社会全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切る中で、Amazonは日本の企業の約9割を占める中小企業(小規模事業者含む)を支援し、さまざまなサービスやプログラムを通して中小企業のDXを後押ししています。デジタルがもたらす中小企業の変革とは? そして、変革を加速させるAmazonのサポートとは? 連載企画の第5回は、女性を支える商品をAmazonで販売する女性起業家を紹介します。
※本記事は、2022年3月9日に日本経済新聞および日本経済新聞電子版に掲載された記事を加筆したものです。

3月8日は、国連によって制定された国際女性デー。女性の社会的・経済的・文化的・政治的功績を称え合い、また、男女平等な社会の実現を加速するための行動を呼びかける日です。日本では、2021年の女性の国内就業者数は2980万人と、前年より12万人増加※1。女性の社会進出が進む一方で、各国の男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数では153カ国中120位※2と、多くの課題が残っています。
※1 総務省統計局「労働力調査 (基本集計)2021年平均」より
※2 世界経済フォーラム「The Global Gender Gap Report 2021」より

今回は、女性を支える商品をAmazonで販売する女性起業家を通し、彼女たちが自ら道を切り拓いてきたストーリー、そして、Amazonのサービスが彼女たちをどのように支えているかを紹介します。

社名を背景に笑顔の高橋さんの写真
株式会社Bé-A Japan 代表取締役・髙橋くみさん

女性の悩みを解決するショーツを作るために

2人の女性が共同代表を務める株式会社Be-A Japan(ベアジャパン)は、今年の国際女性デーに合わせて新商品を発売しました。代表取締役COOの髙橋くみさんは、その経緯をこう語ります。

髙橋さん「Bé-A〈ベア〉は、サニタリー期間中もショーツ1枚で快適に過ごせる、超吸収型サニタリーショーツのブランドです。2020年の発売以来、お客様の声を受けて商品の改良を重ね、今年の国際女性デーに合わせ、吸水量を向上させたサニタリーショーツを新しく発売しました」

近年、女性の身体や健康をサポートするフェムテック/フェムケア商品が注目を集めていますが、Be-A Japanはその先駆けだといえます。

髙橋さん「ブランド立ち上げのきっかけは個人的な体験です。仕事や子育てで多忙を極め、サニタリー期間中の問題に悩んでいた共同代表の山本未奈子CEOに、海外で販売されている吸収型ショーツを教えたことが始まりでした」

しかし、海外製の吸収型ショーツは吸水量も耐久性も低く、安心して使えるものではなかったといいます。

髙橋さん「女性は生涯のうち、合計すると約7年間をサニタリー期間に費やすといわれています。サニタリー期間中の身体的・精神的な悩みはパフォーマンス低下につながり、女性の社会進出が進む現代においては経済的損失も計り知れません。女性がいつでも快適に過ごせるように、確かな品質で安心して使えるショーツを作りたい、女性の悩みを解決したいという想いから商品開発が始まりました」

ショーツと統一されたデザインのパッケージにはいった商品が並ぶ写真
特許を取得している超吸収型ショーツは高い機能性が支持を集めている
サニタリーショーツのパッケージ写真。白いパッケージにブランド名が大きく印字されている。
パッケージには古紙100%のリサイクルペーパーなどを使用
黒いシルク製ナプキンの写真。パッケージも黒い帯でおおうデザイン。
吸収型ショーツと併用できるシルク製ナプキンも販売

FBAの活用で子育てと仕事を両立

商品開発を始めた2018年当時、フェムケア商品の認知度は低く、19社の工場に製造を断られ、20社目にして生産のパートナーが見つかりました。そして、2020年6月、発売に先駆けてクラウドファンディングを行うと、想像を超える賛同が集まったといいます。

髙橋さん「当初の目標額は100万円だったのですが、約1万人の方にご支援いただき、支援額は1億円を超えました。これだけ多くのお客様が求めていたのだと、身が引き締まりました」

1日でも早く商品を届けたい。そこで候補に挙がったのがAmazonでのEC(電子商取引)販売です。

髙橋さん「商品の性質上、すぐに使いたいというお客様のニーズを考えたとき、配送スピードの迅速さが決め手となり、同年7月からAmazonでの販売を開始しました。また、商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や返品に関するカスタマーサービスをAmazonが代行してくれるフルフィルメント by Amazon(FBA)を使えば、土日も年末年始も配送してくれます。30名いる当社の社員は全員女性で、子育てと仕事を両立している社員が多いのですが、FBAのおかげでワークライフバランスが保てていると思います」

