7月7日、今年で24回目となる「国際女性ビジネス会議」が開催されました。これは1996年から毎夏開かれている日本最大級のビジネス会議です。会場となったホテル、グランドニッコー東京 台場には、800名を超える参加者が集まりました。

今年のテーマは「SCALE UP」(スケールアップ)。自分の仕事の影響力や売上規模など、どうすれば高く伸ばしていくことができるのか、多様な力を合わせ、ダイバーシティの視点を加えて生み出せるものは何なのか、講演やトークショー、パネルディスカッションなどのセッションを通して考えていきました。

グローバル企業でのキャリアアップ

午後の英語パネルディスカッションでは、アマゾンジャパン バイスプレジデント ライフ&レジャー事業本部 統括事業本部長の渡辺朱美(わたなべあけみ)さんが登壇しました。ディスカッションのテーマは「Career Development in Global Organizations」(グローバル企業でのキャリア形成)です。

パネリストは渡辺さんのほか、世界経済フォーラム 日本代表の江田麻季子さん、デロイト トーマツ グループ ボード議長の後藤順子さん、在日英国商業会議所 専務理事のロリ・ヘンダーソンさん、またファシリテーターとしてNHKワールド 英語ニュースキャスターの高雄美紀さんが登壇しました。

グローバル企業でのキャリアアップ

多国籍企業で働くには、コミュニケーションや異文化間の問題以外にも幅広いスキルが必要です。また、昇進のために同僚と競争しながらキャリアパスを作り上げる必要があります。パネリストたちはまず、自らのキャリアの中でこれまでにどのような困難や挑戦があったのかを会場に共有しました。

「私は現職のアマゾンジャパンを含む、海外に拠点を持つグローバル企業3社で働いてきました」と、渡辺さんは自身のキャリアを振り返ります。

「もともとグローバルな組織でキャリアをスタートさせたので、日本にいるうちは海外のチームとの電話会議なども特に問題には感じませんでした。しかし、私がニューヨークに派遣された時、コミュニケーションをとることの難しさに直面したのです。誰も私が話すのを待ってくれず、議論に割って入る余地がなかなかありませんでした。

この逆境を乗り越えるために、私は自らが主導するプロジェクトを持つことを買って出て、周りに私の話を聞いてもらう機会を作りました。それまでの私の経験から、多くの中の1人であるよりも、リーダーとしての責任ある立場の方がずっと仕事がやりやすいと気がついたのです。これはグローバルな環境で積極的な役割を果たすためのひとつの方法です」(渡辺さん)

グローバル企業でのキャリアアップ

続いて、スケールアップ(キャリア成長)のために進み続けるモチベーションをどのように維持していくのかについて、渡辺さんはこう話します。

「仕事を始めた時から私の目標はずっと、『WOW!』という驚きを世界に提供することです。開発エンジニアだった頃は、すばらしい商品を生み出すことで世界中の人々を驚かせることが目標でした。そして今もAmazonで、すばらしいサービスを提供することで世界にインパクトを与えて、お客様に『WOW!』と感じていただくことを目標に掲げています。

1人で働いている時は自分の能力だけですが、スケールアップしてより大きなチームに影響を与えられるようになれば、より大きなことを達成できて、もっと大きな『WOW!』を世界に届けることが可能です。それが私のスケールアップへのモチベーションです」(渡辺さん)

また、大きな組織のリーダーとなるにあたっては「こうした自分の情熱をチームに示し、ビジョンとして共有することが必要」だと話します。そうすることで、チーム全体が同じ情熱を持って仕事に取り組めると、会場に訴えました。

グローバル企業でのキャリアアップ

質疑応答の中で参加者から出た、「自らを指導して高めてくれる存在である『メンター』とはどのようにして出会えるのか」という質問に対して、渡辺さんは「これだと思う人がいたら、自分からお願いすればいい」と答えます。

「会社がアサインしてくれた私のメンターは、アジア太平洋エリアのトップの方で、豊富な経験を持つ完璧な助言者でした。たくさんのアドバイスをいただいています。しかしそれ以外にも、いわゆる非公式でメンターとなってくれている方々が数多くいます。特に会社から指示されたわけでなく、私は彼らを勝手にメンターと呼んでいます。メンターになってくださいと言われて、断る人はいないでしょう」(渡辺さん)

グローバル企業でのキャリアアップ

また、「大企業の中で働く女性は、いつか自身のビジネスを起こそうという思いを持っているものなのか」という質問に対しては、渡辺さんは「私自身はこれまでに起業を考えたことはないのですが、Amazonでは起業家精神を持った方を歓迎しています。Amazonは、さまざまな分野で革新的なビジネスをスタートさせています。勇気と情熱を持った方々とAmazonで一緒に仕事ができることを願っています」(渡辺さん)

グローバル企業でのキャリアアップ