社会全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切る中で、Amazonは日本の企業の約9割を占める中小企業(小規模事業者含む)を支援し、さまざまなサービスやプログラムを通して中小企業のDXを後押ししています。デジタルがもたらす中小企業の変革とは? そして、変革を加速させるAmazonのサポートとは? 連載企画の第19回は、医療・福祉分野でDXを推し進める中小企業に迫ります。
※本記事は、2022年8月29日に日本経済新聞および日本経済新聞電子版に掲載された記事を加筆したものです。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、エッセンシャルワーカーという言葉が注目を集めました。エッセンシャルワーカーとは、生活を維持するために社会に必要不可欠な労働者を指し、医療、介護、保育、教育、行政、および電気・ガス・水道・ごみ収集・通信・輸送・交通などのライフライン、小売業、第一次産業などに従事する人々が挙げられます。

今回は、私たちの生活を支える医療・福祉分野のエッセンシャルワーカーにフォーカスし、その分野においてどのようなDXが進んでいるか、そして、Amazonビジネスがどのような役割を果たしているかを掘り下げます。

医療・福祉分野の課題解決のためにDXを活用

医療法人社団 桐和会は、病院やクリニックなどの医療機関、特別養護老人ホームなどの介護施設、保育園や学童保育などを展開しています。

「当会は、理事長の岡本が『病気にかかっている人、苦しみを抱えている人を助けたい』という想いから事業を始めました。『あんしん・まごころ』を理念に掲げ、医療・福祉・教育の連携によって、1人でも多くの人の人生を、地域や社会全体を支えることを目指しています」と語るのは、管理本部 総務部の大久保志那さんです。

施設の入り口に立つ大久保さん
医療法人社団 桐和会 管理本部 総務部・大久保志那さん

現在は、首都圏を中心に70を超える事業所を展開し、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムを支えています。

大久保さん「医療・福祉・教育分野でシームレスなサービスを展開しているため、たとえば、病院を退院してから介護施設へ、あるいは在宅介護へと、1人の方を長くサポートできることが当会の特長であり、私たちの喜びにもなっています。保育園では自主性と個性を重んじた教育方針を掲げ、子どもから高齢者までを支える地域包括ケアシステムを担っています」

医療・福祉分野の課題である人手不足に対応するため、積極的にDXを推し進めています。

大久保さん「理事の小原(伸生)が中心となり、医師や介護福祉士らが施設利用者様の健康状態などを共有できるデジタルツールの導入を進めています。さらに、備品などの購入をデジタル化するため、2022年3月からAmazonビジネスを全施設に導入しました」

ミーティング中の大久保さんと小原さん達
理事の小原さん(中央)と共に介護・福祉分野におけるデジタル活用を検討している
ノートパソコンで仕事中の保育園の職員さん
保育園では常日頃から玩具や粉ミルクなどをAmazonで購入している

備品などの購買にかかる時間を大幅に短縮

請求書払いや購買履歴の一括管理が可能な法人向け購買サイト、Amazonビジネスを利用することで、購買にかかる時間が大幅に短縮できたといいます。

大久保さん「導入以前、各施設の職員がAmazonで備品を購入していることを知り、それならばAmazonの法人アカウントを作成し、購買を効率化しようという動きになり、導入に至りました。DX化によって生まれた時間を、利用者様のケアの時間にあてることができています。また、法人価格や数量割引があるので、70を超える事業所を持つ当会は大きなスケールメリットを得られています」

さらに、Businessプライムに登録することで、無料お急ぎ便を利用できることが大きなメリットになっています。

大久保さん「Amazonビジネス利用開始以前は、送料がかかる場合は、ある程度まとまってから購入して送料を節約するケースもありました。登録後は送料が無料になったので、欲しいものをすぐに購入できています」