ストアページの写真。大きい画像とシンプルなメッセージが並ぶ。
Amazonのストアページでは、伝わりやすいビジュアルと機能性の説明に力を入れている
社内ミーティングの写真
フレックスタイム制を採用し、子育てと仕事の両立を支援している
高橋さんの写真
女性のライフステージを支え続けるブランドでありたいと語る髙橋さん

またBe-A Japanのサニタリーショーツは環境面でも注目されています。

髙橋さん「一般的な紙ナプキンは、実は紙ではなく、石油原料のプラスチックからできています。でも、当社のサニタリーショーツなら洗って繰り返し使えます。しかもゴミが出ないため、捨て場所に困ることもありません。パッケージも古紙100%を使用したリサイクルペーパーや森林認証紙を使用して、女性にも地球にも優しいサステナブルな商品を目指しました」

機能面や環境面から多くのお客様に支持され、Amazonのカスタマーレビューには「今までの悩みが解消されて人生が変わった」という声が並びます。

髙橋さん「新しい商材だったので当初は受け入れていただけるか不安でしたが、Amazonのカスタマーレビューによって安心や信頼が伝わり、購入してくださるお客様が増えたと思います。発売当初から医療従事者への商品の寄贈も行っており、客室乗務員をはじめ、働く女性たちのサポートにも励んでいます。商品を通して、女性が働きやすい社会を実現していけたらいいですね」

女性の心身を支えるメソッドが生まれるまで

ボディメイクに関する独自のメソッドを提唱し、スタジオおよびオンラインレッスンを事業の柱とする株式会社YumiCoreBodyは、女性の健康的で美しい身体づくりを支えています。インストラクターも務める代表取締役の村田友美子さんは、数年前まで運動に興味がなかったと意外な過去を振り返ります。

村田さん「34歳で3人目の子どもを出産して、普通の主婦生活を送っていました。運動もしたことがなかったですし、極度の面倒くさがり。美容にも興味がありませんでした。それが今は本も出版し、『くびれ母ちゃん』と呼ばれているなんて、人生って不思議ですよね(笑)」

ヨガウエアを着てヨガマットに座る村田さんの写真
株式会社YumiCoreBody 代表取締役・村田友美子さん

転機となったのは、ママ友が開いているコアトレーニングのレッスンに参加したことでした。

村田さん「最初はまったく身体が動かなかったのですが、継続するうちに変化を感じ始めました。半年ほど経ったころには身体も引き締まって、友人から『レッスンしてほしい』と言われることが増え、自宅のリビングで個人的にレッスンをするようになったんです」

レッスンの生徒が増えるにつれ、「揺るぎないエビデンスを身につけたい」と考え、解剖学や整体、インナートレーニングなどを習得し、独自のメソッドを考案しました。2018年にはスタジオをオープンし、現在では4つのスタジオを構えています。骨格から身体を整えて女性らしい曲線ボディへ導くメソッドは身体面に与える影響はもちろん、精神面に与える影響も大きいといいます。

村田さん「背骨が整うと自律神経が安定するので、精神的に健やかになり、内面と外面の両方に自信が芽生えてきます。また、生理期間の不調や摂食障害が改善されたというお客様もいらっしゃいます。心身の両面から女性を支えられることは、私たちの大きなやりがいにつながっています」

村田さんが生徒さんにレッスンをしている写真
自身の経験をもとにした、わかりやすく効果的なレッスンを行っている
骨や筋肉、神経などのイラストが展示されている様子
オフィスには解剖学や整体などに関する資料が並ぶ
社員と村田さんが話をしている写真
社員の9割は女性。子どもの送り迎えをしやすいフレックスタイム制を採用している

コンサルタントに相談できる安心感が大きい

2018年には、トレーニング用のオリジナル商品を開発しました。

村田さん「当初は、既製品の筋膜をほぐすリリースボールを使っていました。ただ、既製品ではちょうどいい固さのものがなく、壊れやすいという安全面での心配もありました。そこで、私が理想とする固さで耐久性のあるものを作ろうと、独自に開発した商品がホグッシーです」

同年、Amazonでの販売も開始します。決め手は認知度の高さでした。

村田さん「スタジオで生徒さん向けに販売を始めたのですが、著書を読んでくださった方からも問い合わせがあり、ECでの販売を検討しました。今は多くのEC販路が存在しますが、Amazonは男女を問わず圧倒的に認知度が高い。『Amazonで購入できます』とお伝えしてご存じないお客様はいませんので、幅広い世代に浸透していることを実感しています」

販売しているグッズの写真
筋膜リリースボールやローラー、エクササイズバンドなどを販売
手を床につき、曲げた脚を筋膜リリースボールにのせてマッサージしている写真
筋膜リリースボールはマッサージに使うお客様も多いという
家族のイラストがかかれた青汁のパッケージと、グラスにはいった濃いグリーンの青汁の写真
手軽に栄養を補給できる青汁も新たに開発・販売している

