新年度が始まる4月を前に、暮らしに新しいアイテムを取り入れる機会が増えるこの季節。今回は、品質やアイデアを追求した新生活アイテムを製造・販売する中小企業を取り上げ、Amazonのサービスが加速させたDXや商品開発、企業の成長をご紹介します。

高品質の今治タオルを全国のお客様に届けたいという想い

タオルの生産量で国内トップシェアを誇るなど、日本有数のタオルの産地として知られる愛媛県今治市。その地に生まれ育った株式会社三愛の代表取締役・門田洋さんは、タオル関連の仕事に30年以上、携わってきました。

門田さん「地元のタオルメーカーを退職後、企業から今治タオルの生産依頼を受け、商品の企画や生産管理、品質管理などを請け負ってきました。そうした中、Amazonで日用品を購入されるお客様が増えていることを知り、Amazonでなら今治タオルを全国のお客様に届けられると考え、2019年からAmazonに出品しました」

室内でビニール袋に包まれたタオルの後ろに立つ笑顔の男性
株式会社三愛 代表取締役・門田洋さん

インターネット販売(EC)を始めるにあたって、念願だった自社ブランド商品の開発に着手。吸水性や耐久性などの厳しい試験を合格した商品に与えられる今治タオル認証を取得した商品を展開しています。

門田さん「品質基準を満たしたうえで、原材料費を抑えるための素材を考案し、コストを抑える努力もしています。タオルは毎日のように使うものです。高品質のものをできる限りお求めやすい価格でお客様に提供しているので、長く使ってもらえるとうれしいですね」

「頭の片隅ではいつも商品開発のことを考えている」と語る門田さんは、写真やイラストをタオルに転写する技術を開発するなど、常に新しいことに挑戦してきました。

門田さん「昨年、環境に配慮した再生ポリエステル素材を開発し、吸収性に優れ、シワがつかないアイロンいらずのハンカチブランドを作りました。京都の西陣織の企業と手を組み、転写技術を使って西陣織の模様をハンカチにプリントするなど、産地を越えた地域ブランドの活性化を目指しています」

柄をプリントしたハンカチを印刷用の固定シートからはがす様子
高性能プリンタや転写機を使い、模様のディテールをハンカチにプリント
1箱に3枚ずつ贈答用の箱に入ったカラフルなハンカチ
西陣織の模様(右上)をはじめ、さまざまなデザインがプリントされた新素材のハンカチ
今治タオルのマーク(赤字に白い丸の下に青と白のストライプ)のタグが付いているさまざま色のタオル
吸水性や耐久性はもちろん、毛羽落ちの少なさや肌触りも特長のタオル

AmazonのFBA活用によってアイデアを話し合う時間が生まれた

Amazonのさまざまなサービスは、お求めやすい価格でお客様に商品をお届けしたいという、同社の想いを後押ししています。

門田さん「自社で販売するには大量の商品を保管・管理する必要がありますが、そのためには人員も保管スペースも必要となります。その点、Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や、商品に関するカスタマーサービスを代行するフルフィルメント by Amazon(FBA)を利用すれば、商品をAmazonの物流拠点に預けられ、配送業務をすべて任せることができます。コストが抑えられるうえ、商品開発に集中し、従業員とアイデアを話し合う時間が生まれました」

さらに、商品を真空包装する機械を導入し、配送コストの削減を図っています。

門田さん「Amazonでは、大きさや重さの規定を満たした商品を登録すると、FBA小型軽量商品プログラムの利用が可能となります。配送コストの削減分が販売事業者に還元されるので、コストを抑えながら販売できています」

灰色のストライプ柄のタオルにつけられている今治タオルのマークタグ(赤地に白い丸その下に白と青のストライプ)
水中に沈み始めるまでの時間で吸水性を測るなど、試験を合格した製品に与えられる今治タオル認証マーク
機械の前でタオルの断面を向けて両手で持つ男性の手
圧縮機で真空包装されたタオル

