3月8日の国際女性デーは、国連総会で議決された記念日で、言語、文化、政治や経済的な壁に関係なく、社会に貢献した世界中の女性の勇気や功績を称える日です。2021年の国際女性デーのテーマは、女性の挑戦する気持ちを応援する「#ChooseToChallenge」です。女性を含め、すべての人たちが活躍できる環境づくりをさらに推進していくために、Amazonは、さまざまな挑戦をし、人生を切り開いてきたゲストスピーカーをお招きして、3月5日にオンラインイベント「活躍する女性たちと考える、誰もが輝ける日本の未来とは」を開催しました。
ゲストスピーカーとしてお招きしたのは、Amazonでも商品の販売を展開している株式会社花のギフト社表取締役社長の益子博美さんと、2010年ミス・ユニバース・ジャパンで入賞し、また昨年はPrime Video制作の恋愛リアリティ番組『バチェロレッテ・ジャパン』に初代バチェロレッテとして出演した、モデル・タレントの福田萌子さん。モデレーターは、アマゾン ウェブ サービス、インクルージョン&ダイバーシティー リーダーの藤谷ひとみさんが務めました。
活躍する女性、起業家・経営者の視点から見た、日本社会における、多様な人材が輝くことのできる未来とは、どのようなものなのでしょうか。パネルディスカッションの様子をご紹介します。
女性視点の働き方
藤谷ひとみさん:まずはお二人のお仕事について、教えてください。
福田萌子さん:12歳からモデルを始め、テレビ出演など、いろいろなお仕事をしてきました。「モデル・タレント」という肩書にはなっていますが、自分自身では「職業・福田萌子」だと思っています。これは芸能関係の仕事に限ったことではなく、多くの皆さんにとっても、自分が自分であることがお仕事につながったり、1つの「ブランド」になったりしているのではないでしょうか。
また、私は自分のことを「スポーツトラベラー」と称しています。これは私が作った造語で、スポーツをしながら国内外を旅する人という意味と、さまざまな種類のスポーツを楽しんでいる人という意味があります。スポーツをすると気持ちがすごくポジティブになるし、新しいアイデアも生まれるし、たくさん食べて飲める、いいことづくめです。スポーツを楽しむ私の姿を見て、身体を動かして汗を流すスポーツは楽しそうだな、と多くの人に感じてほしいです。
益子博美さん:私は国内でフラワーデザイナーとして活動後、花のギフト社に入社し、現在は代表取締役社長を務めています。
私は母子家庭で育ち、高校を卒業後、大学進学を諦めてアルバイトをしながら将来の道を模索していました。たまたま花屋でアルバイトをしたときに「私の天職はフラワーデザイナーだ」と感じたんです。そこでフラワーデザイナーを養成する夜間学校に通い、単身渡米してアメリカの花屋で半年間働くなど、フラワーデザイナーへの道を突き進んできました。
帰国後、「世界で活躍するフラワーデザイナー」という夢を実現するためにはどうしたらいいかと考え、まずは東京の銀座に自分のアトリエを持ちたい、と日々夢を語りながら頑張りました。
それを実現して銀座にフラワースクール兼ショップを開いていたある日、花のギフト社の創業者で現会長の野上耕作氏と出会いました。夢を尋ねられたので、世界で活躍するフラワーデザイナーになりたいと話したのですが、「小さい夢だね。僕だったら、そういうフラワーデザイナーを何人も雇用する会社を作るよ」と言われたんです。高くなっていた鼻がへし折られた気分でした。まだまだ勉強が足りないな、と思い花のギフト社に入社し、今日に至ります。
2015年に社長に指名されたときは、不安はなく、チャレンジしたいという気持ちしかなかったですね。一緒に仕事をしているみんなが幸せになるために、この会社はもっとこうしたほうがいいんじゃないか、といったアイデアがたくさんあったからです。
藤谷さん:お二人ともご自身のやりたい仕事が明確にあって、その仕事が楽しいから、頑張る原動力が生まれているのですね。女性の社会進出・キャリア促進という言葉をよく耳にしますが、まだまだ古い価値観や固定観念に影響されることもあるようです。お二人にも、女性であるが故に苦労した経験があれば教えてください。
益子さん:苦労はいろいろとありましたね。銀行の支店長に、女性社長だからと軽くあしらわれて、悔しい思いをしたこともありました。
以前、男性の会社経営者たちが集まる場で、当社の事業であるフラワーギフトと通信販売について講演をしたことがありました。ある社長が、「俺の会社は車の販売業だから、通販なんて関係ない」と発言し、「これからは車もネットで買う時代が来ますよ」と伝えても信じてもらえなかったこともありました。でも、今では自動車もネットで買えるようになりましたね。
福田さん:12歳から大人たちの中でお仕事をして、自分の意見を発言してきましたが、「強いね」とからかわれたり、「はいはい」と流されてしまったりしました。当時は「自分が若いから話を聞いてもらえないのか、女性だから聞いてもらえないのか、どちらだろう」と悩みましたが、今思えばどちらもあったのでしょう。最近になって、「あなたは自分の意見をしっかりと言える、芯の強い人ですね」と評されるようになりました。
「仕事なら嫌なことも黙って受け入れるべきだ」と言われた時代もありましたが、私は意見を言うことが悪いことだとは思いません。ただ、伝え方や内容には気を付けて発言するように心がけてきました。「自分がこう伝えたい」ではなく、「相手に合わせた伝え方」をするために、まず相手を知ろうと努力しています。
相手は1人1人、みんな違う人たちですから、相手が代わればコミュニケーションの仕方もまったく違ってきます。だからコミュニケーションは常に学びの場です。
藤谷さん:ダイバーシティーは、まさにその「みんな違う」という言葉に尽きますね。Amazonのダイバーシティーは、一人ひとりが違うという前提に立った上で、相手の意見を尊重しながら自分の意見を伝え、ディスカッションして合意していく、ということを目指しています。
