社会全体がDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切る中で、Amazonは日本の企業の約9割を占める中小企業(小規模事業者含む)を支援し、さまざまなサービスやプログラムを通して中小企業のDXを後押ししています。デジタルがもたらす中小企業の変革とは? そして、変革を加速させるAmazonのサポートとは? 連載企画の第14回は、Amazonのサービスを利用して業務効率化に取り組む中小企業に迫ります。
※本記事は、2022年7月6日に日本経済新聞および日本経済新聞電子版に掲載された記事を加筆したものです。

近年、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や、育児や介護との両立など、働き手のニーズの多様化から働き方改革が推進され、多くの企業が業務効率化に取り組んでいます。ただし、企業の成長において、業務効率化はゴールではなく、業務効率化によって生まれた時間をどのように活用するかが重要です。今回は、Amazonのサービスを通じたDXによって、業務効率化に取り組み、時間の価値を高めた2社を紹介します。

新規事業を求めてカー用品開発に着手

株式会社ヨシハラは、自動車に用いるプラスチック部品の製造会社として1987年に創業しました。しかし、近年のEV(電気自動車)化の流れを受けて、次の一手となる新規事業を模索していたと、専務取締役の吉原雄二さんは語ります。

製造現場で笑顔を見せる吉原さんの写真
株式会社ヨシハラ 専務取締役・吉原雄二さん

吉原さん「私たちの本社がある本宮市は福島県の中央に位置し、交通の要所として知られています。そんな土地で長年、自動車部品の製造に携わってきたこともあり、自動車に関する商品で地元を盛り上げたいと考え、カー用品の開発・販売を新規事業に据えました」

そうした理由に加え、カー用品に課題を感じていた部分もあったといいます。

吉原さん「カー用品には作り手の想いやアイデアが詰まったユニークな商品が多い半面、お客様目線に立った商品が少ないと感じていました。そこで、当社ではさまざまなECサイトのレビューからお客様のニーズを洗い出し、多いときには1000人の消費者にアンケートを実施し、商品を開発するプロセスを踏むことにしました」

こうして誕生したのが、カー用品ブランドのALEBANA(アレバナ)です。

吉原さん「ブランドのコンセプトは『お客様の声をカタチに』。ブランド名は、『こういう商品があればな』という想いから、ALEBANAと名付けました」

車のシートにヘッドレストとネックパッドをつけた写真
同乗者の睡眠時に役立つカーシートヘッドレストとネックパッド
車のシートに取り付けられたランバーサポートの写真
運転中の腰や肩の負担を軽減するランバーサポート
表面にメッシュが施されたシートクッションの写真
低反発シートクッションはお客様の声をもとに改良を重ねたヒット商品

少人数でのビジネスを支えるAmazonのサービス

吉原さんがお客様の声をもとに開発した、同乗者の頭の揺れを防ぐカーシートヘッドレストなど、車内の快適性を高める商品が注目を集め、ALEBANAは順調に成長を続けていきます。

吉原さん「2021年のブランド立ち上げと同時にAmazonで販売しました。商品をお客様に見ていただける出品型ECサイトのAmazonなら、商品力で勝負できると考えたからです。約30名いる社員のうち、ALEBANAに携わっているのは私を含めて2名のみなので、フルフィルメントby Amazon(FBA)には本当に助けられています」

FBAとは、Amazonが商品の保管、注文処理、梱包、配送、さらには注文や返品に関するカスタマーサービスを代行してくれるサービスです。

吉原さん「FBAを導入する以前は自分たちで注文処理や発送を行っており、セール時などは夜通しで作業に追われることもありました。FBAがなければ、今のようにワーク・ライフ・バランスを保つことはできていなかったと思います」

さらに、法人の購買をサポートするAmazonビジネスも利用しています。

吉原さん「品揃えが豊富な上に、購入時の承認ルールも決められるので、わざわざ書面で社内稟議(りんぎ)を通す必要がなく、とても便利です。文房具や各種備品の購入に利用していますが、小ロットでも購入できるため、在庫過多にならずに済む点もうれしいですね」

作業服を着たスタッフがひとつひとつ検品している写真
細かな部品も目視で検品している
美しいイメージ写真と印象的な言葉が並ぶストアトップページの写真
Amazonのストアトップページ画面。お客様がイメージしやすい画像とワードを意識している
熱心に語る吉原さんの写真
Amazonのカスタマーレビューを読み込み、商品の改良に役立てていると語る吉原さん