また、FBAに助けられたことは一度や二度ではないといいます。

村田さん「当時は社員が3名のみで、注文処理や配送、在庫管理をすべて自分たちで行うのは不可能でした。しかも、注文が殺到して、生産が追いつかずに品切れになったことも……。Amazonで販売することで想像以上の反響がありましたし、FBAを利用することで在庫管理や新製品開発の時間もとれています」

商品の生産が安定した現在は、Amazonのマーケットプレイス コンサルティングサービスを利用し、販売強化に取り組んでいます。

村田さん「コンサルタントの方にはさまざまな面でサポートしてもらっています。アドバイスをもとにストアページの写真や文章を作成したり、動画をアップしたりしました。わからないことを相談できる安心感も大きいですね。スポンサープロダクト広告は利用を始めてまだ間もないですが、すでに売上は伸びています」

コロナ禍以降は、YumiCoreBodyオンラインレッスンの需要が増加したこともあり、Amazonの重要性も増しているといいます。

村田さん「オンラインレッスンの生徒さんは全国各地にいらっしゃいますが、皆さん、事前にAmazonでYumiCoreBodyオリジナル商品を購入して参加してくださいます。全国の生徒さんに商品が届けられることも、生徒さん以外にも購入していただけることもうれしいですね」

ストアページの写真。村田さんが商品の使い方を説明する動画が大きく掲載されている
Amazonのコンサルタントの助言をもとにストアページに追加された商品解説動画
笑顔で話す村田さんの写真
独自のメソッドを世界中に広めていきたいと語る村田さん

そんな村田さんは「当社で働く女性の多くが子育てをする中で、母親が輝きながら働く姿は子どもたちの未来のお手本になる」と語ります。Bé-A Japanの髙橋さんもまた、「生き生きと働く女性の姿を通して、女性の選択肢や可能性を広げたい」と同調します。

女性の社会と暮らしを、心と身体をサポートしたいという信念を持って道を切り拓いてきた髙橋さんと村田さん。Amazonを活用する彼女たちのビジネスの発展は、女性の生活の質(QOL)を高め、その先にある女性の社会進出の加速に貢献していくことでしょう。

Amazonでは3月8日の国際女性デーを記念して、Amazonで販売をしている中小企業の女性たちをご紹介する「女性リーダーが活躍する中小企業」をご紹介しています。こちらも合わせてご覧ください。

中小企業を進化させるAmazonのDXサポートシリーズ
Vol.1 商品のリピーターを生み出す、DXにおける新たな方程式とは?
Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
Vol.3 ECビジネスに不可欠なフルフィルメント戦略
Vol.4 既存商流のデジタル化はなにをもたらすか?
Vol.5 女性を支える商品は、社会と暮らしをどう変えるか?
Vol.6 DXと共に変化する、新生活アイテムの消費行動とは?
Vol.7 DXはエシカル消費をどのように後押しするか?
Vol.8 AWSクラウドがもたらした、農業を支えるDXの進化
Vol.9 AWSが加速させる、社会に貢献する事業のDX
Vol.10 スタートアップの革新はいかにして生まれるか?
Vol.11 AWSによるDXは、第一次産業をどう進化させるか?
Vol.12 事業承継のために老舗が挑んだ改革と守った精神
Vol.13 豊かな人生に貢献する商品を生み出した開拓者たち
Vol.14 業務効率化で生まれた時間をどう活用するか?
Vol.15 ブランドの保護・活用による中小企業の成長戦略
Vol.16 企業の情報資産を守り、ビジネスを止めないために
Vol.17 日本の健康を食で支えるために開拓したECという販路
Vol.18 社会課題にイノベーションを起こすITベンチャーの技術力
Vol.19 エッセンシャルワーカーにDXはどんな価値をもたらすか?
Vol.20 和の名産を手がける老舗が踏み出したDXの新たな一歩
Vol.21 デジタル面にとどまらない、Amazonの中小企業支援とは?
Vol.22 行動や価値観の変化を捉える、中小企業の商品開発の今
Vol.23 メイド・イン・ジャパンの品質を世界中に届けるために
Vol.24 地域活性化を後押しする、特産品の魅力とDX

2021年のこのシリーズでは、コロナ禍を乗り越えた飲食店や、OEMから自社ブランド製造に舵を切った企業、老舗の食品店や伝統工芸品店、農産物販売企業まで、Amazonで販路を広げDXを推し進める中小企業をご紹介しています。

 

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