がとても楽しい思い出になったのだなと思います。子どもたちはゲームやスタッフたちとの交流を通じて、プログラミング体験だけではなく、人と人との関係づくりや社会とのつながりを学ぶことができたのではないかと思います」

聖園子供の家には、3~4人に1台くらいの割合で各部屋にパソコンがあるものの、普段は検索や動画閲覧に使っている場合がほとんどだそうです。イベント後の「もっとプログラミングをやりたい」という子どもたちの声を受けて、堀さんは「これからプログラミングを学ぶ機会を増やせないか、施設でも検討していきたい」と話していました。

子どもたちを見守っていた施設長の野際良介さんも、こう語ってくれました。

「今回はAmazonやYMCAの方々に、貴重な機会を作っていただきました。今日の子どもたちの反応や集中力はすごかった。ほんの5分前に苦戦していたことを、すぐにクリアしてどんどん先に進めているのを見て、子どもたちは順応性が高く、すごい力を持っているんだなと改めて感じました。日ごろなかなか見られない表情など、子どもたちの新たな一面を見ることができたし、子どもたちの自信にもなったのではないでしょうか」

Amazonは、今後もYMCAと連携して、関東甲信越地方の児童養護施設で暮らす子どもたちを対象に展開し、支援をさらに拡大していきます。2022年1月以降は、全国の児童養護施設(約600か所・児童数約27,000人)のうち約1万人に対象を拡大します。

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