また、Amazonのセールイベントの効果も大きいと吉原さんは言います。

吉原さん「2021年のAmazonブラックフライデーは、ALEBANAにとってターニングポイントになりました。カーシートヘッドレストの売上が一気に伸び、ALEBANAの認知度も拡大しました。 Amazonブラックフライデー以降、売上の水準が上がったこともうれしい相乗効果ですね」

FBAやAmazonビジネスが業務効率化に与えた好影響は大きいと吉原さんは言います。

吉原さん「社員数が少ないため、業務効率化への意識は社内に浸透しています。正直、もう効率化できる余地はないと思っていたのですが、Amazonのサービスはさらなる業務効率化を後押ししてくれます」

こうしたDXによる業務効率化で時間が生まれ、商品開発に割ける時間が増えたそうです。

吉原さん「今後は、廃プラスチックを使った商品や、子育て支援用の商品など、社会貢献を意識した商品開発を行っていきます。また、ワーク・ライフ・バランスの取り組みに力を入れており、2019年には福島県ワーク・ライフ・バランス先進的取組大賞を受賞することができました。これからもAmazonのサービスを活用し、働きやすい会社を目指していきたいですね」

こだわりのコーヒーを通じて社会に貢献する

1974年創業の株式会社路珈珈(ろここ)もまた、業務効率化に力を入れています。カフェの運営をベースに、自家焙煎したコーヒー豆の販売という新規事業を立ち上げた代表取締役の井田浩司さんは、現在に至るまでの道程をこう振り返ります。

多くのコーヒー豆やコーヒーグッズの並ぶ店舗を背景に井田さんの写真
株式会社路珈珈 代表取締役・井田浩司さん

井田さん「当社の始まりは、奈良県奈良市に父がオープンしたカフェです。それまでは焙煎されたコーヒー豆を仕入れていましたが、コーヒーチェーンが普及し始め、自分たちなりの個性を出せないかと模索しました。そこで、自家焙煎したスペシャルティコーヒーに特化したカフェとコーヒー豆の販売を始め、ROKUMEI COFFEE CO.というブランドを立ち上げました」

スペシャルティコーヒーとは、SCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)の評価基準を満たしたコーヒー豆を指し、産地や生産農場、栽培管理、収穫、生産処理、選別、品質管理など、徹底した生産管理が必要とされます。

井田さん「そのコーヒー豆がいつ、どこで、誰の手で作られたのかを明確にし、産地や生産者を含めて利益を正当に循環させる。そんなサステナブルなスペシャルティコーヒーの考え方が大好きで、心から共感しています。もちろん、コーヒーがおいしくなければお客様をハッピーにできません。毎日おいしくコーヒーを飲むことが、実は社会貢献につながっているという形が理想ですね」

路珈珈が目指すのは「スペシャルティコーヒーを文化にする」という大きな目標です。

井田さん「より多くのお客様に当社のコーヒーを楽しんでいただき、スペシャルティコーヒーの魅力を広めたいと考え、2016年からAmazonでの販売を始めました。2018年、焙煎技術を競うジャパンコーヒーロースティングチャンピオンシップで私が日本一になり、メディア露出が増えました。同時期にAmazonのスポンサープロダクト広告の利用を始めたこともあり、一気にROKUMEI COFFEE CO.の認知度を拡大することができました」

店内の写真。焙煎機との間がガラスで仕切られており、大きな機械が見える。
富雄店にある焙煎機。店内にはカフェスペースがあり、コーヒー豆の販売も行っている
焙煎機から取り出した豆の香りをチェックする焙煎士さんの写真
焙煎士がコーヒー豆の焼き具合を入念にチェックし、品質を管理
さまざまな豆と淹れたコーヒーが並んで展示している写真
店舗ではさまざまな種類のスペシャルティコーヒーを用意し、新たな出会いを提供している

Amazonのおかげで増えたお客様との時間

「Amazonではドリップバッグなどのギフトセットが人気を集めており、父の日などのギフトシーズンには注文が一気に増加します」と言う井田さん。そうした繁忙期の業務効率化に役立っているのが、AmazonビジネスとFBAです。

