主なポイント
・NBAとAWSは、試合中にファンにライブでスタッツと包括的な分析を提供します
・新しいAIを活用したツールは、ファンが選手のパフォーマンスとゲーム戦略をより良く理解するのに役立ちます
・AWSがNBA、WNBAなどの公式クラウドおよびクラウドAIパートナーとなります
全米バスケットボール協会(NBA)とAWS(アマゾン ウェブ サービス)は、アメリカ時間2025年10月1日、(日本時間2025年10月2日)、次世代のバスケットボールイノベーションを推進する複数年にわたるパートナーシップを発表しました。
両社は共同で、ファンが試合、チーム、選手をより深く理解できるよう、AIを活用した統計を提供するバスケットボールインテリジェンスプラットフォーム「NBA Inside the Game powered by AWS」を立ち上げます。このプラットフォームは、NBAアプリ、NBA.com、リーグのソーシャルプラットフォームなど、すべてのNBAデジタルチャンネルで利用可能になります。AWSのAI機能とインフラストラクチャ上に構築されたこのプラットフォームは、ライブ中継をより楽しくし、ファンがゲームを理解する方法を深める機能を導入します。
この契約の一環として、AWSはNBAとその関連リーグ(WNBA、NBA Gリーグ、バスケットボールアフリカリーグ、NBA Take-Two Media)の公式クラウドおよびクラウドAIパートナーとなります。
NBA エグゼクティブ・バイスプレジデント兼メディアオペレーション&テクノロジー部門責任者ケン・デジェナロ(Ken DeGennaro)は今回の発表にあたり、次のように話しています。
「AWSとのパートナーシップは、イノベーションを通じてライブゲーム体験をさらに高め、今後何年にもわたりバスケットボールへの理解を深めていただく機会を提供してくれるものです。AWSは、独自の統計的インサイトを提供し、NBAファンの心に響く革新的な体験を世界中に届けてきた実績があります」
AWS プロフェッショナルサービス&エージェンティックAI担当バイスプレジデント フランチェスカ・バスケス(Francessca Vasquez)は次のように話しています。
「AWSは、スポーツの可能性を広げるNBAのビジョンに深く共感しています。今回のパートナーシップでは、新たなインサイトの提供から、ファンを大好きな試合により近づける体験の創出まで、クラウドとAIがバスケットボールの再定義にどのように貢献できるかを示すものとなるでしょう。私たちは共に、テクノロジーの提供を通じて、中継放送やデジタルプラットフォームを強化するだけでなく、選手やコーチ、そしてファンがバスケットボールを理解する方法を変えていきます」
AWSのAIを活用した高度なスタッツ
NBAは、AWSのAI技術を活用して、試合中にライブでスタッツと包括的な分析をファンに提供します。この新しい高度な統計プラットフォームではNBA選手のトラッキングデータを処理し、機械学習とAIで選手の体の動きを29の部位から分析、試合の流れに沿って解釈したうえで、リアルタイムにインサイトを生み出します。ファンは、NBA公式アプリやNBA.comウェブサイト、さらには「NBA on Prime」などでのNBAの試合ライブ中継中に、新しいスタッツでより深い理解を得ることができます。
ファンは、トップ選手のパフォーマンスがいかに優れているか、そして彼らのパフォーマンスが試合全体の流れをどのように変えるかをより深く理解できるようになります。
NBAとAWSは2025-26シーズンを通して、これまで測定されることのなかったバスケットボールのパフォーマンスの一面をAIを活用して捉えた新しいスタッツを提供していきます。
最初に登場するのは次の3つです。
Defensive Box Score(ディフェンシブ ボックス スコア):バスケットボールの基本指標の再定義
Defensive Box Scoreは、従来の統計では計測できなかった個々の選手のディフェンス貢献を数値化します。AIアルゴリズムにより、各オフェンスプレーヤーに対して誰がディフェンスしているかをリアルタイムで判定。これにより、従来のボックススコアに「そのスタッツが記録された際のディフェンダー情報」を付加できるようになります。さらに、ボールプレッシャー、ダブルチーム、ディフェンススイッチといった新しい指標も計測・表示可能となります。

