2023年8月末に日本で新たなAmazonの物流拠点フルフィルメントセンター(FC)がオープンします。現在建設中の「Amazon 千葉みなとフルフィルメントセンター」は、完成すれば、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス、以下AR)」を導入するFCとしては日本のAmazonで最大規模の拠点となります。

建設中の千葉みなとフルフィルメントセンターを公開

FCの内部にどのような仕組みがあるのか、そしてAmazon 千葉みなとフルフィルメントセンターにARが設置された様子、働く人たちが安全にそして快適に働ける環境づくりのためのさまざまな工夫を、建設中のFCからレポートします。


まもなく稼働スタート! 千葉みなとFCの全貌を公開

建設中のAmazon 千葉みなとFC(千葉県千葉市)の建設がスタートしたのは、2022年11月のことでした。延べ床面積は12万平方メートルと、東京ドーム約2.5個分の広さ。4階建てで、1階は入荷・出荷エリア、2階はカフェテリアやオフィスがあります。また、2〜4階には大きな商品保管機能があり、商品の保管可能容量は1,700万個以上になります。このFCでは毎日数百人の人たちが働き、約2,000人の雇用が生まれる予定です。

ロボットが商品棚を運ぶ広大な商品保管エリア

倉庫の中に黄色い棚がたくさん並んでいる
FC稼働開始前に、ポッドに商品が入っていない状態で何度もテストを行い、ARが安全かつ効率的に作動するかどうかをチェックする

FCの2~4階の商品保管フロアでは、入荷した商品を保管棚に収納する「棚入れ」やお客様から注文があった際に商品を取り出す「棚出し」をします。内部の工事は、2階から3階、4階と順に進められていきました。広大なフロアの大部分はARで商品を保管し、運ぶエリアで占められています。そして、商品の棚入れや棚出しをする人が作業する場所「ステーション」が棚に商品が保管され、ロボットが行き来するエリアの周囲に配置されています。ARの基本的な仕組みは、「ドライブ」というロボットが「ポッド」と呼ばれる黄色い商品棚を持ち上げて、人が作業しやすいようにステーションまで運ぶというもの。

黄色い棚の前で作業をする男性。ヘルメットをかぶり作業服を着ている
働く人が作業する場所「ステーション」。「ドライブ」が「ポッド」を持ち上げ、人のいるステーションまで運ぶ
青い平たい長方形のロボットが並んでいる。左右に1つずつ車輪がついている
整列する「ドライブ」

千葉みなとFCでは、約3万台のポッドと約2,600台のドライブが稼働する予定です。ARが導入されるフロアでは、安全性を確保しながら柱の間隔を調整し、できるだけ多くのポッドが格納できるように最適化された設計になっています。

建設中の倉庫内。広い空間が広がっている
ARを設置する前のARエリアの様子
黄色い棚が倉庫内に整然と並んでいる
ARを導入した後のARエリアの様子。ポッドを最も効率よく、最大限収容するためにAmazonのFCは、ポッドのサイズに合わせて柱の間隔を最適化している
無数の黄色い棚のいくつかに青いロボットが入り、待機している
ARを導入すると商品保管スペースを効率よく使えるため、保管できる在庫量が最大約40%増え、より多くの商品を揃えられる

 AR専用エリアは、人間とロボットの接触を防止するために、セーフティー・フェンスでぐるりと仕切られています。フェンス内部には、ドライブ用の充電ステーションが数か所設置されていて、ドライブはバッテリー残量が少なくなると、自らそこに行って充電するように制御されています。

広い倉庫内に赤い印が線状に置かれ、通路とARのエリアを分けている
セーフティー・フェンスが設置される前の様子。通路とARのエリアが分けられている
黄色い棚の手前に黒い網がついた塀が立てられている
セーフティー・フェンス設置後。人間が作業するエリアとAR専用エリアを区分けし、安全を確保

ARエリアの床は平坦で、ドライブが走行しやすいように適度な摩擦を持つように仕上げられています。

ドライブが稼働するエリアの床をよく見ると、一定の間隔で二次元コードが貼られています。ドライブはこれを目印にして、最も効率のよいルートを通ってポッドを運搬するのです。

ARが稼働するエリアは、常に人が作業するエリアではないため、必要のない時には、照明が消えるよう設計されています。また、屋上に太陽光発電設備を設置し、FCに電力を供給するなど、電力の有効活用に努めています。

