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この度初めて、オープンソースのASHA(Audio Streaming for Hearing Aids)を介して、AmazonのFire TVおよびスマートテレビからコクレア社の人工内耳に直接音源を流すことが可能になりました※。
※日本国内ではFire TV Cubeが対応しています。また、Fire TV Omni QLEDシリーズ、Fire TV Omniシリーズ、Fire TV 4シリーズは日本国内では販売していません。

この取り組みは、Amazonと補聴器メーカーであるスターキー社との協業に基づくもので、聴覚障害者にエンターテインメントをより身近に感じていただくための新たな一歩となります。

Amazonとコクレア社の新しいソリューションにより、人工内耳を装用している方は、NetflixやPrime Videoなどのストリーミングサービスが提供する映画作品やテレビ番組のエピソードをより快適に楽しむことができるようになります。

技術を支える人々

Amazonでソフトウェアエンジニアとして働くマイケル・フォルツァーノさんは過去10年間に渡り、障がいのあるお客様がよりショッピングなどをしやすくするための技術機能を構築してきました。フォルツァーノさんは、熟練したプログラマーで、高校時代に独学でコードを学んだ後、大学でコンピューターサイエンスを学び、Amazonに就職しました。また、彼は生まれつき視覚障害を持ち、幼少期に聴覚を失って以来、人工内耳を使用しています。

フォルツァーノさんが今回の技術構築に直接携わったわけではありませんが、発売までの数か月間、Amazonとコクレア社による実装テストに参加しました。彼は、テレビを見ることは「癒しだ」と言い、恋人とお気に入りの番組について意見を交わすことを楽しみにしていて、「これは、私にとっても新たな世界を開いてくれる技術であると期待しています」と言います。

耳に補聴器をつけた男性がテレビを見ている

この機能を使い始める前までは、フォルツァーノさんがテレビを見る機会は少なく、反響音や音質の悪さのために、おおよそ4~5割の発話を聞き逃していたと言います。

それこそが、コクレア社が解決しようと取り組んでいる課題でした。同社のNucleusシステム製品管理・マーケティング担当ディレクターであるライアン・ロペス氏は、コクレアは2019年にスマートフォンから補聴器や体内に埋め込むインプラントタイプの人工内耳への音声ストリーミングに取り組み始め、テレビが次なる開拓領域であると説明します。「テレビは私たちの生活の大きな部分を占めており、エンターテイメント、スポーツ、音楽を通してニュースや情報を得ることができるデバイスです」とロペス氏は言います。また、「Amazonとの協業を通じ、Amazonの障害のある方々のコミュニケーションの改善への取り組みや、また、これらの技術をどのように組み合わせれば効果的になるのか検討する姿勢など、Amazonのアクセシビリティに対する、献身的な努力が明確に伝わってきました。コクレアがこの取り組みの一部を担えることを本当に誇りに思います」と話しました。

モリー・バークさんは、エンターテインメントと安心感のために、AmazonのAlexa、Fire TV、Ringデバイスを愛用しています

コクレア社、そしてAmazon Devicesのアクセシビリティ担当ディレクターであるピーター・コーンさんとAmazonのアクセシビリティチームのコラボレーションは、よりアクセシブルな技術を業界に打ち出す最も新しい取り組みです。また彼らは、スクリーン・リーダーをサポートした1200万冊以上のKindle本や、目の不自由な方の為、画面上の映像を説明する音声解説を備えた何千ものPrime Videoのタイトルをお客様に提供することにも貢献しています。

「人工内耳などの補聴器を使っているお客様やオーディオロジスト、その分野の専門家へのヒアリングによると、難聴になったときに本当に願うのは、周りの人の声をはっきりと聞こえるようになること、という声が大半でした。そして2番目には、テレビの音を聞き取り、エンターテインメントを楽しむことに関する声が寄せられました」とコーンさんは言います。

コーンさんと彼のチームは、お客様の課題を解決できる機会と考え、コクレアとの協業を開始しました。体内に埋め込むインプラント式の人工内耳のマイクを経由することでFire TV Cubeからインプラント式人工内耳に直接音声を流し、ノイズや反響音による音声の劣化を防ぐ方法を発見したのです。

ソファーに座りリラックスした様子の男性。耳に補聴器をつけ、後頭部にも丸い器具が装着されている。

「音声を小さなパケットにして人工内耳の補聴器に送ります。補聴器が音声のパケットを受け取ったことを確認し、さらにパケットを送信する、という具合です。また、このプロトコルが家のリビングの距離で動作するようにするための作業も行いました。つまり、お客様はテレビから3メートルの距離に座っていても、エンターテインメントを楽しむことができるのです」

フォルツァーノさんは、Amazonで働く障害者当事者が集うグループAmazonPWDのメンバーとともに、この技術の音質や接続性などの機能テストを行い、Amazonの技術プログラムマネージャーであるケイティ・ハンセンさんにフィードバックを共有しました。ハンセンさんは、「毎日が新しい挑戦で、新しいことを学んでいます」と言い、「アクセシビリティ機能は、多くの方の課題を解決しています。誰もが利用しやすい機能を提供することが、私の力となり、原動力となっています」と話します。

ロペス氏は、この機能は何千人ものお客様にすぐに使っていただけるようになると言います。

「適切な世代のCochlear NucleusやBahaサウンドプロセッサとAmazon Fire TV Cubeをお持ちであれば、機器をペアリングすることですぐにご利用いただくことができます」

コクレア社の人工内耳に対応するFire TV機種について

左はAmazon Fire TV Cubeの画像。右側に笑顔の女性。耳に補聴器をつけている

コクレア社は、Fire TVから「Cochlear Nucleus 8」「Nucleus 7」「Nucleus Kanso 2」「Baha 6 Maxサウンドプロセッサ」へのダイレクトストリーミングを構築しました。ASHAの使用により、サウンドプロセッサはFire TVデバイスと直接接続されるため、お客様はお気に入りのストリーミングアプリの音声を楽しんだり、Alexaの使用、音楽視聴、ナビゲーション音の聴取を行うことができたりします。

日本で販売されているASHA 対応の Fire TV デバイスは、Fire TV Cube(第3世代)、Fire TV Cube(第2世代)です。

人工内耳とFire TVデバイスのペアリングについて、またAmazonアクセシビリティについてこちらのページより詳細をご覧いただけます。
 
*本記事は2023年2月22日に米国のAbout Amazonに掲載された記事を日本語に翻訳したものです。

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