より安全に、誰もが暮らしやすい社会の実現を後押しする製品には、さまざまな形でデジタルが活用されています。今回は、Amazonで医薬品や授乳服などを販売する中小企業2社と、両社のDXをサポートするAmazonのさまざまなサービスを紹介します。

Amazonのサービスを複合的に利用してDXを推進

熊本県熊本市にあるリバテープ製薬株式会社は、1878年に創業し、1956年に救急絆創膏の先駆けとなる商品を開発するなど、さまざまな医薬品・医薬部外品を製造・販売しています。同社代表取締役社長の橋爪淳さんは、「世のため、人のために仕事をするという創業者の教えを胸に、さまざまな事業に取り組んできた」と語ります。

スーツを着てほほ笑む、リバテープ製薬株式会社 代表取締役社長・橋爪淳さん
リバテープ製薬株式会社 代表取締役社長・橋爪淳さん

橋爪さん「1989年からは医療現場向けの衛生材料、1992年からはスキンケア製品を開発し、肌を守ることを起点に事業を拡大してきました。ワクチンなどを打った後に貼る保護材なども製造しており、当社の一部工場は、国民が健康的な生活を営む上で重要なものの生産拠点として、国の補助対象事業に指定されています」

同社は、社内で行う製品の承認プロセスにアマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウドサービスを活用。また、救急絆創膏やスキンケア製品、アルコール消毒液をAmazonで販売するなど、Amazonのさまざまなサービスを活用したDXに取り組んでいます。

橋爪さん「少子高齢化に伴う人手不足の解消や、働きやすい環境づくりにおいて、DXは必要不可欠です。Amazonの多様なサービスは、多くの面で当社のDXを後押ししてくれています」

様々なサイズが一箱に入ったタイプと、黒い絆創膏
同社が培ってきたテープの成形技術を活かした絆創膏
黄色に赤字で「ほねつぎ膏」と書かれたクラシカルなパッケージ
同社の製品のルーツである、創業者が生み出したほねつぎ膏
基礎化粧品のボトルとチューブ
馬由来成分を使用したスキンケア・ヘアケア製品「リマーユ」は、保湿オイルや化粧水、シャンプーなど幅広く展開

AWSのクラウドサービスを活用することで開発や生産の時間が増えた

医薬品・医薬部外品を開発する際、製造工程や成分には厳格な基準が定められており、社内の多岐にわたる部門の承認が必要となります。「製品の申請書類の承認を得るため、複数の拠点を往復1時間かけて回ることが日常茶飯事だった」と橋爪さんは言います。

橋爪さん「そこで、200種類を超えるクラウドサービスを提供するAWSを活用しました。AWSクラウドに申請書類をアップロードし、クラウド上で承認を得る仕組みです。機密情報を守るセキュリティの高さ、書類の改ざん防止や操作ログの記録など、AWSの機能を活かしてシステムを構築したおかげで、業務の効率化に成功し、開発や生産のための時間が増えました」

同社は2014年からAmazonでも製品を販売。Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、カスタマーサービス、返品対応を代行するフルフィルメント by Amazon(FBA)がさらなる業務効率化を後押ししているといいます。

橋爪さん「製品を自社ECで販売し始めた2004年当時は、自社で配送業務を行っており、多くの時間を取られていました。FBAは配送業務はもちろん、カスタマーサービスも代行してくれるので非常に助かっています。製品をすぐに必要としているお客様も多いので、迅速に製品をお届けできる利点も大きいですね」

自社ECでは、決済方法(一部商品を除く)として、Amazonが提供する決済サービス、Amazon Payを導入しています。

橋爪さん「お客様がAmazon Payでの決済を選択されると、ご自身のAmazonアカウントに登録されている住所やクレジットカードといった情報を入力する手間が省けるので、製品購入までのハードルが下がります。とても便利な決済方法なので、さらに多くのお客様にAmazon Payをご利用いただければと思っています」

