新年を機に、新しいことを始めようと考えている人も多いのではないでしょうか? 今回は、Amazon定期おトク便で商品をお客様に届ける中小企業の事例から、DXによる習慣化の促進がビジネスに与える好影響を探ります。
一集落一農場で農地を守り、ブランド米を生産
日本人の主食であるお米。生産量では新潟県や秋田県、北海道などが上位を占めますが、兵庫県でも米づくりが盛んに行われています。「兵庫県豊岡市中谷地区は、米づくりに適した重粘土質の土壌に恵まれている」と語るのは、中谷農事組合法人の代表理事組合長・松井栄作さんです。同組合は、独自ブランドのコシヒカリ「六方銀米」を生産し、Amazonでも販売しています。
松井さん「お客様に安心安全なお米を届けたいという想いから、試行錯誤を重ねながら現在の9割減農薬栽培にたどり着きました。努力のかいもあり、六方銀米は農薬削減率や化学肥料の不使用などの厳しいチェックを受けた『ひょうご安心ブランド』、さらに厳しい条件をクリアして作られた豊岡市の農産物に与えられる『コウノトリの舞』ブランドを取得しています」
豊岡市は、同地で絶滅したコウノトリの野生復帰を目指し、コウノトリの餌場となる田んぼにおける農薬や化学肥料の使用量削減に、県や市、生産者が一体となって取り組んできました。
松井さん「18年前にコウノトリの野生復帰が実現し、いまでは250羽以上のコウノトリが大空を舞っています。コウノトリが田んぼに舞い降りるということは、餌が豊富でコウノトリも棲める自然環境が保全されていると言えます」
同組合は、1987年に一集落一農場方式で発足しました。
松井さん「当時は全国的に見ても画期的な方式でした。中谷地区の全農家が同意して作った組合で、将来的な後継者不足を見越し、先手を打って農地を守ろうという試みでした。現在、組合では中谷地区の全農家から借り受けた約77ヘクタールを管理していますが、栽培方法を一括管理できるので品質が安定し、誰がどこで栽培したかがわかる安心感もあります」
Amazon定期おトク便は次年度の生産計画にも役立つ
2011年からインターネット販売(EC)を始め、2015年からAmazonにも出品しています。
松井さん「ECを始めた理由は販路拡大です。それまでの出荷先は地元の農協が中心で、親戚や知人に勧めても販売数には限界がありました。また、自分たちで価格を決めて全国のお客様に直接販売したいという想いも持っていました」
同組合が2018年頃から利用しているAmazon定期おトク便は、商品を割引価格で購入できるというお客様のメリットのみならず、販売事業者へのメリットも大きいと語ります。
松井さん「お米は日本人の主食であり、毎日のように食べるものだからこそ、商品が定期的に届くAmazon定期おトク便と相性が良かったのだと思います。全国のお客様に直接販売したいという想いが形になったうえに、リピーターのお客様が増えるので売上が安定し、次年度の生産計画、Amazonの物流拠点への補充計画なども立てやすくなりました」
Amazonでお客様の存在を実感できることが励みに
Amazon定期おトク便での販売は、Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や、商品に関するカスタマーサービスを代行するフルフィルメント by Amazon(FBA)を利用することで可能となります。従業員が10名に満たない同組合にとって、FBAはなくてはならない存在だといいます。
松井さん「ECを始めた当初は、商品の発送に苦戦していました。新しい働き手がなかなか現れない中で、FBAを利用することで発送作業に割く時間が大幅に軽減され、限られた人数でも農地を守ることができています」
Amazonでの売上は順調に伸びていますが、その過程ではAmazonの担当者のサポートが大きかったと振り返ります。
松井さん「商品が50個売れたとき、500個売れたとき、それぞれの段階によってAmazonの担当者が売上を伸ばす計画を提案してくれました。ブランド登録やスポンサープロダクト広告など、方法は明確で、効果も目に見えて表れました」
Amazonでの販売を通じて、ファンのお客様の存在を知ることが同組合の励みになっているといいます。
松井さん「Amazonに出品する以前は、自分たちのお米がお客様にどのように映っているかわかりませんでした。けれど、現在はリピートしてくださるお客様も多く、カスタマーレビューでも高評価をいただいています。労働力や後継者不足、耕作放棄地など、農業全体が抱える課題は多いですが、お客様の声を励みに、これからもおいしいお米を届けたいですね」
お客様の声をもとに、市場にない商品を作り出す