柱の近くの設置された器具に接続されているロボット
バッテリー残量が少なくなったドライブは、自動的に柱近くにある充電ステーションへ

お客様から注文された商品は、ドライブが人のいるステーションにポッド(棚)を運び、人の手によって棚出しされた後、商品はコンベアで出荷エリアに運ばれます。

商品の入荷・出荷作業を行うエリア

1階は、商品の入荷・出荷作業を行うエリアです。このフロアには「メザニン」と呼ばれる中2階が設置され、そこには商品を載せたトレーを運ぶコンベアが張り巡らされています。メザニンを設けることで、天井の高い空間を効率よく使うことができます。

メザニンには機械を点検するエンジニア以外は立入禁止です。人が働くエリアと機械のエリアを明確に分けることによって、人と機械との接触事故のリスクを減らしています。

さまざまなルートのコンベアが設置されている
メザニンにはコンベアが張り巡らされ、商品を載せたトレーが素早く出荷エリアに送られる

出荷エリアに設置された日本発の紙袋自動梱包機

2~4階の商品保管フロアから、コンベアで送られてきた商品は、1階の出荷エリアに送られます。商品を梱包するプロセスでは、機械学習を活用し、各商品に最適なサイズの梱包資材を選定しています。Amazonでは、段ボール箱より軽量かつ柔軟な紙袋でお届けする梱包の簡素化を進めており、千葉みなとFCにも、商品のサイズに合わせて自動で紙袋に梱包する最新の機械が導入されます。

機械の間に紙袋が挟まれ、カットされている
最適なサイズに紙袋をカットし、自動で商品を梱包する機械
茶色い紙袋に小さな葉っぱが一面い印刷されている
商品の梱包に使用されている紙袋の一例

梱包を簡素化することにより、資材の削減だけでなく、お客様の梱包の開封や処理にかかる手間を減らすことにもつながります。また、出荷の際は、紙袋で梱包された商品は段ボール箱と比べてコンパクトなため、一度により多くの商品をトラックに積むことができます。

黒い網の塀の向こうにあるコンベアに載った商品が青い機械の中を通過していく
梱包された商品には、お届け先が記載されたラベルが自動的に貼られ、そのラベルを読み込むことで配送先ごとに仕分けされる

梱包された商品は、全国にある配送拠点向けに仕分けされた後、トラックで運ばれます。

入出荷エリアのトラックが発着する場所は、透明な素材でできたシートシャッターを設置し、FC内の気密性を高めて、施設内の空調を効率的に利用できるようになっています。これも、FCで働く人が働きやすい環境を整えるための工夫の一部です。

トラックの荷台の大きさの開口部の前にビニールのようなシートが吊り下げられている
入出荷エリアにある、施設内の冷暖気を漏れにくくする、透明な素材でできたシートシャッター
建設中の物流拠点でも実践されているAmazonによる安全で働きやすい環境作りのさまざまな工夫を紹介します

働く人のためのカフェテリアをFCの本格稼働前にオープン

FCの2階には、商品の在庫スペースだけでなく、働く人たちが食事や休憩ができるカフェテリアやオフィスもあり、そのエリアも着々と工事が進んでいます。

千葉みなとFCの稼働開始は8月末ですが、建設作業に携わる方々のために5月中旬からカフェテリアをプレオープンしました。メニューは、フレッシュな野菜を使ったサラダや小鉢、ボリュームたっぷりのカレーや丼ものなどが日替わりで提供されています。「現場で温かいものが食べられるのは珍しい」「食事を買いに行く時間が節約できる」など、好評の声が寄せられています。

金属製のトレイの上に焼き上げ前のメロンパンを持つ男性。手袋とマスクをしている
カフェテリアでは焼きたてのパンも日替わりで提供される。この日はメロンパンの試作中でした

千葉みなとFCのオープンまで、あとわずか。Amazonはこれからも、建設段階から稼働開始後に働いてくださる方までFCの運営に携わるすべての人にとって、安全で働きやすい環境を整えられるよう取り組みを進めます。そして迅速な商品の発送や、梱包資材の簡素化などお客様により良いお買い物体験をご提供できるよう努めていきます。

千葉みなとFCについて「Amazonの物流拠点で行われている安心・安全への取り組み」もあわせてご覧ください。

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