この記事の注目ポイント

1. 名古屋みなとFCは、Amazon西日本エリア最大の物流拠点で、2025年8月に稼働を開始
2. Amazonとして世界初の壁面太陽光発電や日本最大規模の地中熱空調など、カーボンフリーエネルギーを活用
3. デパレタイザーやAmazon Roboticsなど、先端技術を導入し、働く人たちの業務をサポート
4. カフェテリアやマザーズルーム、礼拝室など、働く人のニーズに対応した設備を設置


2025年8月、愛知県名古屋市にある物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター(FC)」の稼働が始まりました。延床面積は約12万5,000平方メートルで、東京ドーム約2.6個分。Amazonにとって西日本最大規模の物流拠点です(2025年9月時点)。

名古屋みなとフルフィルメントセンター

名古屋みなとFCの最大の特徴として、Amazonでも世界初となる壁面太陽光発電の導入や、日本最大規模の地中熱空調を利用するなど、従来のFCと比べて、より一層カーボンフリーエネルギーの活用を進めています。また、商品の荷下ろしをサポートする「デパレタイザー」や、ロボットが商品棚を持ち上げて移動する「Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)」などの先端技術も導入されています。そうした先端技術に加え、クリーンで明るいカフェテリア、そしてマザーズルーム(搾乳室)や礼拝室など、働く人々のさまざまなニーズに対応した作りになっています。

今年8月に稼働を開始したばかりの名古屋みなとFCの構内をレポートします。


地下100メートルから地中熱エネルギーを活用する日本最大規模の地中熱空調システム

Amazonでは2040年までに事業におけるネット・ゼロ・カーボン(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を達成する誓約「The Climate Pledge(クライメイト・プレッジ)」のもと、さまざまな取り組みを進めています。

名古屋みなとFCでは、カーボンフリーエネルギーの活用を積極的に進めており、地中熱ヒートポンプを利用した空調システムを導入しています。200本の地中熱交換器を使い、地下100mの安定した地中の温度を利用して建物の1階部分の冷暖房を行うことで、低エネルギーで室温を快適に保つことができます。

白い台の上に面積が広い4階建ての白い建物の模型。その建物の下に垂直に赤と青い線が伸びている
地中熱交換器のイメージ

このシステムにより、従来の空調と比べて建物の1階部分のエネルギー消費量を約30%削減できる見込みです。この地中熱空調システムは日本でも最大規模のものであり、Amazon全体でも先進的な取り組みです。

壁際に2本並んでいる銀色のパイプに「冷温水(往)」「冷温水(還)の文字。その右横に温度を示す表示が付いた機器がある
地中熱空調の配管。夏は地中で冷やされた水が、冬は地中で暖められた水が循環する

Amazonとして世界初の壁面太陽光発電設備

カーボンフリーエネルギー活用の一環として、建屋や駐輪場・駐車場の屋根上に加え、南側の壁面にも太陽光発電設備を設置しています。壁面太陽光発電は世界各地にあるAmazonの物流拠点の中でも、名古屋みなとFCが初となる取り組みです。

大規模な建築物の外観。壁の大部分に太陽光パネルが多数設置されている。パネルがない部分は壁の白いところが見える。
建屋南側に設置された太陽光パネル

太陽光によるこのFCの合計発電容量は、日本全体の物流拠点に設置されているオンサイト型の太陽光発電設備として最大規模となる5.5メガワット(MW)になります。これは米国外でのAmazonの拠点においても最大の発電容量です。また、2.9メガワット時(MWh)の蓄電容量を持つ蓄電池も併設し、夜間など太陽光が利用できない時間帯でもカーボンフリーエネルギーを活用できます。

屋根つきバス乗り場と屋外駐輪場を斜め上から見たところ。わずかに湾曲した銀色の屋根が複数並び、支柱で支えられている。駐輪スペースの一部に自転車が複数置かれている。
駐輪場や駐車場の屋根にも太陽光パネルが設置されている(左)

