社会全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切る中で、Amazonは日本の企業の約9割を占める中小企業(小規模事業者含む)を支援し、さまざまなサービスやプログラムを通して中小企業のDXを後押ししています。デジタルがもたらす中小企業の変革とは?そして、変革を加速させるAmazonのサポートとは? 連載企画の第2回は、Amazonにおけるギフト販売で成功を収める中小企業の事例から、それらをひもといていきます。

※本記事は、2022年1月24日に日本経済新聞および日本経済新聞電子版に掲載された記事を加筆したものです。

コロナ禍に伴う新しい生活様式において、ますますニーズが高まっているEC(電子商取引)。日用品や生活雑貨などをECで購入することが習慣化する一方、コロナ禍によって会う機会が減った祖父母や両親、孫、あるいは友人へ、ECを通じてギフトを贈るケースも増えています。そうしたギフト需要を的確に捉えることは、EC販売での重要なビジネス戦略になり得ます。今回は、Amazonの販売においてギフト商品で成功を収める中小企業を取り上げ、ギフト商品販売に対してどのような思い入れがあるか、どのような戦略を立てているかを掘り下げていきます。

中小企業を進化させるAmazonのDXサポート Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
株式会社ASAGIRI 代表取締役・方城雅典さん

子どもの誕生を機にベビー用品を開発

Amazonのベビー用品カテゴリーにおいて、着実に売上を伸ばしている商品があります。株式会社ASAGIRIが手がけるベビー用品ブランド、BabyGooおよびfungooのベビーマットです。

「ご自宅で使用されるお客様も多いですが、ギフトオプションを選択されるお客様も多いので、出産祝いやお孫さんへの贈り物に購入されていると推測しています」と語るのは、代表取締役の方城雅典さん。当初はAmazonで生活雑貨などを販売していましたが、自身に子どもが生まれたことを機に、ベビー用品の企画開発・販売を手がけるようになりました。

方城さん「初めての子育てに備えてベビー用品を探し始めました。色々なECサイト上を検索したのですが、リーズナブルだけど品質に不安があるものか、品質は良くても高額なものばかり。商品が二極化していて、最適なものが見当たらなかったんです。そこで、親も子どもも安心して使える品質で、かつ良心的な価格の商品を作ろうと思い立ちました」

中小企業を進化させるAmazonのDXサポート Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
にぎやかな動物の絵柄が書かれたfungooのベビーマット

ベビーマットの開発にあたって、徹底的にこだわったのが安全性です。

方城さん「子どもがマットを舐めることもあるので、30以上の素材を取り寄せ、有害物質のチェックや安全検査を繰り返しました。当社のベビーマットは、さまざまな安全検査をクリアした商品に与えられる安全規格※も満たしています。『自分の子どもが使って安心か』『友人におすすめできるか』というお客様視点は常に意識しましたね」

※BabyGooのベビーマットは、国際安全規格ASTM規格適合/ヨーロッパ玩具安全基準EN71適合/アメリカ子供向け製品安全法CPSIA適合。fungooのベビーマットは、シックハウス症候群の7つの原因物質に基づくJIS規格適合。

安全性へのこだわりは、素材だけではなく仕様にも表れています。

方城さん「安全性を軽視すると、不測の事故やケガにつながってしまう恐れがあります。子どもが転んだり、走り回ったりしても大丈夫なように、通常のベビーマットよりクッション性を重視しました。安全であると同時に防音効果も果たせる厚さです。開発には保育士さんや子育て世代の方々にアドバイスをいただき、商品に反映していきました」

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ケガの防止や防音性にこだわったfungooのマット
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fungooのマットには数字や英語が型押しされており、知育玩具としての役割も持つ

Amazonがサポートするギフト需要への対応

1年半の歳月をかけて誕生したベビーマットは、発売後すぐに好調な売上を記録しました。

方城さん「Amazonへの出品はシンプルかつ簡単で、初期費用も抑えられます。なにより、圧倒的な集客力と、Amazonの中で売れ筋商品のリサーチができる点に魅力を感じました。出品後にAmazonの担当者から連絡があり、広告戦略などについて一緒に考えてくれたこともビジネスが軌道に乗るきっかけになりました」