井田さん「その2つのサービスを利用する前の繁忙期は、スタッフ総出で梱包や発送作業に追われ、ガムテープなどの備品を買い出しに行く余裕すらない状態でした。そんな中、Amazonビジネスを利用することで、急ぎで必要な備品がすぐに届き、面倒な経費精算からも解放されました。FBAを利用すれば注文処理や配送などをAmazonが代行してくれるので、時間にゆとりが生まれましたね。繁忙期でも定時で帰れるようになり、コーヒー豆の研究やお客様と触れ合う時間も増えました」

黒いボトルのアイスコーヒーに落ち着いた色合いのドリップバッグが梱包されている写真
アイスコーヒーやドリップバッグを詰め合わせたギフトセット
黒い瓶にラベルと栓がされ、ビール瓶のようにも見えるユニークなアイスコーヒーの写真
スペシャルティコーヒー100%のオリジナルアイスコーヒーを販売
鹿とロゴが刻印されている銅製のコーヒードリッパーの写真
店舗では、奈良県を象徴する鹿をモチーフとしたオリジナル商品も販売している
楽しそうに語る井田さんの写真
将来的には海外にもブランドを展開したいと語る井田さん

Amazonの配送の迅速さは、お客様にとってのメリットも大きいといいます。

井田さん「Amazonは、欲しいものがすぐに届くというイメージが定着していますよね。FBAを利用すれば商品にプライムのロゴを表示できるので、ギフトシーズン直前に購入されるお客様にも安心感をご提供できていると思います。また、自社のECサイトではAmazon Payも利用しており、すでにAmazonのアカウントをお持ちのお客様なら、クレジットカード番号などの入力が省けるメリットも大きいですね」

また、Amazonのマーケットプレイス コンサルティングサービスも役立っているといいます。

井田さん「専属の担当者がデータ分析に基づくアドバイスをくれるのですが、我々のブランドに寄り添って考えてくれる印象があります。ブランドの成長や未来を一緒に作り上げていく相談相手のような存在ですね」

今後は、実店舗とECの良さをかけ合わせることで、さらにスペシャルティコーヒーの魅力を広めたいと井田さんは語ります。

井田さん「たとえば、カフェでさまざまなコーヒー豆を提案するイベントを開き、それをオンライン動画として共有し、Amazonで商品を購入してもらいたいと考えています。DXを積極的に推し進め、スペシャルティコーヒーの新しい体験を提供していきたいですね」

Amazonでの販売とAmazonビジネスでの購入という両面を利用し、ビジネスを大きく加速させたヨシハラと路珈珈。Amazonのサービスを通じて業務効率化を実現したことで、商品開発やお客様と接する時間を増やし、ワーク・ライフ・バランスの改善を実行した両社の取り組みは、DXが生み出す価値を改めて教えてくれます。

中小企業を進化させるAmazonのDXサポートシリーズ
Vol.1 商品のリピーターを生み出す、DXにおける新たな方程式とは?
Vol.2 ECビジネスを加速させるギフト戦略の最前線
Vol.3 ECビジネスに不可欠なフルフィルメント戦略
Vol.4 既存商流のデジタル化はなにをもたらすか?
Vol.5 女性を支える商品は、社会と暮らしをどう変えるか?
Vol.6 DXと共に変化する、新生活アイテムの消費行動とは?
Vol.7 DXはエシカル消費をどのように後押しするか?
Vol.8 AWSクラウドがもたらした、農業を支えるDXの進化
Vol.9 AWSが加速させる、社会に貢献する事業のDX
Vol.10 スタートアップの革新はいかにして生まれるか?
Vol.11 AWSによるDXは、第一次産業をどう進化させるか?
Vol.12 事業承継のために老舗が挑んだ改革と守った精神
Vol.13 豊かな人生に貢献する商品を生み出した開拓者たち
Vol.14 業務効率化で生まれた時間をどう活用するか?
Vol.15 ブランドの保護・活用による中小企業の成長戦略
Vol.16 企業の情報資産を守り、ビジネスを止めないために
Vol.17 日本の健康を食で支えるために開拓したECという販路

2021年のこのシリーズでは、コロナ禍を乗り越えた飲食店や、OEMから自社ブランド製造に舵を切った企業、老舗の食品店や伝統工芸品店、農産物販売企業まで、Amazonで販路を広げDXを推し進める中小企業をご紹介しています。

 

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