パソコン画面上に表示された承認書類
AWSクラウド上で申請書類を確認し、承認者が電子捺印することができる
防塵服を着て機械の前で作業する人
作業員が目視で検品を行うなど、徹底した品質管理を行っている

Amazonの担当者のアドバイスなどをもとに消毒液のパッケージを改良

アルコール消毒液は、コロナ下の2020年8月からAmazonでの販売を開始しました。

橋爪さん「アルコール消毒液が不足する中で、国の承認を得た製品をいち早く開発し、介護老人保健施設への寄贈や県内の事業者向けの販売を行いました。その後、Amazonで販売する際、Amazonの担当者のアドバイスやカスタマーレビューをもとに容量や形状を改良したところ、多くのお客様からご注文をいただきました」

ノズルが付いた頬型のボトルと大容量タイプのボトル
アルコール消毒液は、Amazonの担当者の提案でノズルタイプ(左)も開発した
寝ている女性の口に縦にテープが貼られている写真が付いた口閉じテープのパッケージ。
口、のどの乾燥対策用の口閉じテープは、Amazonの担当者と相談しながら商品化を実現した

DXによって業務効率を高めたことで、新たな活動のアイデアも生まれています。

作業着や白衣を着た社員たちと歓談する橋爪淳さん
新たに広報課を立ち上げ、自社や地域の情報発信、ボランティア活動などに取り組んでいる

橋爪さん「当社が持つ技術力や開発力を応用し、今後は新たな分野にも事業を拡大し、より広く社会に貢献していきたいと考えています。また、地元の小学校に本を寄贈するなど、地域貢献にも力を入れる予定です。社会にとっても、地域にとっても、当社がなくてはならない存在になることを目指していきたいですね」


育児中の女性をサポートする授乳服をAmazonで販売

茨城県つくば市で、機能性やデザイン性を兼ね備えた授乳服やマタニティウェアを企画・開発し、販売している有限会社モーハウス。代表取締役の光畑由佳さんが1997年に同社を創業したきっかけは、自身が体験した忘れられない出来事でした。

 

優しい印象のスカーフを巻き笑顔を見せる女性有限会社モーハウス 代表取締役・光畑由佳さん
有限会社モーハウス 代表取締役・光畑由佳さん

光畑さん「出産して間もない頃、外出中に電車の中で子どもが泣き始めました。母乳をあげれば泣き止むことはわかっていたのですが、公共の場で授乳することは社会的に浸透しておらず、現在のように駅に授乳室が整備されていない時代でした。外出先で授乳することはこんなにも難しいのか、心が苦しいのかと衝撃を受けました」

その経験をもとに、外出先でも授乳しやすい構造の授乳服を開発。創業当時は、結婚・出産を機に仕事を辞めた女性たちに縫製の仕事を依頼し、地道に製品を生産する日々だったといいます。

光畑さん「起業当初から、出産後の女性のキャリアをサポートしたいという想いを抱いていました。そうした想いの詰まった製品を少しずつ販売し、販路を助産院から自社店舗、自社EC、Amazonへと拡大していきました。製品を通じて、出産後も積極的に社会に進出し、自信を持って生きる女性たちをサポートしたいんです」

 

モーハウスの授乳服。中心や横側にスリットが入っている
授乳用のスリットが目立たないようにデザインされ、普段着としてもおしゃれに着られる点が特長
授乳服を着たお母さんたちが赤ちゃんに授乳している様子
スリットを入れた特殊な構造によって、外出先でもスムーズに授乳することができる

Amazon Payは育児中の女性たちにとっても利便性が高い

自社ECには、Amazonが提供する決済サービス、Amazon Payを2017年から導入。「製品はもちろん、決済方法でも育児中の女性たちに寄り添いたい」と光畑さんは言います。

光畑さん「子育てをしていると、日常の些細なことにストレスを感じ、子どもから目を離す時間もほとんどありません。そうした中で、Amazon Payを利用すればわずかな操作で製品を購入できるので、住所などを入力するストレスや時間から解放されます。Amazon Payは、子育てをする女性たちの強い味方だと思います」

