主なポイント
- AWSがOpenAIのオープンウェイトモデルを提供開始。数百万を超えるAWSユーザーがOpenAIのモデルを初めて利用可能に
- エージェントのワークフロー、コーディング、科学的な分析、数学的な問題解決のために、新しいオープンウェイトモデルの先進的な推論機能を活用可能に
- この発表により、AWS上のモデル選択肢が拡大され、オープンウェイトモデルを活用して生成AI技術の未来を創造可能に
2025年8月5日より、アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、OpenAIのオープンウェイトモデルがAmazon BedrockおよびAmazon SageMaker AIを通じて初めて利用可能になることを発表しました。これにより、ユーザーは生成AIアプリケーションを迅速かつ容易に構築できるようになります。
OpenAIの2つの新しいオープンウェイトの基盤モデル「gpt-oss-120b」と「gpt-oss-20b」は、より強力なAI技術を組織に提供するとともに、世界で最も包括的で広く採用されているAWSクラウドのユーザーにとってもOpenAIの先進技術が拡がることになります。Amazon Bedrock上で実行される場合、これらのオープンウェイトモデルは、同等のGeminiモデルと比較して10倍、DeepSeek-R1と比較して18倍、同等のOpenAI o4モデルと比較して7倍のコストパフォーマンスを発揮します。
今回の発表は、Amazon Bedrockにおける既存のフルマネージドなモデルの幅広い選択肢を拡充し、Amazon SageMaker JumpStartを通じてもアクセス可能にすることで、AWSのモデル選択へのコミットメントを継続するものであり、顧客のニーズに応える革新的な生成AI技術を提供するためのAWSの取り組みをさらに強化するものです。
OpenAIのオープンウェイトモデルが持つ高度な推論機能は、AIエージェントを活用したユースケースに最適です。これらのAIエージェントは、組織がビジネスを遂行する方法を変革しています。Amazon Bedrock AgentCoreを活用することで、顧客はOpenAIモデルをAmazon Bedrock上でネイティブに実行し、本番環境に拡張性とセキュリティ要件を満たす非常に効果的なエージェントを展開・運用できるようになります。
ユーザーはまた、Amazon Bedrockのエンタープライズグレードのセキュリティと、Guardrails(設定可能な保護機能を使用して有害なコンテンツの最大88%をブロックするツール)などの強力なツールと共に、gpt-oss-120bおよびgpt-oss-20bをシームレスに統合できます。今後、カスタムモデルインポート、ナレッジベース、カスタマイズ機能のサポートも追加される予定です。Amazon SageMaker AIを活用することで、顧客はOpenAIのオープンウェイトモデルと、事前トレーニング、評価、微調整、モデル展開のための包括的なツールを組み合わせることができます。
AWSのプロダクトディレクターであるアトゥル・デオ(Atul Deo)は、次のように述べています。
「オープンウェイトモデルは、生成AI技術の将来的な発展における重要なイノベーションの1つです。そのため、私たちは、本日、OpenAIからリリースされるものも含め、AWSをこれらのモデルを実行する最適な場にするために投資してきました。また、『OpenAI』を新たなオープンウェイトモデルプロバイダーとして追加することは、当社が世界中の組織に最先端のAIを提供するというコミットメントを意味しています。当社の顧客基盤の規模の大きさは、OpenAIの先進技術へのアクセスにおいて革新的な変化をもたらすものです」
OpenAIのプロダクトリードであるドミトリー・ピメノフ(Dmitry Pimenov)氏は、次の通り述べています。
「当社のオープンウェイトモデルは、個人の開発者から大企業まで、あらゆる規模のデベロッパーが業界やユースケースを問わず新たな可能性を解き放つお手伝いをします。AWSと協力し、ユーザーがこれまで以上に簡単に構築し、革新し、スケールできる強力で柔軟なツールを提供しています」
組織でのエージェント型AIの採用がますます進む中、複雑なタスクを実行できる多様なモデルが求められています。OpenAIのオープンウェイトモデルは、性能と規模のバランスに優れ、高度な推論機能を備えており、調整可能な推論レベルや、複雑な問題を論理的なステップに分解する思考の連鎖(Chain of Thought)出力を特徴としています。これにより、エージェント型ワークフロー、コーディング、科学的分析、数学的問題解決など、多様なユースケースに最適です。これらのモデルは、指示に従う機能やツールの使用(ウェブ検索やコードインタープリター)をサポートし、リアルタイムの情報参照や多段階タスクの遂行を可能にします。128Kのコンテキスト入力ウィンドウを備えたこれらのテキスト生成モデルは、カスタマーサービスにおける通話記録、詳細な技術文書、学術論文など、長文の文書や会話の処理を可能にします。安全性はオープンウェイトモデルの中核要素であり、生成AIアプリケーションの責任ある展開を支援するため、各モデルはOpenAIによって包括的な安全訓練と評価を受けています。
Amazon Bedrockは、すでに世界中のあらゆる規模と業界のユーザー(急成長中のスタートアップからフォーチュン・グローバル500に選出される企業、政府機関まで)に、ニーズの変化に応じて生成AIアプリケーションを安全かつ責任を持って構築、カスタマイズ、革新する柔軟性を提供しています。DoorDash、GoDaddy、Lonely Planet、LexisNexis Legal & Professional、Pfizer、PGA TOUR、Rocket Companies、Siemens、TUIなどのお客様は、Amazon Bedrockを活用してビジネスプロセスを革新し、次世代アプリケーションを開発し、企業変革を実現しています。OpenAIは、DeepSeek、Meta、Mistral AIなど、Amazon BedrockとAmazon SageMaker AIを通じて技術を提供している他のオープンウェイトモデルプロバイダーに加わり、ユーザーそれぞれの要件に最適なモデルを選択し、組み合わせることができるように機能を拡充しています。
本日の発表は、Amazon Bedrockの既存の100以上のモデルのラインナップをさらに強化するものです。これには、Luma AI、TwelveLabs、Writerなどのプロバイダーから提供されるフルマネージドモデルが含まれており、これらは現時点で唯一のクラウドサービスプロバイダーとしてAWS上で利用可能となっています。
この記事は、米国時間8月5日に公開されたAbout Amazonの記事を翻訳したものです。