福田さん:人は社会のルールの中で生きているので、どうしても他者を、女性と男性、日本人と外国人などといろいろなカテゴリーに分けてしまったり、自分で無意識のうちにカテゴリーという枠に入ろうとしてしまったりします。でも、もともとみんな違うんだ、ということを忘れないようにしたいですね。
女性ならではのライフ&ワークハーモニー
藤谷さん:益子さんの花のギフト社は、女性従業員が多い会社ということですが、女性ならではの企画や視点を感じることはありますか。また女性が働きやすい環境づくりなどはしているのでしょうか。
益子さん:「このお花を、お客様はどんなところに飾るんだろう?」とシチュエーションまで考えて企画をするなど、きめ細やかさを持っている点で、女性スタッフは優れていますね。またお客様からの電話やメールなどへの対応や、アフターフォローも素晴らしいです。
スタッフの子どもたちを味方にすることも心掛けています。子ども連れで参加する社員バス旅行を企画したり、子どもと一緒にクリスマスプレゼントを会社まで取りに来てもらったりしています。子どもたちにお母さんの仕事を知ってもらうことで、働くお母さんを子どもたちも応援してくれ、子どもを持つ女性が働きやすくなるのです。
福田さん:近くにいる人たちを大切にするということは、基本的なことなのに見失いがちになりますよね。一番近くにいる家族や友達、恋人を大切にできるからこそ、お仕事やお客様にも真摯に向き合えるのだと思います。
益子さん:その通りですよね。さらに、子育てで日々忙しいお母さんたちには、自分自身のためのお休みも必要です。自分を大切にする時間を積極的に取ってほしい、と日頃から女性スタッフたちには伝えています。
藤谷さん:ワーキングマザーの永遠の課題は、仕事とプライベートの両立です。Amazonでは以前は「ライフ&ワークバランス」と言っていましたが、現在は「ライフ&ワークハーモニー」、仕事とプライベートの融合を掲げています。自分の時間をいかに有効に使うか、心がけていることはありますか。
益子さん:やらなければいけないことを、1人で抱え込んだり固執したりしないということです。家事なら、食器洗い乾燥機やロボット掃除機などの家電に助けてもらうこともできます。「料理は毎食手作りでなければならない」といった考えを手放し、レトルト食品やテイクアウト、外食などに頼るのは、恥ずかしいことではありません。また、夫や親、友人、外部サービスなどに助けを求め、協力を得ることもできるでしょう。相手に感謝の気持ちを伝えることで、協力はより得られやすくなります。
福田さん:「本当はこうして欲しいのに」といった周囲への要望は、ただ思っているだけでは伝わりません。だから、自分から言う、行動する、ということが大切です。
また、自分がどう働きたいかを考えるときには、プライオリティの軸と、今の自分ができることとの軸が合うところから取り組むのがいいと思います。
子育て中の人が「外に出て、1日中でも働きたい」と思っても、1日中は難しい。でも外に出て働くことは、保育園などに子どもを預けたり、家事を削減したりして実現することができます。一方で、子どもとの時間をしっかりと取りながら仕事をしたいという人であれば、在宅でできる仕事を探すなど、方向性は変わってきます。このバランスは人それぞれで、みんなが違う価値観を持っています。いろいろと試しながら、自分らしいバランスを見つけていくことが大事ですね。
誰でも活躍できる日本の社会とは
藤谷さん:誰もが輝ける社会、夢を実現できる社会にするために、今日からできることはなんでしょうか。
益子さん:やりたいことはやる、ということです。一生懸命やっていて自信があることには、ぜひ挑戦しましょう。
そのときに心がけるのは、謙虚さと感謝を持つことと、それに夢を口に出すということです。謙虚さとは、「自分が、自分が」ではなく、人の話を聞いて自分の意見を伝えるということ。人は1人では生きていけない、「みんな」があっての自分だからです。そして何事にも感謝し、それを相手にも伝えること。夢を口に出すことも大切で、私自身、そうすることで銀座にアトリエを持つことができたり、花のギフト社に入社するきっかけを得ることができたりしました。
福田さん:同じく、何事にも感謝するということですね。人は自分が持っていないものに目を向けて、「幸せではない」などと思いがちです。今自分が持っているものに感謝して、それで何ができるかと考え、クリエイティビティを発揮することで、夢は実っていきます。
日本の女性の社会進出はまだまだと言われますが、だからこそ、この国際女性デーなどをきっかけに、発言を続け、人として自分を磨き、自分らしく人生を楽しめば、道は開けると思います。楽しんでいる人は男女関係なく魅力的ですから、「一緒に仕事をしたい」と思ってもらえることでしょう。
藤谷さん:「女性社長」のように、単語の前に女性という言葉が付かなくなるとき、あるいはダイバーシティーという言葉自体がなくなるときが、性差による不平等がなくなる時代であり、ダイバーシティーの究極のゴールですね。お二人のように積極的にメッセージを発することによって、そんな「誰もが輝ける日本の未来」が近づいてくる勇気をいただきました。
スペシャルサイトで 女性リーダーが活躍する中小企業を特集
本イベントに加え、3月8日より、Amazonは女性リーダーが活躍する中小規模の出品者様のストーリーや商品を紹介するスペシャルサイト「国際女性デー2021 女性リーダーが活躍する中小企業を特集」を公開しています。
「国際女性デー2021 女性リーダーの活躍する中小企業を特集」に参加している販売事業者様はこちらよりご覧いただけます。
Amazonはこれからも、「#羽ばたけ女性」の活躍をサポートし、誰もが輝ける社会を目指します。