Amazonでの販売経験を産地の課題解決に活かす

売上面での成長は、Amazonの特選タイムセールへの参加によって加速したといいます。

門田さん「Amazonに出品した当初から、スポンサープロダクト広告を利用し、売上は順調に推移していました。そんな中、特選タイムセールに参加したことで一気に認知度を高めることに成功し、大きなターニングポイントになりました。カスタマーレビューでもお客様からいただいた高評価が蓄積され、そのことが商品の信頼度向上へとつながる好循環が生まれています」

同社はAmazonのマーケットプレイス コンサルティングサービスの利用も開始し、さらなる成長を期しています。

門田さん「Amazonの担当者から、詳細なデータ分析をはじめ、効果的な商品ページの作成方法、広告運用の最適化などのアドバイスをもらっています。Amazonを中心としたECでの成長を土台に、今後は人員や設備の増強を計画しています」

ハンカチやタオルが置かれたテーブルを囲んで会議をしている男性3人と女性1人
何度も議論を重ねることで商品のアイデアが生まれる

順調に成長を続ける同社だが、今治タオルの生産量は最盛期の1990年代と比較して5分の1に減り、生産者の高齢化や後継者不足という問題に直面しています。

門田さん「2006年に今治タオルプロジェクトが始まり、今治タオルというブランドは全国に広まりました。しかし、メーカーや生産者は年々減り続けているという現実も存在します。当社はお客様のニーズを重視した商品開発を行ってきましたが、企画・開発を行ってこなかったメーカーが多いという課題も感じています。地元の作り手たちにお客様目線に立って奮起してもらうために、Amazonでの販売経験も含めた私のノウハウを伝え、産地として共存共栄していければと考えています」


本当に気に入ったものを長く使い続けてもらうために

新生活を機に身の周りのアイテムを新調する際、長く使い続けられるという特長は、商品を選ぶ基準の1つになります。福岡県で鞄や財布、小物などの革製品ブランドを展開し、自社店舗とECで販売している株式会社ポルコロッソは、「20年後も使い続けられるものづくり」をモットーとしています。

代表取締役の池田達昭さんは、1998年に同社を創業する以前、アパレル業界で働いていましたが、「シーズンごとに新しい服が大量生産され、大量消費・廃棄される中で、自分が本当に気に入ったものを長く使い続けるという真逆の価値観に惹かれていった」と振り返ります。

革製品が並べられた店内で商品棚の前に立つ、黒いベルベットのジャケットを着て、メガネをしているおしゃれな男性
株式会社ポルコロッソ 代表取締役・池田達昭さん

池田さん「加えて、日本にも祖父母や親の代から着物や食器などを譲り受け、使い続けるという文化が古くから存在します。そうした文化を継承するためにも、長く使い続けられるものを作りたいと考えました。そこで、革製品のメーカーの製品を仕入れ、販売していた経験を活かし、革製品の自社ブランドを立ち上げたのです」

同社は創業以来、すべての製品を廃番にすることなく継続販売し、修理することで使い続けられる生産体制を貫いています。

池田さん「革は最高品質の栃木レザーを使用し、頑丈さや発色、美しいエイジングなどにこだわったオリジナルレザーを共同開発しました。一般的な鞄は内部のポケットなどに布を使いますが、破れやほつれなどが生じやすいため、当社はポケットなども含めてすべて革で作り上げています」

17名の従業員は全員が職人で、店舗に併設された工房で製品を自社生産しています。

池田さん「従業員は職人であり、接客も担っています。縫製技術を持っているけれど、結婚や育児を機に専業主婦になっていた女性を積極的に採用しています。地域雇用への貢献やサステナブルという考え方も重視しながら、『この仕事が好きだから働きたい』『この製品がかっこいいから欲しい』という作り手やお客様の感性も大切にしたいと考えています」

赤い革をミシンで縫っている職人の手
製品はすべて自社工房にて、従業員の手作業で生産されている
広い店内の奥にミシンなどが置かれた作業場が見える
売り場の奥に工房が併設された福岡県の自社店舗