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fungooでは折りたたみ式、BabyGooではロール式を展開し、絵柄は数種ある
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BabyGooでは、子どもと安心して一緒に眠れるベッドガードも新たに開発し、販売している

大量の注文が入っても、フルフィルメント by Amazon(FBA)があったからこそ、需要に対応できたと振り返ります。

方城さん「FBAを利用すれば、Amazonが商品の保管、注文処理から発送、配送や返品に関するカスタマーサービスまでを代行してくれるので、自社で大量の在庫を保管する必要もありません。保育園や託児所付きの企業から数十枚単位の大量注文を受けたときも、FBAがあったからこそ対応することができました。当初はB to Bの需要はあまり想定しておらず、Amazonに出品して初めて気づきました。さらに、さまざまな無料特典がつくFBA新商品特典プログラムを活用すれば、初出品の商品なら大型サイズでも在庫保管手数料が90日間、無料になるので助けられています。自社で発送手続きをしていたころは忙殺されていたので、FBAがなければ子どもと過ごす時間はなかったかもしれません(笑)」 

ギフト需要に対する対応や、Amazonならではのサービスもメリットだといいます。

方城さん「FBAのギフトオプションを設定しておけば、Amazon側でラッピングし、メッセージカードも付けてお客様に発送してくれます。ベビー用品を割引価格で購入できるAmazonファミリーというサービスもありますし、昨年末のAmazonブラックフライデーでは通常時よりも3倍以上の注文が入りました。お客様にリーチするさまざまな機会があるのもAmazonならではのメリットだと思います」

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リーズナブルで高品質なベビー用品で子育て世帯を応援したいと語る方城さん

第二子の誕生を心待ちにしている方城さんは、次の戦略をこう語ります。

方城さん「子どもたちの成長に合わせて商品ラインナップを広げていこうと考えています。最近は小児科医監修の商品開発も行っており、品質を担保しながら、子育て世帯の負担を軽くできるリーズナブルな商品を開発していきたいですね」

限られた販路に苦戦し、EC事業に進出

京都府を拠点に革小物の製造ブランド、COTOCUL(コトカル)を展開する株式会社京でんも、ギフト需要に新たな商機を見出しています。まずは、現在までに至る道のりを、代表取締役の竜田昌雄さんに伺いました。

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株式会社京でん 代表取締役・竜田昌雄さん

竜田さん「京都に生まれ育った私は、『京都発信の世界ブランドを創る』という人生目標を掲げています。当初は外部の職人さんと一緒に和柄のジーンズを製造し、卸販売をしていたのですが、段々と自分たちの手で作りたい、お客様の声を直接聞きたいという想いがわき起こりました。そこで、京都の伝統技法を使った革小物を作ろうと考え、『お客様の笑顔につながるモノ創り』というコンセプトの下、2015年にCOTOCULを立ち上げました」

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COTOCUL を代表する定番商品のミニ財布
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特殊な構造を発案することで紙幣が折れない作りに

今でこそ、定番商品のミニ財布は好調に売上を伸ばしていますが、そこに至るまでは決して順調な道のりではありませんでした。

竜田さん「立ち上げ当時は百貨店の催事が唯一の販路で、毎日のように全国各地を飛び回っていました。責任者である私が会社にほとんどいないため、トラブルが発生しても社員だけでは対応しきれないことが頻発し、社員がどんどん辞めていく。売上を伸ばしたくても販路も人手も足りない、雨が降れば催事に人は集まらない……。百貨店のみでの販売に限界を感じていた矢先、テレビの通販番組で飛ぶように商品が売れるのを見て、時間や場所にとらわれない販路を開拓しなければと確信しました。そこで、以前から買い物に利用して慣れ親しんでいたAmazonへの出品を2019年5月から始めたのです」

時を同じくしてコロナ禍による外出自粛に伴い、催事の中止が相次いだこともあり、竜田さんはEC販売に力を入れていきます。

竜田さん「最初に感動したのはFBAです。催事のために全国各地を飛び回っていたころはほとんど家に帰れなかったのですが、今では商品をAmazonに預けておけば、休日も関係なく受注も出荷もAmazonが代行してくれます。家族と過ごす時間が増えて、本当にうれしい限りです。また、Amazonの担当者からセミナーの案内や新しいサービスに関するアドバイスを受け、ブランドサイトを充実させていきました。Amazonの担当者が教えてくれる事例にならうことが成功への一番の近道だと思いますね」