棒グラフの画面。内訳がジャンル別に色分けされている。
分析機能では、商品ジャンル別の購入率を月ごとにグラフ化
注文額が多い施設から順に表示されている棒グラフの画面
施設ごとの注文額もグラフ化される
ジャンルごとに棒グラフが表示されている画面
食料品や衣服など、商品ジャンルごとの注文額をグラフ化

また、「Amazonビジネスの担当者の助言も役立っている」と大久保さんは言います。

大久保さん「担当者と定期的な打ち合わせを設け、施設ごとの支出や、どんな商品を購入しているかを分析する機能をもとに、さまざまな助言をもらっています。介護施設は入居者様の生活空間のため、テレビや洗濯機といった電化製品も購入されていることがわかりました。ゆくゆくは、従業員がAmazonビジネスで福利厚生に準じた商品を購入できないかという相談もしています」

真っすぐ前を見て話す大久保さん
「今後はAmazonビジネスを施設全体の備品管理にも役立てていきたい」と語る大久保さん

業務効率化や費用削減にDXを活用しながら、同会はコロナ禍の日常生活を支えてきました。

大久保さん「感染予防対策を万全にしたうえで、『我々はいつもと変わらないことをやる』ことを貫いています。これからも、使命感を持って地域の皆様のために貢献していきたいですね」

Amazonビジネスが生んだ利用者との時間

首都圏を中心に、介護付き老人ホームの運営や通所介護、訪問介護などを手がける株式会社エスケアメイト代表取締役社長の滑田賢治さんは、「近年、介護業界でもDXが加速している」と話します。

職員の方がデスクワーク中の事業所で笑顔の滑田さん
株式会社エスケアメイト 代表取締役社長・滑田賢治さん

滑田さん「当社が運営する13の通所介護事業所のうち、3事業所で機能訓練をサポートするAI(人工知能)を導入しています。高齢の利用者様が運動している様子を撮影し、どの部分の筋力が落ちているか、どんな運動プログラムが最適かをAIが分析する仕組みです」

それ以外にも、医師や介護福祉士、ケアマネジャーなどが利用者の健康状態などを共有できるアプリを活用するなど、同社は積極的にDXに取り組んでいます。2021年10月、法人の購買をサポートするAmazonビジネスを、51あるすべての介護事業所に導入したのもDXの一環です。

滑田さん「消耗品や備品、あるいはレクリエーション用のアイテムなど、介護現場で購入する商品は多様かつ大量であり、それらを少しでも安く購入したいと考えていました。本来は利用者様のケアに時間を割くべき介護職員らが、近所の店舗に買い出しに行くことに時間を取られ、また、外出することで感染リスクも高まります。そうした課題をすべて解決してくれたのがAmazonビジネスでした」

事業所職員の多くがAmazonでの購入経験を持ち、操作に慣れていたため、特別な研修やマニュアルを用意する必要もなく、スムーズにAmazonビジネスの利用がスタート。各事業所の職員が法人アカウントで商品を購入し、支払いや購入履歴などは本社が一括して管理・把握しています。

滑田さん「Amazonビジネスは品揃えが豊富な上、最安値の商品を見つけやすく、数量割引もあるのでコストメリットが非常に大きいと感じています。何より、以前は事業所職員が購入代金の小口精算をしていたのですが、その手間から解放され、利用者様のケアの時間が増えたことが一番の収穫です。購入商品の傾向を分析する機能もあるので、本社でそれを活用し、各事業所が商品を選ぶ手間を省けるリストを作成し、一層の効率化を考えています」

法人割引・数量割引への案内画面
大きなコストメリットが得られる法人割引・数量割引
推奨商品を組織内で共有している画面
購買傾向などをもとに推奨商品が表示される
リアルタイムの各種レポートや購買分析ダッシュボードの画面
さまざまなデータを閲覧し、購買に役立てることができる

コロナ禍でも事業を止めないという決意

買い出しや小口精算の手間を省き、業務効率化を図ることは、介護業界が抱える人手不足という課題解決にも効果的です。

滑田さん「業界全体で離職率を下げるために、いかに働きやすい職場を作るかが課題になっています。当社では、入社した職員に対し、2か月のうちに3回の面談を実施し、不満や悩みを聞く機会を設けています。また、管理部長が新人職員宛に手紙を書くなど、人間的なコミュニケーションを心がけ、チームワークづくりを大切にしています」