Shot Difficulty(ショット難易度):シュートの科学
Shot Difficultyは、従来の「入った/外れた」という結果だけでなく、各シュート試行のあらゆる要素を評価します。新たな指標として「期待フィールドゴール成功率(Expected Field Goal %)」を導入し、シューターの姿勢や体勢、ディフェンスによるプレッシャーや干渉、コート上での各選手の位置など多様な要素を考慮します。これにより、得点機会ごとのスキルや戦略への理解が一層深まります。
Gravity(選手の引力):目に見えない影響を数値化
Gravityは、コーチやアナリストが長年目にしてきた、特定の選手がボールを持たずともコート上にいるだけでチームに有利をもたらす現象を、数値として表現します。この指標では、選手がどの程度ディフェンスの注目を集めているか、ボール保持の有無に関わらず、どれほどタイトにマークされているかを測定し、味方に生み出すスペース量を定量化します。この革新的なシステムは、1秒間に60回の光学トラッキングデータを処理し、専用のニューラルネットワークを用いてディフェンダーの反応を解析。リアルタイムの試合状況や過去データも加味して評価します。

バスケットボールのインテリジェンスを変革
このプラットフォーム「NBA Inside the Game powered by AWS」には、「Play Finder」という新しいツールも搭載されます。これはAIを使用して、数千もの試合を通して選手の動きを分析・理解します。Amazon BedrockやAmazon SageMakerなどのAWSのサービスを利用して構築されたこの機能により、NBAの映像から類似のプレーを瞬時に検索できるようになります。また、Play Finderは、プレーの結果と高度な分析を組み合わせることで、ファンや放送事業者が一般的なオフェンス戦略を理解し、深いインサイトを得られるようにサポートします。
Play Finderはまた、リアルタイムのアラートシステムにより、解説者は放送中に歴史的背景や戦略的なインサイトをより迅速に提供でき、試合のライブ中継が視聴者にとってさらに魅力的で、学びのあるものとなります。NBAチームは、シーズンを通してPlay Finderの機能を活用し、フロントオフィスやコーチングのワークフローを改善し、映像分析能力を向上させます。
Play Finderの将来のバージョンでは、ファンがNBAアプリ上でかつてない詳細さでバスケットボールの戦略を探求できるようになります。この技術は、選手のトラッキングデータに基づく将来的な生成AIの統合に向けた基盤を築きます。

グローバルなファンエンゲージメント
NBAは、リーグ、チーム、選手のプラットフォーム全体で世界中で25億以上のいいね!とフォロワーを持つ、世界最大級のソーシャルメディアコミュニティを作り上げてきました。ファンは、NBAアプリ、NBA.com、NBA League Passを通じて、年間を通じてNBAのニュースや番組にアクセスしています。これらはすべてAWS上で稼働しています。
NBAとAWSは、すべてのプラットフォームにおいて、各国の言語に対応したコンテンツとパーソナライズされた体験をファンに提供し、世界中でバスケットボールの普及を加速します。

今回のNBAとAWSのパートナーシップにより、NBAとAmazonとの戦略的関係はさらに広がることになります。今シーズンからPrime Videoの11年間にわたる画期的なメディア権利契約がスタートし、Prime Videoにおいて、NBAレギュラーシーズンの66試合が世界中でストリーミング配信されるほか、新たなインタラクティブ機能も導入される予定です。Prime Videoはまた、NBA League Passの独占的な第三者デジタル配信者でもあります。
「NBA on Prime」の開幕戦を飾るのは昨シーズンのプレーオフで激突した強豪チーム同士の2試合です。日本時間2025年10月25日(土)午前8時30分からのニューヨーク・ニックス対ボストン・セルティックス戦を、午前11時からミネソタ・ティンバーウルブズ対ロサンゼルス・レイカーズ戦を配信します。