製品の生産と販売のために、FBAはなくてはならない存在

1998年の創業と同時に小規模ながらECを開始し、Amazonには2011年から出品しています。早くからECに注目した理由は、販売時のサービスの均質化を図るためだったといいます。

池田さん「当時は商業施設のイベントなどで製品を販売するため、接客要員として全国各地に従業員を派遣していました。しかし、従業員によって製品説明や接客にバラツキがあることに気づき、ECであれば、ブランドの世界観や製品の特長をしっかり伝えられると考えるようになりました」

AmazonのFBAを利用したことで、想像以上のメリットがあったといいます。

池田さん「全国各地への出張やそれに伴う経費処理に時間を取られる中で、配送業務をアウトソーシングできるFBAは業務効率化の支えになりました。また、卸販売をやめて出張がなくなった現在でも、従業員が製品づくりと接客の両方の時間を十分に確保するために、FBAはなくてはならない存在になっています」

One Amazon vol2
人気製品の財布やキーケースは、使えば使うほどに変化する風合いが魅力
赤や黒、茶色などさまざまな色・大きさ・形の革製品の鞄が並べられている商品棚
鞄はオーダーメイドで生産し、お客様の細かなご要望に応えている
店内のディスプレイ用テーブルに並べられた革の小物類。メガネケース、スマホケース、キーケースなど
スマートフォンケースやペンケース、名刺入れなど、幅広い製品ラインナップ

ブランドの理念に共感してくれたAmazonの担当者のサポート

Amazonでは年々、売上規模を拡大していますが、Amazonのマーケットプレイス コンサルティングサービスの担当者の存在は大きいといいます。

池田さん「鞄に関してはオーダーメイドのため、ご購入後、お客様のご要望をお伺いし、納品にも数週間を要します。当初はECと相性が悪いかなと危惧しましたが、長く使っていただくためには譲れない部分です。Amazonの担当者はその理念に共感し、ブランド紹介ページで世界観を伝えることを提案してくれました。製造工程の動画を載せるなど、品質へのこだわりを訴求できています」

また、自社のECサイトでは2015年頃からAmazon Payを導入しています。

池田さん「導入後、Amazon Payを利用されるお客様が増え、すぐに効果があったので驚きました。Amazonのアカウントをお持ちのお客様なら、クレジットカード情報などの入力が省けるので、購入のハードルが下がったと思います」

創業25周年を迎え、池田さんは「20年後も使い続けられて、次の世代へ受け継がれていくものづくりを実現できている」と語ります。

店内で女性従業員と会話する株式会社ポルコロッソ代表取締役の池田達昭さん
従業員の意見を参考にし、男女兼用で使えるデザインの製品を開発している

池田さん「子どもや孫へと当社の製品を受け継いでもらえるように、この先もずっとブランドを存続させたいですね。Amazonで製品を購入されたお客様と、修理を通じた交流も生まれており、これからも多くのお客様に愛され、共感していただけるブランドを目指していきます」

商品の品質を追求し、新たな技術や商品開発に挑戦し続ける株式会社三愛と、長年にわたって使い続けられる製品づくりのために創意工夫を重ねる株式会社ポルコロッソ。Amazonのさまざまなサービスは、挑戦や創意工夫を実行するために必要な時間を生み出すと同時に、両社の成長を後押ししてきました。アイデアと品質へのこだわりが詰まった両社の商品は、新生活をより豊かなものにしてくれるでしょう。


フルフィルメント by Amazon(FBA)とは?
Amazonの配送ネットワークを使い販売事業者様のビジネスの成長を支援するサービスです。商品の保管、注文処理、梱包、配送、カスタマーサービス、返品対応をAmazonが代行します。FBAを利用すると商品がプライム対象となり、お急ぎ便、当日お急ぎ便など、Amazonプライム会員のお客様が無料で利用できる配送特典の対象となります。


本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。


2022年のこのシリーズでは、事業承継、地域活性化、働き方改革などの社会課題の解決のためにDXを活用した事例や農業や水産業などの第一次産業におけるDXについてご紹介しています

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