2022年3月に兵庫県尼崎市にオープンしたAmazonの物流拠点「尼崎フルフィルメントセンター(以下尼崎FC)」。4つのフロアに1000万点以上の商品を保管し、延べ床面積は10万平米以上と西日本最大規模のFCです。この最新のFCにはAmazonの技術を結集させた多彩なアイデアが採用されています。その特徴を尼崎FC建設に携わったエンジニアが紹介します。

特徴1:働く人のことを考えた空間設計

紹介してくれるのは、オペレーションエンジニアリング部門のアドバンスト エンジニア、松本祥吾さんと荒牧勝さん。松本さんは尼崎FC建設のプロジェクトマネジメントを、荒牧さんは工事管理を担当しました。

尼崎FCの内部を見ると、1000万点以上という膨大な商品が収められているとは思えないほど、すっきりと見通しがよいことに気づきます。

尼崎FCの内部写真。さまざまな機材がありながらすっきりとした空間になっている。

「Amazonの最新FCでは、柱の数がフロア面積に対して少ないんです。また、商品を運搬するベルトコンベアーは中2階に設置し、通路をできるだけ広くしました。そのため、作業する人は歩きやすいですし、車いすの方も通りやすく設計しました。また、広い範囲を見渡せるので安全性が高いんです。これがPeople Firstつまり働く人のことを考えた設計の基本となっています」(荒牧さん)

ベルトコンベアーが高い位置にあり、床がとても広くとられている内部の写真。

さらに、商品棚の最下段は引き出し式になっているため、立ったままの姿勢で商品を取り出すことができます。取り出すたびにかがまなくてもよいため、腰や背中への負担が少ないよう設計されています。

商品棚の写真。最下段は高さのある引き出しになっている。

新型コロナウイルス感染予防対策としては、通路などには十分なフィジカル・ディスタンスを確保できる幅をとり、カフェテリアや喫煙所など、人同士が接近する可能性のあるところには必要に応じてアクリルパネルなどのバリアが設置されています。

カフェテリアの写真
感染対策のためにアクリルで仕切られたカフェテリア

「新型コロナウイルス感染予防対策として、カフェテリアに多数の手洗い場を設置しました。職場やカフェテリア、売店に向かう通路など、車椅子でも動けるよう、あらゆる動線を徹底的に検証して、『密』な状況が生まれないように工夫しています」(松本さん)

たくさんの手洗い場が並ぶ写真。それぞれパネルで仕切られ感染予防策がほどこされている。

働く人のことを考えたささやかなアイデアも取り入れています。たとえば、給水所を数多く配置したことや、作業スぺース内やすぐ近くに休憩用の椅子を設置したこと。広大なFCを歩き回らなくても、近くにある休憩スペースで水分補給したり、ほっと一息ついたりできます。

休憩用の椅子が置かれている様子

また、雨の日でも傘をささずにFC内に入場できるように、バス停からエントランスまでの通路に屋根を設置しました。暑い季節には日除けにもなります。

バスを降りるとすぐに屋根があり、エントランスまで屋根の下を歩いていける様子

特徴2:先進的なマシンによる自動化で作業をサポート

尼崎FCでは、日本で改良された最先端の自動荷合わせシステムを採用しています。荷合わせとは、お客様が購入された複数の商品を適切に組み合わせる作業のこと。その作業が自動化されたことで、働く人はほかの作業に集中し、効率の良い働き方が実現できます。

自動荷合わせシステムの写真。商品棚の間をロボットが動く。
Amazonが日本で改良した自動荷合わせシステム。先端テクノロジーの導入により、効率性が向上し、より働きやすくなります。

Amazon Robotics(通称AR)の導入数も日本最大級です。ARとは、車輪付きの薄型ロボット「Drive」が商品棚を持ち上げ、人が働くステーションまで運ぶテクノロジーのこと。尼崎FCのほとんどのフロアはAR専用になっていて、1800台のDriveが整然と走り回っています。

上にたくさんの商品を載せて移動するARの写真
たくさんの商品をスムーズに運ぶAR

「Driveが、商品をピックアップする担当者がいるステーションまで商品を運んでくるので、人の移動距離は大幅に短縮されます。歩き回らずに済むことで疲労が軽減されることも、働きやすさにつながると考えています」(松本さん)

松本さんの写真
オペレーションエンジニアリング部門 アドバンスト エンジニア 松本祥吾さん

「尼崎といえば関西らしい活気にあふれる町。そこにオープンしたFCには最先端のテクノロジーがフル稼働して、人の作業をサポートしている。ここで働く方には、ロボットなどのユニークなテクノロジーと一緒に働く面白さを感じてもらえたらうれしいですね」(荒牧さん)

荒牧さんの写真
オペレーションエンジニアリング部門 アドバンスト エンジニア 荒牧勝さん

特徴3:サステナビリティにも貢献

尼崎FCの屋上にはソーラーパネルを設置しました。これによって1日平均2,900kwの電力を生み出すことができ、FCで使用する電力の一部をまかなうことができます。

尼崎FCの空撮写真。屋上にたくさんのソーラーパネルが並んでいる。

ARフロアやベルトコンベアーのある中2階など、人の出入りが少ないフロアでは照明を落とし、省エネしやすい設計になっています。

特徴4:より楽しく働きやすい職場づくり

車椅子でも利用しやすいFCのカフェテリアでは、毎日手ごろな価格で温かい食事を提供しています。サービス向上のために、お箸によって食事の評価を5段階で投票できる仕組みも導入されています。また、社員が気分転換できるようレクリエーションを取り入れています。

食堂のメニューの写真

お箸やスプーンフォークの返却ボックスが5つ用意されている写真。満足なら5点のボックスに返却する仕組み。

Amazonのワークプレイスエクスペリエンス(職場環境体験)哲学

尼崎FCは、安全性と環境への配慮を中心としたAmazonのワークプレイスエクスペリエンス(職場環境体験)哲学に基づいて構築されています。性別、年齢、人種など、あらゆるバックグラウンドを持つ人たち、特に近隣の地域の人たちに、多様で有意義な雇用機会を提供し、すべての人が働きやすいよう整備しています。

職種は、現場のマネージャーレベルから、職場の健康と安全を担保する担当、サプライチェーン、輸送の専門職、そして、テクノロジーと協働して商品のピッキング、梱包、出荷の工程を担うポジションまで、多岐にわたります。そして、人々は働きながらトレーニングやスキルアップの機会を通じて、学び、成長し、自己開発することができます。また、今後は尼崎の地域社会との定期的な交流会を通じて、子どもたちに学びの機会にも提供していきます。

最新設備が充実し、働く人にも環境にも優しい尼崎FC。これからもAmazonは安心して働ける環境を整備していきます。

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