低炭素型コンクリートや雨水の利用も

そのほか、この名古屋みなとFCでは、低炭素型のコンクリート素材を建物の基礎やオフィス部分に採用しています。また、雨水の利用も積極的に進め、貯留槽に貯めた雨水を植物への散水や、トイレの排水などにも利用しています。

工業施設の外壁前に設置された大型の複数の開閉扉と固定金具を備えた白色の長方体。コンクリート製の台座に架設されているため、コンテナと地面の間にスペースが確保されている。
蓄電池により夜間でもカーボンフリーエネルギーを活用

日本で開発されたロボットが商品の入荷をサポート

Amazonでは、さまざまなテクノロジーを活用することで、FCで働く人たちの業務をサポートしています。ここ名古屋みなとFCの1階でもロボットが商品の入荷業務をサポートしています。

このデパレタイザーというロボットは、FCに届いた商品が入った折り畳みコンテナをコンベアに下ろす作業を自動化するものです。北米や欧州でも類似もシステムを導入していますが、日本のFCに適した規模のシステムを日本のチームが独自に開発しました。このロボットは安全と人間工学に基づいて設計されており、働く人たちの負担軽減と作業効率の向上を実現しています。

物流施設内の自動化された作業ステーション。ライン上の半透明収納ボックスを、白いアームロボットが操作している。アームの左側には同じボックスが多数積まれている。
商品が入った折り畳み式コンテナを荷台からコンベアに移動するなど、入荷業務をサポートするデパレタイザー

Amazon西日本エリア最大の物流拠点「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」を初公開

ロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする「Amazon Robotics」エリア

名古屋みなとFCの2〜4階は商品保管フロアとなっていて、入荷した商品を保管棚に収納する「棚入れ」の作業や、お客様から注文があった際に商品を取り出す「棚出し」の作業が行われています。

このFCで保管されている在庫は1,900万点以上あり、1日あたり最大の入荷および出荷はいずれも60万個以上になります。

ロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポートする「Amazon Robotics」エリアでは、ロボットが働く人たちをサポートしています。

広い物流センターの内部。黄色いフレームの商品棚がコンクリートの柱の周囲に多数並んでいる。右側の広い通路では水色のロボットが商品棚を運んでいる
Amazon Roboticsエリアではロボットが商品保管棚を運んで入出荷をサポート

小型の商品を格納する「ポッド」と呼ばれる黄色い棚を、「ドライブ」と呼ばれるロボットが持ち上げ、商品の棚入れや棚出しをする人が作業する「ステーション」まで自動で運びます。そのため、「棚入れ」「棚出し」をする人たちは、長い距離を歩くことなく、作業を効率的に進めることができます。

グレーの床に、平たい水色の自動搬送ロボットがあり、その上に黄色い収納棚がある。それがいくつも並んでいる
「ドライブ」と呼ばれるロボット。商品が保管されている棚「ポッド」を持ち上げて移動させる

現在、名古屋みなとFCには、約3万1,000台のポッドと約3,500台のドライブが配備されています。たくさんのロボットがFCで働く人たちをサポートし、より安全に効率的にお客様へ商品をお届けするための準備を進めます。

物流施設の作業ステーションで立って作業するオレンジ色ベストを着用した人物の後ろ姿。左側に背が高く細かく区分けされた黄色い棚、右側に半透明の収納ボックスが並び、目の高さにはモニター2面。
作業ステーションは商品の保管のための棚入れと出荷準備のための棚出しの2種類があり、それぞれの場所で人がロボットが移動した棚に商品を格納するほか、棚から商品を取りだして出荷準備を行っている

箱から紙袋へ梱包が簡素化する時代に合わせ、FC内にあるエレベーターのデザインも新調

Amazonの一部のオフィスや物流拠点では、エレベーターの扉に段ボール箱のデザインが採用されていますが、ここ名古屋みなとFCでは初めて紙袋のデザインが採用されました。紙袋は、梱包の簡素化を目的に、近年多く使われるようになった梱包資材です。

白い壁のホールに、エレベーターが2基。段ボール箱をモチーフにしたエレベーターはドアがベージュ色で、左側のエレベーターのドアには袋の開封手順のイラストとテープを模した縦線がある。
発送時に使用されるAmazonの紙袋がデザインされたエレベーター

