3月8日の国際女性デーは、女性の社会的、経済的、文化的、そして政治的功績を祝い、男女共同参画を加速させるための行動を促す日です。Amazonでは、ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包括性)を組み合わせた「DEI」を会社を支える重要な土台であると考え、年間を通して社員たちがさまざまなイベントを実施しています。

3月15日には、Amazonで働く女性およびノンバイナリーの社員とそのアライ(支援者)のためのグループWomen at Amazonのメンバーが、今年のIWDのテーマ「Embracing Equity(公平性を取り入れる)」に合わせて、社員向けのトークイベントを開催しました。会場での参加のみならず、オンラインでも社内にイベントの模様が配信されました。

同じ靴を提供することは公平か? 公平性とは何かを考えることから始める

開会の挨拶をしたのは、バイスプレジデント ハードライン事業本部 統括事業本部長の渡辺朱美さんです。渡辺さんは、Women at Amazonの活動を支援するエグゼクティブスポンサーを務めています。渡辺さんは、平等と公平の違いについて、こう説明しました。

IWD2023

「同じ靴をはいて、同じ距離を同時に走るレースを想像してみてください。条件は同じなので、成功する機会は平等にあると思いますよね。でも、足の形は人によって異なります。同じ靴でも、足に合わなければ、パフォーマンスに影響が出てしまうかもしれません。どの出場者も自分にフィットした靴をはいたほうが、ベストを尽くせる可能性がはるかに高くなります。これが公平ということなのです。公平性を真に取り入れるとは、違いを理解して、価値を認め、かつポジティブな要素として取り入れることを意味します」(渡辺さん)

そして、渡辺さんは男性の参加について、「ジェンダーの公平性は、女性だけで推進することはできません。すべての人が担うものです。男性も女性のアライ(支援者)となり、公平性を推進する行動に積極的に取り組んでいる組織は、女性の職場への定着率や昇進が改善されるだけでなく、結果的にすべての人の職場環境が改善されるからです」と語りました。

DEIを自分のこととして考える重要性

続くトークセッションに登壇したのは、アマゾン ウェブ サービスジャパン社長の長崎忠雄さんです。長崎さんは、DEIの推進に積極的に尽力しているリーダーの1人です。聞き手は、日本でWomen at Amazon Japan をリードしているレイチェル・ブルースティンさんが務めました。

IWD2023

最初にレイチェルさんが質問したのは、長崎さんにとって「DEI」がどのような意味を持つのかについてです。

長崎さんは、アメリカの大学へ留学していた時やグローバル企業で勤務するなかで、「DEI」の重要性を学び、気づかされたと話しました。

「多様な価値観をお互いに尊重し、認め合い、理解する『DEI』は、私個人はもちろん、組織にとっても重要です。自分と異なるバックグラウンド、考え方、意見に触れることは、未知の世界の存在に気づき、目を向ける絶好の機会になるからです。気づきを得て学ぶことは、貴重な財産になりますし、新しいアイデアの源にもなるんです。学ぶことは組織を強くしますから、1人1人が考え、自分らしく働ける職場づくりにも役立つのです」(長崎さん)

IWD2023

身近にあるジェンダーの公平性を考えるタイミング

続いての質問は、お子さんが4人いる長崎さんが、どのように家庭でジェンダーの公平性を保っているか、ということです。長崎さんは出身地の福岡から、上京したときにも、そして日本を出てアメリカで暮らしていたときにも、自身がマイノリティの立場にいると感じていました。その経験から、マイノリティの視点から考える習慣が身についていると思っていました。ところが、家庭においては、無意識のうちに子どもたちに男らしさ、女らしさを語る自分に気づいたことがあったそうです。

「子どもに対して『男だろう』などと言って、型にはめようとしている自分に気づいてからは、ジェンダーの制限をかけずに子どもと会話ができるようになりました。一方で家庭の外、つまり日本社会における家庭や子育てに関わるジェンダー問題に違和感を覚えることが増えました。たとえば、保育園の送り迎えです。私が送迎をしていると周囲から『(お父さんなのに)偉いですね』と褒められます。でも、性別に関係なく親であれば子育てに関わるのは当たり前ですし、例えばアメリカでは普通のことです。少しずつ変わってきてはいますが、男性中心の考え方がいまだ根強い日本社会では、ジェンダーによる役割分担を無意識に強いる空気感があると感じます。その空気感を私たち1人1人が自分の問題として考え、変えていかなければならないと思っています」(長崎さん)

アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を打ち砕くためにできること

次の質問は、男性がジェンダーの公平性に貢献するには、どのように関わったらいいのか、ということです。レイチェルさんは、Amazonの社内だけでなく、日本社会も含め、男性ができることについて長崎さんに聞きました。

「日本は、親や周囲から女性としての役割を決めつけられることが多いと思います。特に地方出身の女性たちは、『大学進学で上京するのはいいけれど、卒業後は戻ってくるように』『なぜそんなに仕事をするのか』『結婚して専業主婦になればいい』といったことをいまだに言われると聞きました。男性優位の社会によるアンコンシャス・バイアスの空気感を変えるには、時にはユーモアを交えながら対話していくことだと思います。リーダーが率先して発信し、女性が悩みを打ち明けやすい環境を作っていくことが大切です。AWSジャパンでも、私が社員の皆さんに自分の体験を話したり、女性社員と対話をしたりして、自分自身すごく勉強になったとAWSのリーダーシップチームに話したら、私と同じ行動をしてくれるリーダーが出てきました」(長崎さん)

女性のキャリアをさらに成長させるには

レイチェルさんは、最後の質問として、女性がキャリアをさらに成長させるために必要なことを尋ねました。

IWD2023

「自分の仕事に自信を持つことです。Amazonはグローバルカンパニーです。さまざまなキャリアアップのルートが世界中に広がっています。目立つことを恐れたり、引っ込み思案にならず、自分らしさを大切にして、大胆に挑戦して欲しいです。これは女性だけでなく、男性にも伝えたいことです。いろいろな壁を乗り越えて振り返ったとき、自分自身の成長に喜びを感じるはずです」(長崎さん)

熱のこもった長崎さんの話に、会場で聞いていた参加者は何度もうなずき、質疑応答も積極的に行われました。

この日はこのトークセッションのほかに、女性起業家を招いてのトークセッションや、参加者が自信をもって自分について話をするためのワークショップ、そして社内のネットワーキングイベントなどが開催され、多くの社員たちが参加しました。

Amazonではさまざまな機会を通して、これからも「 DEI 」の重要性を浸透させる活動を続けていきます。

そのほかのAmazonのニュースを読む