Amazonでの売上が順調に推移し、EC販売に抱いていた不安も払拭されたといいます。

竜田さん「百貨店での販売には、お客様の声を直接聞けるというメリットがありました。EC販売ではそれがなくなることへの不安があったのですが、Amazonではカスタマーレビューを通してお客様の声を聞くことができます。さらに、百貨店販売で培ってきたお客様視点での知見や肌感覚をAmazonでの販売にも活かすことができています。Amazonに出品したことで、より多くのお客様に商品と笑顔を届けられていると実感しています」

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かつて着物の染色をしていた職人が革の染めを担当している
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着物にも用いられるぼかし染めを施したミニ財布

Amazonを通じた海外展開で夢を叶える

EC販売を展開する中で、ギフト需要への対応にも力を入れていきたいと竜田さんは言います。

竜田さん「京都の素材や伝統技法を使ったCOTOCULの商品は、大切な人への贈り物にも喜ばれると自負しています。Amazonの担当者からアドバイスをもらい、母の日用に作った限定商品も好評でしたし、Amazonブラックフライデーのセールでも成果を上げることができました。母の日や父の日、クリスマスといったギフトシーズンにはAmazon内の需要が一気に高まるので、今後はギフトシーズンにスポンサープロダクト広告などを活用しようと検討しています」

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ミシンを使って丁寧に縫製する様子
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ひとつずつ革の裁断面にやすりをかけ、仕上げていく

Amazonでの成功の先に見据えるのは、竜田さんの人生目標です。

竜田さん「Amazonでの販売に特に力を入れているのは、その先に『京都発信の世界ブランドを創る』という道が拓かれているからです。Amazonグローバルセリングを利用すれば、海外のマーケットプレイスにも出品できます。人生目標を実現するために、今後は海外展開を進めていきたいですね」

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お客様はもちろん、革の生産者や職人などにも笑顔を波及させたいと語る竜田さん

海外展開を目指す中で、新しい挑戦も始まっています。

竜田さん「今後は京都産の牛の革を海外に販売することを考えています。和牛肉は海外で味わいが高く評価され、数多く輸出されていますが、和牛の革素材は使われずに余っています。革素材も無駄にせずに有効活用すれば、サステナブルな社会の実現に貢献できると思うのです」

お客様視点に基づいて、優れた品質の商品を開発している株式会社ASAGIRIと株式会社京でん。その商品はお客様の心を動かし、大切な人への贈り物に選ばれます。そして、贈り物にふさわしいラッピングを施すギフトオプションや、母の日などギフト需要が集中する期間の大量の注文処理・発送への対応を可能にするFBAといったAmazonのサービス。それらがかけ合わさったとき、お客様の期待に応えるギフト戦略が成り立ち、ECビジネスが加速していることが2社の取り組みから読み解けます。

中小企業を進化させるAmazonのDXサポートシリーズ
Vol.1 商品のリピーターを生み出す、DXにおける新たな方程式とは?
Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
Vol.3 ECビジネスに不可欠なフルフィルメント戦略
Vol.4 既存商流のデジタル化はなにをもたらすか?
Vol.5 女性を支える商品は、社会と暮らしをどう変えるか?
Vol.6 DXと共に変化する、新生活アイテムの消費行動とは?
Vol.7 DXはエシカル消費をどのように後押しするか?
Vol.8 AWSクラウドがもたらした、農業を支えるDXの進化
Vol.9 AWSが加速させる、社会に貢献する事業のDX
Vol.10 スタートアップの革新はいかにして生まれるか?

2021年のこのシリーズでは、コロナ禍を乗り越えた飲食店や、OEMから自社ブランド製造に舵を切った企業、老舗の食品店や伝統工芸品店、農産物販売企業まで、Amazonで販路を広げDXを推し進める中小企業をご紹介しています。

 

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