コロナ禍では、滑田さんも職員に向けて手紙を書いたといいます。

滑田さん「事業所の感染予防対策は徹底したものの、高齢者の感染リスクを考えると、事業所を一時閉鎖すべきかという葛藤もありました。そんな中、感染リスクを考慮して1か月ほど通所を控えた利用者様がいらっしゃいました。その方が、外出しなくなったことで運動機能が低下し、認知症の進行も早まったという話を聞いて、やはりコロナ禍でも事業を止めてはならないと決意し、そうした想いや職員へのねぎらいを手紙で伝えました」

笑顔で話す滑田さん
「DXを進める中でも、人の温もりを大切にしたい」と語る滑田さん
パソコン画面をみながら話し合う滑田さんと職員さん
Amazonビジネスの導入によって、職員同士のコミュニケーションの時間も増えたという

同社は、地域包括ケアシステムへの貢献も行っています。

滑田さん「プライム市場に上場し、医薬品の卸売や保険薬局など、ワンチームとなって医療と健康に関わる事業を展開するスズケングループの一員として、地域を支えるネットワークを構築したいと思います。地域包括ケアシステムに貢献し、誰もが健康的でいきいきと暮らせる世の中を実現することが私たちのミッションです」

桐和会とエスケアメイトの事例が示すように、医療・福祉分野ではさまざまなDXが進められています。安全や健康をサポートすることはもちろん、人手不足などの課題を解決するためのDXも重要であり、Amazonビジネスはその一端を担っています。私たちの生活を維持するために必要不可欠な業種において、DXもまた、必要不可欠になっていると言えるでしょう。

中小企業を進化させるAmazonのDXサポートシリーズ
Vol.1 商品のリピーターを生み出す、DXにおける新たな方程式とは?
Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
Vol.3 ECビジネスに不可欠なフルフィルメント戦略
Vol.4 既存商流のデジタル化はなにをもたらすか?
Vol.5 女性を支える商品は、社会と暮らしをどう変えるか?
Vol.6 DXと共に変化する、新生活アイテムの消費行動とは?
Vol.7 DXはエシカル消費をどのように後押しするか?
Vol.8 AWSクラウドがもたらした、農業を支えるDXの進化
Vol.9 AWSが加速させる、社会に貢献する事業のDX
Vol.10 スタートアップの革新はいかにして生まれるか?
Vol.11 AWSによるDXは、第一次産業をどう進化させるか?
Vol.12 事業承継のために老舗が挑んだ改革と守った精神
Vol.13 豊かな人生に貢献する商品を生み出した開拓者たち
Vol.14 業務効率化で生まれた時間をどう活用するか?
Vol.15 ブランドの保護・活用による中小企業の成長戦略
Vol.16 企業の情報資産を守り、ビジネスを止めないために
Vol.17 日本の健康を食で支えるために開拓したECという販路
Vol.18 社会課題にイノベーションを起こすITベンチャーの技術力
Vol.19 エッセンシャルワーカーにDXはどんな価値をもたらすか?
Vol.20 和の名産を手がける老舗が踏み出したDXの新たな一歩
Vol.21 デジタル面にとどまらない、Amazonの中小企業支援とは?
Vol.22 行動や価値観の変化を捉える、中小企業の商品開発の今
Vol.23 メイド・イン・ジャパンの品質を世界中に届けるために
Vol.24 地域活性化を後押しする、特産品の魅力とDX

2021年のこのシリーズでは、コロナ禍を乗り越えた飲食店や、OEMから自社ブランド製造に舵を切った企業、老舗の食品店や伝統工芸品店、農産物販売企業まで、Amazonで販路を広げDXを推し進める中小企業をご紹介しています。

 

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