充実したカフェテリアをはじめ、マザーズルームや礼拝室の設置など、働きやすい職場づくりの推進

Amazonでは、物流拠点で働く人たちが安心安全に働くことができるよう、さまざまなニーズに沿った設備が設けられています。

明るく、開放的な名古屋みなとFC内のカフェテリアでは、カレーや、定食、丼もの、サラダや小鉢などが日替わりで提供されています。

明るい光が窓から差し込む、広々とした食堂。白いテーブルとカラフルな椅子が奥まで整然と並んでいる。右側には、上部がグリーンで飾られた白く太い柱が複数あり、窓際はカウンター席になっている。
茶色の四角いトレーに、鮭のムニエル定食がのっている。白い皿にムニエルと千切りキャベツ、ポテトサラダ。その皿を囲むように左から黒い小鉢に卵焼き、赤い小鉢に和え物、白い茶碗に白飯、黒い椀に味噌汁。
名古屋みなとFCのカフェテリアのメニューの一例
木目の表面に置かれた黄色い楕円形の皿。皿の中にはカレーライスが盛られている。左側がカレールー、右側がライス。ルーとライスの境目に赤い福神漬けが置かれている。
人気のカレーライス

また、構内にレタスやエディブルフラワー(食べられる花)が栽培され、実際にFCで提供されるサラダにも使われています。 

黒い棚状の構造物で栽培されている葉物野菜。葉は黄緑色で波打っており、棚の上部には反射材のような素材が設置されている。
構内で生産されているレタス

一部のFCと同様に、ここ名古屋みなとFCにも授乳期間中の女性のためにマザーズルーム(搾乳室)を設けています。室内には安心して搾乳ができるように、ゆったりと座れる椅子やテーブル、冷蔵庫などが備えられています。 

白い壁の小部屋に、丸テーブルと青いチェア、ベージュのスツール2脚が配置。右側には小型冷蔵庫とグレーのマット。天井と壁面にはグリーンが飾られている。
マザーズルーム(搾乳室)

また、宗派を問わず、ここで働く人たちが利用できる礼拝室も設置しています。静かにお祈りや瞑想する時間を過ごすことができる場所です。 

開いた白いドアの奥の小部屋に、青地に金色模様の長方形のじゅうたんがある。ドアの右側の壁には「礼拝室 Multi-faith Room」の表示。その下に銀のプレートがあり、緑色で「空室」の表示。
礼拝室

そして、構内には「みんなのトイレ」や、スロープなども設置されています。

この名古屋みなとFCについて、FCの企画・設計・建設を統括したアマゾンジャパンオペレーション技術統括本部統括本部長の渡辺宏聡は次のように話します。

「この名古屋みなとFCは、東海地方そして全国のお客様に最高のお買い物体験をご提供し、地域に数千人の働く機会を創出すると共に、先端技術を活用して働く方々をサポートします。またAmazonのThe Climate Pledge(クライメイト・プレッジ)達成に向けた取り組みにとって、大きなマイルストーンとなる拠点です。Amazonはこれからもイノベーションを続け、ともに働く人たちがより働きやすく、安心・安全な職場をつくるととともに、より持続可能な施設運営のために尽力してまいります」

白い壁と観葉植物を背景に、白い作業着姿の人物がマイクを手に話している。奥の方の壁は水色で、テーブルや椅子が並んでいる。
オペレーション技術統括本部統括本部長 渡辺宏聡
青と白の市松模様の壁の前で、白い作業着の人物と、茶色いシャツに紺色ベストの人物が、笑顔で大きなボードを持っている。ボードには「Amazon名古屋みなとフルフィルメントセンター」の文字。
名古屋みなとFCサイトリーダー鈴木マリアン(左)

名古屋みなとFCの歩みは始まったばかりです。全国のお客様に笑顔をお届けし、お客様のニーズに合わせてAmazonはこれからもフルフィルメントネットワークの拡大に努めていきます。

そのほかのAmazonのニュースを読む