2016年から販売を開始したAmazonでは、配送業務などをAmazonが代行してくれるFBAのメリットが大きいと光畑さんは続けます。

光畑さん「当社では冠婚葬祭用の授乳服や、乳腺の発達を妨げずにつわりの軽減効果が期待される下着も販売していますが、それらは必要なときに、できるだけ早く手元に欲しいと考えるお客様が大半です。その点、FBAは土日・祝日の出荷にも対応しているので、お客様に製品を迅速に届けることができています。スタッフの業務改善や効率化も実現し、ワークライフバランスの向上につながっていると思います」

また同社は、請求書払いや購買履歴の一括管理が可能な法人向け購買サイト、Amazonビジネスを利用することで、さらなる業務効率化を実現しているといいます。

光畑さん「当社のスタッフは少人数のため、買い出しに行く時間をできるだけ減らしたいと考えていました。Amazon ビジネスを通じて事務用品などを購入することで、買い出しの時間をなくせただけでなく、1つの法人アカウントで管理できるので、スタッフが各自行っていた経費精算の手間も減らすことができました。そのおかげで、お客様から自社ECに届くお問い合わせにより丁寧に、時間をかけて対応することができています」

ECサイトの決済画面にAmazon Payのボタンが表示されている
自社ECサイトでは、多くのお客様がAmazon Payを決済方法として選択しているという

製品を身に着けた女性の気持ちを前向きなものにしたい

製品を通じて育児中の女性たちを支えるその先に、光畑さんは社会の変化を期待しているといいます。

光畑さん「当社のウェアを身に着けた女性の気持ちが前向きになり、出産後もキャリアを継続したり、子どもを連れて行ける職場が増えたり、そうした変化が生まれることを願っています。そのために、授乳服のファッションショーを行い、NPO法人を設立して子育て支援施設を運営しています。近年は、友人や同僚への出産祝いとして当社のウェアを贈るお客様が増えており、Amazonでの販売を通じて多くの女性を支えていきたいですね」

光畑さんと赤ちゃんを抱っこしているお母さんたち
同社および光畑さんが設立したNPO法人では、子どもを職場に連れてきて働ける環境づくりを実践している

同社のウェアを普及させることで、出産後の女性の社会進出を目指す光畑さんは、子どもを連れて働くことができる職場づくりをNPO法人で実践してきたといいます。

光畑さん「出産を機に仕事を諦める女性が多い中で、子どもを連れて働ける職場が増えれば、優秀な人材を失うことなく、社会課題である人手不足の解消にもつながります。それに、多くの大人に囲まれて育つことは、子どもの教育面にもプラスの影響が現れると思います。当社の授乳服が、女性が子どもと一緒に働ける環境を作る一助になればうれしいですね」

医療や公衆衛生に貢献するリバテープ製薬と、授乳服を通じて育児中の女性の毎日を支えるモーハウス。両社は、Amazonのさまざまなサービスを活用することで業務の効率化を果たし、社内外に良い影響を生み出しています。安全で、誰もが暮らしやすい社会の実現を後押しするために、DXが果たせる役割はまだありそうです。

リバテープ製薬の橋爪淳さんとモーハウスの光畑由佳さんをご紹介しているAmazonのCMをこちらからご覧いただけます。
リバテープ製薬篇
モーハウス篇

2022年のシリーズでは、事業承継、地域活性化、働き方改革などの社会課題の解決のためにDXを活用した事例や農業や水産業などの第一次産業における中小企業が実践するDXについてご紹介しています

フルフィルメント by Amazon(FBA)とは?
Amazonの配送ネットワークを使い販売事業者様のビジネスの成長を支援するサービスです。商品の保管、注文処理、梱包、配送、カスタマーサービス、返品対応をAmazonが代行します。FBAを利用すると商品がプライム対象となり、お急ぎ便、当日お急ぎ便など、Amazonプライム会員のお客様が無料で利用できる配送特典の対象となります。


本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。
過去のストーリーはこちらからお読みいただけます。 


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