株式会社FORTEは、KAYUTE(かゆて)というブランドの下、スキンケアアイテムやサプリメントの企画・開発・販売を行っています。CEO/代表取締役の杉谷典威さんは、「お客様のニーズが存在しながら、まだ市場には存在していない商品を作り出すこと」がブランドの理念だと語ります。
杉谷さん「美容や健康に関するお客様のお悩みは多種多様で、それらを解決する商品はまだ存在していないものがたくさんあります。そうしたニーズを探り当て、お客様の健やかな毎日を支える商品を開発するために、アンケート調査や市場リサーチ、Amazonのカスタマーレビューの分析など、さまざまなマーケティングを行っています」
商品開発のポイントは、大手企業の商品との差別化だといいます。
杉谷さん「商品が市場で埋もれないよう、広く流通している商品との差別化を重視しています。スキンケアアイテムを使用するお客様の中には、成分の効能を調べる方もいらっしゃいます。そうした専門知識を持ったお客様に納得していただける成分の配合を追求し、製造管理や品質管理の基準を満たしたGMP(適正製造規範)認定工場と協力して商品を開発しました」
お客様にとってもおトクなAmazon定期おトク便で販売するメリット
販路はECに絞り、「Amazonは商品力で勝負できるので成功する自信があった」と語る杉谷さん。Amazonを選んだ理由は1つにとどまらないといいます。
杉谷さん「ECの販路を選定するにあたって、いくつかの条件を書き出しました。人材面や資金面においてスモールスタートが切れること、お客様対応が優れていること、配送システムが充実していること。それらのすべてを満たしていたのがAmazonでした」
Amazonの魅力的な機能やサービスもポイントだったといいます。
「現在は商品ページに加え、Amazonブランド登録に登録することで「ストア」機能を利用し、ブランドを紹介するページを作成することができます。そこには、商品動画を載せる機能もあります。Amazonのサイト内でブランディングから商品の販売まで完結できるんです」
同社は、Amazonのサービスを複合的に利用している点が特徴です。
杉谷さん「Amazon定期おトク便は、お客様にとっては購入の手間を簡略化できて、割引も受けられる。当社としても、どのくらいの頻度・量で定期的に購入いただけるかがわかるので、市場分析に役立てています。セールなどをきっかけにAmazon定期おトク便のお客様が増えるなど、現在では通常購入の約2倍のお客様にご利用いただいています。Amazonにはさまざまなサービスがあるので、それらを包括的に利用することで売上の安定や開発時間の確保など、多くの効果が得られると考えています」
Amazonのサービスを利用し、商品開発に集中できる時間を確保
Amazonのさまざまなサービスの中でも、特にFBAはメリットが大きいといいます。
杉谷さん「当社は従業員が少ないので、お客様対応や配送処理をアウトソーシングすることは至上命題でした。FBAを利用することで、Amazonが商品の発送から、商品に関するカスタマーサービスまで代行してくれるおかげで、休日でも発送が可能になりますし、マーケティングや商品開発に集中する時間が生まれています」
Amazonでの販売というDXを通じ、安心のブランド米を届ける中谷農事組合法人と、健やかな毎日をサポートする株式会社FORTE。Amazon定期おトク便で商品を購入するお客様の存在は、モチベーション向上や生産管理においても好影響をもたらしています。ファンを生み出す商品開発とAmazon定期おトク便をかけ合わせることは、ビジネスを成長させるうえで重要な販売戦略だと言えるでしょう。
Amazon定期おトク便とは?
日用品を中心とした対象商品を、割引価格にて、定期的に配送料無料でお届けするサービスです。商品に応じて最大10%の割引となるため、くり返し買う商品をお得に購入することができます。また、同一お届け日に同一お届け先で3種類以上の商品を受け取ることで、「おまとめ割引」が追加適用となり、さらに5%の割引が適用され最大15%の割引となります。
本連載について
Amazonでの販売を支援する「Amazon出品サービス」、ビジネス上の購買をサポートする法人向けサービス「Amazon ビジネス」、決済サービス「Amazon Pay」、クラウドサービス「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」など、Amazonはさまざまな企業の課題を解決する多様な選択肢を提供しています。本連載では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組む中小企業と、そのDXをさまざまなカタチで支援するAmazonのストーリーをご紹介します。
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